1話 僕はこれから異世界転生をします! …無理でした
僕はこれから異世界転生をします!
異世界に行きたいと願い続けて今ようやく僕は異世界行くことができます!
「それじゃ神様僕を異世界に送って下さい!」
「いや、むりじゃよ?」
「…………」
「…………」
「………」
「いや、ごめんね?」
ごめんなさい、どうやら僕は異世界に行けないみたいです。
「な、なんでなんですか!? なんでも願いを叶えてくれるって言ってたじゃないですか!」
異世界に転生するためのテンプレの一つである神様のミスで僕は1度死んでしまった。そしてそのお詫びとして神様はなんでも一つだけお願いを叶えてくれるって言って約束してくれた。なのに…なのに……
「いや、神様にも出来ることと出来ないことがあるんじゃよ」
「そ、そうなんですか、で、でも僕はどうしても異世界に行きたいんです!」
無理って言われてすぐに「はい、わかりました」で簡単に異世界へ行くことを諦められるわけがない。だって異世界に行くことは叶わない夢だと思っていた。だけど今、目の前に異世界に行くことのできるきっかけやチャンスがあるんだ。
「儂だって少しぐらい無理しても出来る範囲なら願いを叶えてやりたいと思っているのじゃが、その願いは叶えられないのじゃ」
「な、なんでなんですか!」
「だって、異世界なんてないんじゃから」
「………え、嘘だろ?」
僕は体から何もかもが抜け落ちてしまったかのように崩れ落ちた。
「すまんのぅ〜、それでもどうしても異世界に行きたいと言うんじゃったら儂が異世界を作るんじゃが…」
そんな僕を見かねて神様がどうにか異世界にいくことができるアイデアを提案してくれた。
「え?まじで!そんなこと出来るの?」
神様の提案に僕は顔を上げ目を輝かせる。
「そうじゃの〜世界の創造から始めるから軽く見積もっても1億年ぐらい待ってもらうことになるかの〜?」
そして僕は再び崩れ落ちた。
「そしてもう一つの提案があるのじゃが、お主が異世界に行きたいと願うのは無双とハーレムがしたいからなんじゃろ?」
「ギクッ!」
体がビクッンと反応する。図星です。
「いやいや、隠そうとしても無駄じゃ、儂は神じゃからな」
「い、いや! 隠してないから! 全然隠してないから!」
思わず顔を背け口笛を吹いてしまったが、どうやら意味がなかったようだ。神様にはどうやら隠し事が通じないらしい。まぁそれでもなんとなく否定してしまうのはなんでなんだろうか。やましい気持ちがあるからなんだろう。まぁその通りだな、実際にはやましいと言うよりやらしいだけど。
「にやけとるぞ、顔にでとるぞ、全然うまくないぞ、それよりもじゃ、さっきの続きじゃが無双やハーレムがしたいなら元の世界でも構わないはずじゃ」
「まぁ、確かに僕が異世界に行きたいと思ったのは無双やハーレムがしたいからですけど」
いや! そんなことはないです! 僕は冒険がしたくて異世界に行きたいと願ったのです!
「はぁ〜心の声と実際の声が反対になっていることはもう気にせんと話を続けるぞ、儂はお主を元の世界に戻す。その時にお主には無双やハーレムが出来る力を授ける、どうじゃこれでいいじゃろ?」
「はい! お願いします!」
無双やハーレムが出来るのなら別に元の世界でも構わない。
「でも、元の世界で無双とかハーレムとかって出来るんですか?」
元の世界に戻ることは別に構わないけど無双やハーレムが出来るのか不安である。異世界にはモンスターとかがいるから無双が出来るのであって元の世界にはそんな存在見たこと聞いたことがないので無双が出来ないんじゃないとかって不安要素がある。
「大丈夫なのじゃ、お主の世界にもモンスターと呼ばれる存在はいるのじゃ。今までは見えてなかっただけなのじゃ。ハーレムについてはまぁお主次第といったところじゃろ」
「まじで!?」
元の世界にもモンスターはいる。そう聞くとなぜか元の世界が異世界のようにも感じてくる。不思議だ。
そしてハーレムについてだけど僕はハーレムとはたくさんの人と結婚したりすることではないと考えている。僕にとってのハーレムとはたくさんの人と恋愛をすることだと思っている。
「別にお主がどう考えていようと儂は気にせんが、そろそろお主を元の世界に戻すのじゃ、魂が抜けている時間が長ければ長いほど体に戻った時の違和感や副作用が大きくなるからな」
それじゃの〜と言い神様が僕に向かって手を振っているのを最後に僕は意識を失った。