第十話
第十話
それから数日が経ち、タンポポの綿毛が空を舞う頃。
とうとう作品の案が完成した。
何点かあるそれをスキャンし、メールにて梅永さんのところに送る。
後ろ首を抑え、少年に向く。
「返ってくるまでに時間はかかるでしょうから、お茶にしましょう。近くの甘味屋でどら焼きを買ったので、召し上がりませんか」
こくりと、頷くその表情は何処か、物を与えられた幼子のそれだった。
受信を告げるPCに背を向け、俺と少年は居間に向かった。
朝食後の後片付けが一段落し、今で煎茶を飲みながらニュースを見ていた。
『昨夜、○○市内の住宅街にて、殺人事件がおきました。被害者は高校生・・・』
お茶を啜りながら、ふと懐かしい思いに浸った。
『・・・容疑者は以前より同じような犯行に及んだとのこと・・・』
証拠と取り上げられた拳銃何丁かが、自分の右手に残る感触を思い起こした。
気を紛らわせるように、その右手で熱い陶器を触る。
『・・・検察側は容疑者に対し、死罪を求刑する方向で・・・』
じんわりと頭が重くなった。
この殺人鬼はたった数人で死罪になるのに、それ以上の命をもてあそんだ自分は、一体どのような罰を受けるのだろうか。