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4話

 先に仕掛けたのは俺だった。

 一人で潜っている事も有ってどんな事態にも対応出来るようにしていた甲斐が有ったというものだ。

 未だに驚きの表情のままだったゴブリンに近づき、手に持った長年の相棒でもあるナイフを突き刺す。

 そして、痛みに悶えるゴブリンを蹴り飛ばすことでナイフを抜き、離れた位置に倒れ伏したゴブリンに急いで近づいて止めを刺す。


「ふぅ、あっ魔石か……」


 ゴブリンが消えた後に残ったはのはどのモンスターからも出る魔石だった。

 ゴブリンからのドロップ品で言えば一番手に入りやすい物だけに俺としてはあんまり嬉しくないがこれは運の問題だからと言い聞かせる。


「そう、ドロップガチャに失敗しただけ。まだ、爆死はしてない!!」


 何か昨日回したガチャの結果が脳裏に過ったが、それすら忘れるように言い切ってから我に返った俺は急に恥ずかしくなって辺りを確認した。

 流石に今のを誰かに見られてたら恥ずかしい。


「さて、次だ次!」


 突き進む俺に時より襲い掛かってくるゴブリンもすんなりと倒しながら次の階へと続く階段を探す。

 こういう時に毎回ダンジョンのマップデータが有ればと思うが、探索者にとって重要な情報だから出回る訳無いし、協会側も国が運営しているだけ有ってそんな物を配布若しくは販売して死者を増やすような真似はしないだろうと現実を見てしまう。

 まぁ、協会も公式ホームページに買取相場とドロップモンスターの出現階層を随時更新するページを公開しているだけマシなんだろう。

 それにそれでどのダンジョンがどれぐらいまで攻略が進んでいるか分かるし、それ以外にも異常繁殖や変異種の発生についても分かるだけにダンジョンへ行く前に確認するのは探索者を含めたダンジョン関係者の基本になっている。


「初めて来たことも有って全然見つからないな」


 ダンジョンの広さが一気に広くなる三十階からに比べればその広さは狭いはずなのに見つかる様子の無い階段。

 既に恐らくこの階の九割近くは探索したはずなんだけどな。こう見つからないとこの後のドロップも期待できそうにない。


「はぁ、やっぱこの様子だと今日は程々で引き揚げた方が良さそうだな」


 襲い掛かってきたゴブリンの攻撃を避け、お返しにとナイフで切り付けて倒す。

 そして、残ったのは相変わらずの魔石。


「そろそろ、石斧とかボロボロの小剣とかも落としそうなもんなんだけどなー。いっそ、一番レアな腰布でも落としてくれないかな」


 そう、ゴブリンは魔石以外に使用している装備品の石斧やボロボロの小剣などを落とす事が有る。

 そして、武器はまともな武器を年齢制限で購入する事の出来ない未成年探索者たちにとっては貴重な物でダンジョン内で取引をしている姿が偶に見られる。また、一番ドロップ率が低いと言われている腰布は汚い・臭い・ボロボロと三拍子揃った最悪な物だった為に当初はドロップ率が低いのは歓迎されていた。

 しかし、その後の調査でその腰布はゴブリンたちが倒したモンスターの毛皮で作られている事が判明。しかも、そのモンスターは物によって違い、臭いや汚れを無くせば素材としても十分に使える物と分かった。

 それによって買取価格の見直しがおきてレアドロップらしい価格に見直された珍しいケースの一つとなった。


「まぁ、そんな事言ってると余計に出なくなるかもしれないし、無心無心」


 頭を振って邪念を振り払った俺はそのまままた襲い掛かってくるゴブリンと戦うのだった。




 今日の探索を終わらせて俺はダンジョンから出てそのままダンジョンと隣接している協会の買取カウンターに向かう。

 こうやって疲れからゆっくりと歩きながら周りを見てみると他のダンジョンと変わった所は特に無く、ダンジョンを隔離するように建てられた壁と正面に立つ協会の施設、そしてそこからダンジョンへの入退場を制限するように作られている一通の出入り口が見える。

 探索者からするとどうやっても協会を通らないとダンジョンに入れない為に不満は出ているが、実際に利用してみると入る直前に最新のダンジョン情報を手に入れれる事も有ってそこまで不都合は無いよう感じるようだった。

 俺が買取カウンターに着くころには時間的にも引き揚げ始める探索者が出てくる時間だけ有って込み始めていたが、まだ人数は少なかった為すんなりと受け付けが済む。

 

「では、こちらが今回の買取価格になります」


 そう言われて提示された金額は特に文句は無く、直ぐにサインし、ライセンスカードを差し出す。


「やっぱり今は魔石だけだとあまりいかないんですね」


「そうですね。今は昔に比べて魔石の需要よりも供給の方が上回ってるのも有って価格は安くなってしまってますからねー」


 魔石自体は常に求められている物一つに数えられている。しかも、それはダンジョンが現れてから実用化した発電方法に使われる物としてなのでかなりの量の需要が有る。

 しかし、それよりもダンジョンに潜る人の多さと他に家庭などで簡単に使用できる物に魔石を使う物がないという事から協会で全て買い取りされてしまう為に間に合ってしまう。

 買取担当者の言葉にまぁ、そうだろうなと思った俺はそのまま手続きを続けて会社への提出用の書類と返却されたライセンスカードを受け取った。

 これが企業所属の探索者ではなく、普通の探索者で有ればこのような書類を貰わずに金額によってはその場で受け取れるんだけどね。

 特に今日の金額は六桁にも届かない金額だと直ぐに受け取れる方が嬉しいんだけど。


「さて、さっさと帰って身体を休めるかな」


 手早く荷物をまとめると俺は家に帰る為に協会を後にした。

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