放課後
陽向視点です
放課後、言われた通りに部室へと足を運ぶ。
相変わらず部室では金沢先輩が昼寝をしており、無言で叩き起こす。
「ってぇ!?おい陽向!何すんだよ!」
「寝てるのが悪いんです。早く机から足下ろしてください。行儀が悪いです。」
「ったく…後輩の癖に…」
ブツブツ文句を言いながらも机から足を下ろす先輩。
意外と素直なんだな…この人。ヤンキーみたいな見た目してるから殴りかかってくると思った。
そんなやりとりをしていると部室の扉が開く。
「連れてきたよ。この人が依頼をくれた白坂さんだ。」
「ど、どうも…」
入ってきたのは部長と白坂さん。
ビクビク怯えながら中に入ってくる。
「さ、こちらにどうぞ」
「あ、ありがとうございます…」
「で、詳しく教えてもらっても?」
「あ、はい…」
消え入りそうな声でポソポソと説明を始める。
「あの、私、妹がいたんです。生まれつき持病を持っていて…この間病気で死んじゃったんです…。死ぬ間際私、そばにいてあげられなくて…最後に妹が言った言葉が…『お姉ちゃんに会いたかった』で…」
だんだん鼻声になってきて、ポロポロと目から涙を零す。
部長はポケットからハンカチを取り出し、そっと渡してあげる。
「それで…?」
「それ、で…その翌日からっ…教室の本棚から本が、落ちたり…急に掃除ロッカーが空いたり、私の部屋の、電気が勝手に付いたり…変な現象が、起きるようになって…きっと…私、妹に恨まれてるんです…最後、そばにいてあげられなかったから…」
部長のハンカチを握り締めながら喋る白坂さん。
その目には後悔の色が見えた。
「そうですか…それは辛かったですね…」
悲しげに顔を歪め、白坂さんの肩にそっと手を置く部長。
「でも大丈夫です!私達黒魔術部が貴方様の妹さんを除霊いたしましょう!」
嘘臭い笑顔を浮かべ、マジシャンみたいに両手を広げる部長。
カッコつけているつもりなのだろうけど、私から見るとただの危ない人にしか見えない。
顔立ち良いんだから普段の言動をどうにかしろよ。このクソ部長。
「ほんとですか…?ありがとうございます!」
白坂さんはパアッと顔を明るくさせて、ペコペコとお辞儀をする。
純粋な子を騙すだなんて最低だなこの部長。
「では早速明日現場に向かわせてもらいますので、また明日放課後にお会いしましょう。」
「はい…!では…失礼します。」
また一礼して扉から出て行く白坂さん。
「どうやって除霊するんですか?そもそもやったことあるんですか?」
「ふふふ…これを見たまえ陽向君!」
「…お札?」
自慢げに胸ポケットから取り出されたのは変な文字の書かれたお札。
「これで除霊は完璧だ!報酬はいくらくらいにしようかな〜♪」
「あの〜…それどこから?」
「え?ネットからだよ。」
鼻歌を歌いながらケロッと答える部長。
ネット…?嘘臭いなぁ…絶対嘘じゃん。効果ないやつじゃん。
なんて言ってあげようか困惑していると後ろから金沢先輩が耳打ちしてくる。
「あのかけてる眼鏡もネットから《幽霊が見えるようになる眼鏡》だからって買ったんだぜ?」
「効果あるんですか?」
「いや、無い。」
「え、えぇ…?」
「まぁ、生まれつきあいつ弱い霊くらいなら見えてるし?」
「眼鏡の意味とは…?」
「まぁ、いつも知らないネットからグッズ買ってるみたいだし。まぁ当たりハズレあるけどさ…」
「は、はぁ…」
「ハズレの商品が多いみたいだからアレもダメかもな」
「え?!」
無責任な事を引き受けてしまったようだ…
明日、大丈夫かな?
しかしそんな商品を売ってるなんてどんなネットだよ…絶対危ない所じゃん…
キャラシート
金沢照彦
金髪に茶色の目。
耳にピアスをしている。見た目完全にヤンキー。
口は悪いが意外と良いやつ。
霊感はそこそこあり、多少の霊なら見える。
寝ることが好きで、よく部室や屋上で昼寝をしている。