入学式
陽向視点です
「ふぅ…」
新入生代表の挨拶、長い長い校長先生の挨拶を乗り越え、入学式を終える。
入学式の途中幽霊が視界に入ったが無視する。ああいうのは反応したら負けなのだ。
重たい腰を上げ、教室へと向かう。
いつからだろうか。
こんな風に幽霊が見えるようになったのは。
前はいちいちビックリしたりしたけどもう慣れた。
殴れば消えるし。
ワイワイガヤガヤ教室は騒がしく、すでに何組かグループが出来ていた。
そんな人達を横目に自分の名前が書かれた席に座る。
ボンヤリと窓の外を眺める。
何をしようか考えていると、扉から先生が入ってくる。
先生の後ろにはさっき体育館にいた幽霊がついている。
「えー、今日からこのクラスの担任をすることになった中田だ。皆よろしくな。」
「「「よろしくお願いしまーす」」」
担任は中田先生か…
見た感じ三十代前半だろう。
意気込みや、学校でのルール、明日からの流れを説明する先生。
話を右から左に流し、弓道部について考える。
…楽しみだなぁ。
「という事で今日は解散!起立、礼!」
「「「ありがとうこざいました」」」
先程できた友達同士でお喋りしながら出て行く人達。
波が収まるまで取り敢えず席に座っておく。
「はぁ…」
誰も、話しかけてくれなかったな。
まぁ昔からか。
話しかけづらいオーラを放ってるとか、頭良いから話しかけずらいだとか…
全く…別に話しかけてくれたって構わないのに。
目の前にいる幽霊をなるべく自然に避ける。
この学校思ったより幽霊多いな…
「ねぇ、君!このあと暇かい?」
「え…まぁ、はい。」
「ちょっ、ちょっと来てくれない?」
「はぁ…」
突然腕を掴まれ、黒髪黒目で眼鏡をかけた顔立ちの良い男の人に呼び止められる。
そのまま半端引きずられるように連れていかれる。
何…?私何かした?
「さ、どうぞ。入って〜」
「お、お邪魔します…?」
連れてこられたのは校舎の端のほうの教室。
中は薄暗くて散らかっている。
え…何ここ?
「散らかっててごめんね…ここ座って。」
「はい。」
差し出された椅子に腰かけ、男の人の向かい側に座る。
「君、幽霊見えるでしょ?」
「え…何故それを…」
「やっぱり?見えてた?当たり!!キタコレ!!」
「えぇ…?」
突然立ち上がって喜び出す男の人…
え、え?何…?
「照彦やったぞ!!部員だ!部員が増えるぞ!!」
「ふーん…寝てるから邪魔すんなよ明」
「え、私入るだなんて…」
何故かもう入る前提で話が進んでいる。
私は弓道部に入るんですけど…?!
「じゃあ、明日からよろしくね!あ〜…名前は?」
「神陽向です…」
「よろしくね!陽向さん!僕は高澤明。あそこで寝てるのは金沢照彦だ。」
「よ、よろしくお願いします…?」
何故ここで断らなかったのだろうか。
でも、あんな良い笑顔で圧をかけられたら断れない。
こうして私の中学校生活は狂わされてたのであった…
中田先生いい先生そうだよね!
何となくだけど。
ちなみに趣味は麻雀だよ。