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俺と彼女の恋愛相談

とある日の夕暮れ


「太一、ありがとうな」


「別に良いって、ほら愛しの彼女が待っているぜ」


俺はそう言いながら彼の後ろの方を指した。

そこには彼の付き合っている同級生がいた。


「あぁ悪いな、今度なんか礼をする。じゃあな」


と俺と話していた同級生は走って彼女の元に向かった。

そうして2人が揃うと俺の方を向いて頭を下げてきたので俺は照れくさくなり軽く手を挙げてその場を離れることにした。




「さて帰るか……今日もなんやかんやで遅くなったし……ってそう言えば、鞄教室に置いたまんまだったな……」


そのまま下駄箱向かおうとしていた足を鞄が置いてある教室に向けて歩き出した。

廊下を歩いているとグラウンドでの運動部の掛け声やどこかの空き教室での吹奏楽部の演奏が聴こえてきて、放課後という感じがしてくる。

とそんな感じに考えていると俺の教室に着いた。


「よし着いた。さっさと鞄をとって帰ろーー」


と教室の扉を開けて自分の机を見るとそこには俺じゃない生徒が俺の机に突っ伏していた。突っ伏している生徒はスカートを履いているので女子生徒だろう。

そしてその女子生徒に俺は見覚えがあった。


「ったく……ほら起きろ葵」


俺は突っ伏している女子の背中を優しくさすった。

しばらくさすっていると


「……ん」


その女子生徒はもぞもぞと起き出した。


「はい起きて」


俺は再び、目の前の同級生に声をかけた。大体2回ぐらい声をかけないと目を覚まさない。


「……太一?」


「そうだ俺だ」


「……私に何か用でもあるのかしら?」


と俺を不機嫌そうに見てきた。

彼女の名前は俺のクラスメイトである一条(いちじょう)(あおい)


ーー不機嫌そうに見える切れ長の目


ーーまるで漆を塗ったのかと思うぐらいの艶がある黒髪


ーー女子の中では高い方に入る身長


ーー出るところは出て締まるところは締まるという


10人中10人が迷わず美人だと言うだろう美貌を持っていて、今の寝起きですらその美貌は全く損なわれていない。


「“何か用があるのかしら?”じゃなくて何で俺の机で寝ているんだ?寝るなら自分の机で寝ればいいだろうが」


何故か葵はここ数日放課後俺の机で寝ている。今日も合わせると1週間以上続いている。なので最近の日課としては帰る前に彼女を起こすのが入ってきている。


「……夕日」


葵が突然口を開いた。


「夕日?」


「ここだと夕日が当たって寝心地が良い」


「……いやいやなら自分の机を持ってこいって」


「面倒いわ」


この様に毎回謎理論を展開される。

そしてその謎理論にも慣れた俺がいた。


「……さいですか。とりあえず俺は帰るからな」


多分これ以上の追求は無理だろうと思った俺はそれ以上寝る理由を聞くのをやめた。


「待ちなさい」


「今度はなんだ?」


「何で私を置いていくのかしら」


「だって夕日が心地良いのだろう?

俺は帰るからゆっくり寝とーー」


「もういいわ。充分寝たし」


と言うと彼女は倒していた上半身を起こし、伸びをした。

そして俺の席から立つと自分の机に戻り鞄を持った。


「ちょっと待ってなさい。私も行くから」


「へいへい分かったよ」


葵に振り回されるのは慣れているのでここは大人しく彼女を待つ事にした。






そして準備が出来た葵と一緒に帰路を歩くのであった。

夕暮れ時、オレンジ色に染まった夕陽の光が隣で歩いている葵の髪に綺麗に反射している。

風が吹くと長い髪の毛を手で軽く抑える仕草も絵になる。


「どうかしたのかしら?」


「ん?」


「私を舐め回す様に見つめていて」


「そんな感じに見てねぇわ!!

ただ相変わらず見た目は良いよなって思ったんだよ」


「あら、見た目だけとは酷いわね。

精神面でもクラスの中でも秀でていると思うわ」


「……俺はお前がこれ以上クラスから浮かないか心配」


葵は学業優秀で前にも言ったが見た目もモデル並みに良いのでモテるといえばモテるのだが他人に興味が無いのかクラスでは俺以外と話をしない。



「ねぇ太一」


「あ?」


「またいつものやっていたの?」


「いつものって?」


「……他人の恋愛相談にのることよ」


「あぁまぁーー

って見ていたのか?」


確か俺が教室にいるまで俺の机で寝ていたはずでは……?


「えぇ太一の机に座りながら、貴方がドヤ顔でアドバイスをしているところを見ていたわ」


「……ドヤ顔していたかな俺」


「していたわ、貴方を見慣れた私であってもひくぐらい。

“クラスメイトの相談のっている俺格好いい!!”

っていう気持ちを抑える気がないのかしらね」


「……なぁ今のって俺の真似?」


「気のせいよ。そして今回も無事に解決したのかしら?」


「今回の件はお互いがお互いを思い過ぎていたから

すれ違ったから、互いが思っている事を言い合ったら

簡単に解決したよ」


「流石相談が沢山くる男は違うわね」


「……なんか棘のある言い方だな、おい」


「というか太一も物好きね。

自分に全くメリットが無いのに他人の恋愛の相談に

首を突っ込むなんて」


「まぁ人ってメリットやデメリットだけで動かないし。

少なくとも俺はそう思っているし」


「清々しい程の善人ね」


「葵……絶対そんな風に思ってないだろ」


「思っているわよ。

ーー騙しやすいだろう、と」


「悪魔か!?」


葵からの毒舌を受けながらも、クラスメイトの前でも同じ感じに接したらもう少し彼女の人気は上がるだろうと思う俺だった。

……まぁこの毒舌も少しは遠慮してもらえると嬉しいが。


「ねぇ太一」


「なんだ?」


「私の恋愛相談を受けて欲しいのだけど」


「……はい?」


「だから私の恋愛相談を受けて欲しいのだけど」


「お、お、お、お、お、お前……好きな人いるの!?」


「あら意外だったかしら?」


「意外というか……お前にそんな感情がある事に驚き」


「私だって精神年齢が周りよりも高くても同年代の女子みたいに恋はするわ」


「……お前女子だったわ」


プス


葵の細い指が俺の目に刺さった。

俗に言う目潰しというやつである。


「ギャぁぁぁぁーー!!」


俺は痛さのあまりその場に蹲り、そんな俺の様子を見て

葵は笑いながら


「あら予想以上に決まったみたいね」


「痛いよ!? 」


普通笑顔で目潰しをしてくる女子がいるだろうか

ーーいや、いてたまるものか。


「太一が悪いのよ? 私の話を折るから」


「もしかしたらそうかもしれないけど……」


「もしかしてじゃなくて貴方が悪いのよ。

で、私の相談に乗ってくれるかしら?」


「嫌々だけど乗ってやるよ……ちくしょうまだ痛い……」


「流石清々しいぐらいの善人の太一だわ」


「ところで葵が好きな人ってどこのクラス?」


「私と同じクラスよ。言っておくけど男子よ。」


「……ってなると俺のクラスか」


頭の中で男子のクラスメイトの顔を思い浮かべる。

爽やかイケメン、無口イケメン、賑やかイケメン……

とクラスで人気の男子を頭の中で候補に入れた。


「私も色々とアプローチしているのよ」


「意外と積極的なんだな葵って」


こいつの性格的に自分からは絶対動かず、相手から絶対動かせる様な気がしていたので意外だった。

……というか今の発言を聞いて葵がそこまでして好きな男子が気になり始めていた。


「あら私こう見えて欲しいものは全て自分で手に入れないと気が済まないタイプなの。でもね……」


「でも?」


「その人鈍感なのよ」


「……随分面倒な性格の男子を好きになったな」


鈍感な相手を振り向かせるのって結構労力が必要であり、俺個人一番頭を悩ます相談だ。


「そうよ、全く……太一が他の人にアドバイスしているのを聞いて真似はしているのだけど効果なしね。

ーー貴方、嘘教えてないかしら?」


「俺はそのカップルにあっていそうな事を考えて言っているのであって葵が好きな人にそれが通じるのかは知らん」


「結局嘘を教えているのかしら」


「何故そうなる!?

はぁ……で、どんな風にアプローチを?」


「そうね……」


と葵は手を顔の下に当てて考えるそぶりを見せた後口を開き、彼女がしてきたアプローチの数々を話し始めた。


「まず家に誘ったわ」


「段階早っ!?」


予想を超えた回答がきた。

今更だろうが葵は多少考えが変わっている。


「そうかしら? だって太一も他の人にそんな感じにアドバイスをしていたわよ?」


「あれは2人ともそれなりに関係が深まったと思ったからでありだな……ちなみに口実は?」


「勉強を一緒にしましょうと」


……誘い文句は普通で安心した。

彼女の事だからとんでも無いことを言いかねないと思っていたのでほっと胸を下ろした。


「誘い文句は普通なんだな……で結果は?」


「その男子は来たわ」


「おぉ〜凄えじゃん」


「せっかく私という美人が同じ空間にいるのにその男子は普通に勉強していたわ……性欲無いのかしら?」


「女子がそんな事言うもんじゃありません。

で次は何をしたんだ?」


「髪型を変えたわ」


「あぁ……そう言えば1日だけポニーテールだった日あったなクラス中が驚いたわ」


その日、葵は朝から自慢の髪をポニーテールにして登校してきて1日中その髪型だったが次の日にはいつもの結ばない髪型に戻った。


「前に太一が言っていた“いつもと違う印象を与える”を実行してみたのよ。

ーーまぁ結果は興味の無い男子の関心は得れたけど肝心のその本人の関心は得る事は出来なかったけどね」


「……鈍感だなそいつって」


葵は性格はこんな性格なのだが見た目は美少女である。

ある意味こんな美女にそこまでアプローチされて気づかない男子はどんな神経をしているのだろうか。


「まぁその人物が鈍感なのは今に始まった事じゃないから覚悟はしていたわ」


「へぇ……これはかなりの長期戦になりそうだ。

他に何かしたのか?」


「そうね……手作りのお弁当を作ってきたわ」


「……そこまでしてまで気づかない男子ってある意味凄いな。お前に同情するわ」


「私が直々に朝5時に起きてお弁当を作ってきてあげたのにその男子は何て言っていったか分かる?」


「分からん」


「“へぇ……お前って料理出来たんだ意外”なのよ?

その瞬間は流石に殺意は湧いたわ」


「……ってあれ待てよ」


“へぇ……お前って料理出来たんだ意外”


葵がさっき言っていた男子のセリフが妙に引っかかった。

そう言えば俺も同じ様なセリフを前に彼女に言っていた様な気がする……。


(いやいやまさかな……そんな訳あるわけ……)


とりあえすさっき葵がしていたアプローチを振り返ってみた。


①家に呼んだ。

ーー実は俺も葵に勉強しようと誘われて彼女に家に行ったことがある。無論普通に勉強したが。


②髪型を変えた。

ーーそう言えばその前日に葵に

“一般男子の参考程度に聞くけど太一の好きな髪型は?”と聞かれた。その時は適当にポニーテールと答えた様な気がする。



③弁当を作った

ーーさっきの葵にその男子が言ったセリフ、そう言えば俺自身同じ様なセリフを言った気がするし、結局その弁当を食べたのは俺だけだった。



……あれ? ひょっとして……?


俺の中でとある考えが思いついた。

その考えを考えると冷や汗が止まらなかった。

背中を嫌な汗がダラダラと流れる。


「あら、太一どうしたのかしら?

随分と顔色が悪いわよ?」


「い、いや……ちょっと考え事をしていただけだ

まさかな……そんな事があるわけない……」


「へぇ〜その割には顔色悪いわね。

ーー何か嫌な考えでも想像したのかしらね?」


「な、なぁ葵さんや」


「何、太一?」


「もしかしてもしかしてなんだけど」


「もしかして何かしら?」


「今から俺がお前の好きな人の名前を言ってみていいか?

もし間違えていたら罵倒してもらって構わない」


「あら、いいわよ。言ってごらんなさい」


「その男子生徒の名前ってさ

ーー芹澤太一か?」


“芹澤太一”

俺はこの人物を良く知っている。

だって()()()()()()


「……残念だけど」


「あ、やっぱり違っていたーー」


「正解よ」


「嘘だろーー!?」


俺はその場で大声で叫んだ。


「あら太一、何故そこまで驚くのかしら? 普通に考えて私が貴方以外と会話をしたところを見たことあるかしら?」


「い、いや無いが……」


改めて考えてみればすぐに分かる事だ。

葵は基本的に俺以外とまともに話さない。

ーーつまり家に誘う際も髪型も弁当もその前提の会話をする相手は俺以外に考えられない。


「ところで太一」


「な、何でしょうか……?」


「私、貴方に今とても文句を言いたいのだけど良いかしら? ちなみに拒否権は無いわよ?」


と笑顔で言ってきた。

そしてこの笑顔は彼女が毒舌を言う前の笑顔だということを付き合いの長い俺は良く知っている。


「はい……どうぞ……」


「貴方って人の相談には的確に答えられるのに何で自分の事にはこうも鈍感なのかしらね? 教えてもらえるかしら?」


「い、いや……それは……」


「やれ人には“今までと違う印象を与えたら”や“毎日会話をする様にしたら”、“相手の細かい変化に気付こう”とか偉そうに言う割には貴方自身出来てないのではと私は思うのだけど違うかしらね太一……!!」


「すみません!! すみません!! すみません!!

いやまさかそれが自分にブーメランで返ってくるなんて思ってもなかったからさ!!」


俺はただひたすら頭を下げていた。

今、昔に戻れるならそんな事を言っていた自分を全力で殴って言わせない様にしたいとすら思っていた。


「おや貴方は自分の発言がいつか自分に返ってくるとは考えなかったのかしら? 他人の言動には敏感なくせにどうして私の発言や行動に何も思わないのかしら?」


「本当にすみません!! 調子に乗ってました!!

自分には関係無いと思っていたからさ!!」


「ほう……貴方は私が貴方に好意を持っていないと思っていたのかしら……ほう……!! 随分私も舐められたものよね……どう落とし前をつけてもらおうかしらね太一」


表情こそ笑顔だけど目が笑っていない。

ーー付き合いの長い俺だから分かる、完全に怒ってる。


「ヒィ!? だって普通葵みたいな美少女が俺の様な普通の男子に好意を持つなんて思わないじゃんか!!」


葵が美少女なのは周知の事実だが俺はイケメンでも無いただの一般的な男子生徒である。

だがどうやら俺の答えは彼女の怒りに更に油を注いでしまったらしく……


「あらあら……ふふっ……言ってくれるじゃない……!!

まさかそこまで思われていたなんて……!!」


「あっ、言葉間違えた!?」


「上等じゃない……!! 太一は知ってるわよね?

私、人に馬鹿にされるの嫌いなの」


「じゃあ逆に聞くけど俺の何がいいの!?」


「そうね……まず私が1年生の時に自己紹介をした後に見事に滑ったあと貴方が上手くフォローをしてくれたのよ」


「あったなそう言う事!?」


「次にクラスで課外学習の時に私が1人で孤立していた際に貴方は私と一緒に行動してくれたわね」


「あったあったよそんな事!?

とうかそれがきっかけなの!?」


「それからは貴方を毎日、目で追いかけたわ。

席替えの度に貴方の隣になる様にくじ引きの箱に細工をさせてもらったりしたわ」


「だからか!? なんかクラス替えしても同じクラスだし、席替えする度に毎回俺の隣は葵なのを不思議に思っていたけどまさかそんな事していたのかよ!!」


なんせクラスが変わろうとも何故か葵は俺の隣であった。

右隣か左隣は変わるとは言えどもまさか小細工をしていたとは誰も思わないだろう。


「あら私言わなかったかしら?

欲しいものは自分の力で手に入れるって」


「ここでさっきの発言を回収かよ!!

なると最近、俺の机で放課後寝ているのってまさか……」


「あらようやく分かったようね。

貴方が好きすぎて貴方の匂いが強く残っている机ですら私には宝物よ……」


「怖っ!? お前って前々から思っていたけど変だ!!」


「そしてそこで寝ると気持ちが良いのよ。

まるで太一に抱きついている感覚で寝れるのよ」


「変態だ!? 俺の隣に変態がいる!!」


まさか人の机でそこまで興奮する人間が隣にいたなんて俺は驚きを隠せなかった。


「あら、私は至って普通よ。

貴方の事を思うと身体が熱くなって夜中にここでは言えない事をしちゃうぐらい、ただの恋する女子高校生よ」


「絶対普通じゃないからな!?

というかここでは言えない事って!?」


「それを私の口から言わせるのかしら?

太一ってそんな性癖を持っているなんて意外ね」


「持ってない!!持ってない!!」


「まぁでも太一が言えというならここで言ってもーー」


「いや言うな。絶対言うな頼むから」


「フリかしら?」


「マジな方だよ!!」


「残念ね……」


「何故そこで本当に残念そうな顔をする!?」


「私を虐めて興奮する太一の性癖のためになるかしらと」


「俺にそんな特殊な性癖は無いからな!?」


「無いの?」


と首を横に傾けて不思議そうに言ってくる葵。


「あるわけあるかーー!?」


「まぁいいわ。最近は机だけじゃ物足りないのよね」


「お、お前、次は何をするつもりだ……?」


「実は私貴方のご両親に会いに行ったのよ」


「いつの間に!?」


「もうお母さんとはメル友よ」


「俺の母親何しているの!?

というかお前は何をしているの本当にさ!?」


「ーー同棲の許可をいただいたわ」


「はぁ!?」


「だから同棲よ同棲。一緒に暮らすって意味」


「誰も同棲の意味を聞いていない!!

じゃなくて!! 何故そうなっている!?」


「お母さんに聞いたのよ。

“貴方の息子さんと同棲させてください”って

そうしたらお母さんね

“おっけ〜”って快く許可をくれたわ」


「軽い!! 俺の意思を無視したところでなんか凄い事になってるんだけど!? 」


「あら嫌かしら?クラスの男子が聞いたら恨みで太一を殺しそうな提案なのにね」


「だから嫌なんだよ!? お前分かってやってんだろ!?」


流石に毎日クラスの男子から恨み言を言われたくない。

……と言うかまだ死にたくない。


「大丈夫よ、心配しないで同棲の場所はマンションだから」


「何が大丈夫なのか教えてもらえるかな!?」


「まずオートロックで部外者シャットアウト。

次に私の父の権力をフルに使ってーー」


「お前の親父さん何者!?」


「有名企業の社長よ。だから今回高級マンションを借りる事が出来たのだから感謝して欲しいわ」


そう言えばこいつの家に行った時、結構立派な家だと思っていたがまさかそういう事だったのか……と今更ながら理解した、というか気付くの遅すぎる。


「感謝どころか俺全く頼んでもないけどな!!」


「あら私の父は大歓迎だったわよ。

“私の娘に釣り合うか楽しみだなぁ”って笑顔で日本刀を振りながら言っていたわ」


「それ絶対歓迎されてないやつだ!!

俺ってどっちにいっても身の危険を感じる!!」


というか家に日本刀を振れるだけのスペースがあるってどうなってんのさ!?

だが僕の不安など知らずか葵は


「大丈夫よ、貴方は私の側にいれば何も心配いらない。

知っているかしら私こう見えて結構尽くすタイプなの」


と言うとスッと俺の方に擦り寄ってきた。

そのため彼女の大きい2つの膨らみが俺の腕に当たる。

葵は顔を俺の耳元に近づけ


「料理、洗濯だって夜のお世話だってなんだってやるわ。

……太一がやって欲しい事全部やってあ・げ・る」


艶っぽく言ってきた。


「あ、葵さん……?」


「ほら行ってご覧なさい。

ーー私に何をして欲しいのか?

さぁ、言いなさい」


ーー美少女との同棲生活。

俺はこれからどうなってしまうのだろうか。

とりあえず言えることは実際に一緒に暮らす美少女の性格によって楽しみかどうかは変わるという事だけだ。


どうだったでしょうか?

楽しんでいただけたなら幸いです

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