不器用な優しさ
陽向視点です
憂鬱だ。
とてつもなく憂鬱だ。
あの後一人で家に帰り、先輩からの連絡も無く1日を終えた。
絶対嫌われた。
別に嫌われるのは構わないのだが、今後の部活に影響が出る。
辞めればいいのだが、辞めると内心に響く。
あぁ、どうしよう…今日部活なのに…
行きたくない。でも、サボるのは私のプライドが許さない。
どうしよう…部活開始時間まで後10分しかない。
誰もいない放課後の教室でウンウン唸っていると突然扉が何者かによって開かれる。
反射的に戦闘態勢に入る。
「陽向。」
「か、金沢先輩…どうして、ここに…」
扉を開けたのは金沢先輩。
染められた金髪が夕日に反射して黄金色に輝く。
「どうしてってお前を迎えにきたんだよ。」
「…迎えに?」
どうして迎えになんか…?
私は部長に対して酷いことを言ったのに…
金沢先輩はズカズカと教室に入ってきて唖然とする私の方へやってくる。
そのまま右手を高く振り上げる。
殴られるんだ…私、悪い子だから。
痛みに備えてぎゅっと目をつむる。
しかし、頭に伝わってきたのは頭ではなく暖かさ。
「…何してるんですか?」
「何って、お前の頭撫でてるんだよ。」
わしゃわしゃと頭を撫で回される。
懐かしいその感覚に言葉が出ない。
「どうせお前のことだから昨日のこと気にしてんだろ?別にあんなのスキンシップのうちだよ。俺も明も気にしてねぇ。だから大丈夫だ。」
「…本当、ですか?」
恐々と尋ねれば呆れたような口調で返される。
「俺がくだらない嘘をいうとでも思ったか?」
「…思いません。」
不器用な優しさが身に染みる。
母が死んでから人の温もりというものに触れてこなかった。
私は出来る子じゃないといけないから人に頼らなかった。
「ほら、そろそろ時間だ。行くぞ。」
「はい。」
「うわ、もうこんな時間じゃん。走るぞー」と早く先輩の後ろを駆け足でついていくのであった…
おはようございます。
なんかキャラじゃないなぁ…とか思いながら書いてました。