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36話

 まず最初に話す内容は俺が講習会で聞いてきた事についてだ。

 現在の探索者の総数などから始まり、ダンジョン内で確認された新種モンスターについてや探索者同士の揉め事、狩場独占の問題について説明する。


「という感じで協会からの発表が有った」


「見た限りだと私たちに関係しそうなのは探索者同士の揉め事ぐらいかしら?」


「ぱっと見ではそうですね。これに関してはいつ何時起きるか分からないですから」


「まぁ、そうだな。狩場独占にしろ新種にしろ現状で確認されてるのはどうしても人気の有るダンジョンとか大規模グループのいる所だからな」


 二人の言っている事にそう言いながら俺も少し考えてみる。

 現状で一番潜っている日野江ダンジョンもトップクラスの人気が有るダンジョンだけど、俺たちが潜っている範囲ではもっと潜った方が稼げる事も有ってまだそこまでの酷い事が起きた事はない。

 とはいえ、先の事を考えると近隣のダンジョンに潜るグループとかも含めて調べるに越した事はないだろう。


「ただ、この先の事を考えるとそんな風に考えていられなくなる可能性は高いと思う」


「そう、ね……」


 新種に関しては幸と桐野さんの元パーティーの事も有るから気にかけて置いても損は無いだろうし、それを思い出した幸の顔は少し悲しみの色が見えた。

 幸たちのパーティーを壊滅に追いやったというモンスターはその後も見つかってはいないらしいから遭遇する事もあり得るだろう。


「まずはこの辺りのダンジョンとかの情報を集めながら潜るとしよう。だから、幸たちも俺が居なかった間に潜ったダンジョンの雰囲気とか探索者の様子を教えて欲しい」


「分かったわ。幸太も大丈夫よね?」


「はい、じゃあ俺から行きますね」


 そういって話始めた幸太によると幸太が行ったダンジョンの内の何個かはそこまでドロップが美味しくない事も有って利用者数はそんなに多くなかったらしい。

 まぁ、日野江ダンジョンに比べるとそういったダンジョンの方が多くても仕方ないとは思う。

 それで通ってる探索者もご近所さんとかの近隣に住んでる人が多くてあまり荒れては無かった訳だ。


「そんな感じで探索もそこまで深く潜っても仕方ないって風潮になってました」


「あー、確かに協会のデータでもこれといって良いドロップが出たってのは無いし、それは仕方ない事なのかもな」


「そうね。前に私たちもそこに潜った事有るけど、そこまで良いと思えるダンジョンでは無かったわ、たしか」


 そう言って桐野さんを確認するように見るという事は前のパーティーでの話なんだろう。

 桐野さんも思い出しながらも頷く事から見るに実力が有るパーティーが潜るには物足りないという感じだったようだ。


「幸たちも潜ってそう感じたって事は優先して潜るダンジョンでは無いって事にしようか」


「分かりました。俺の他に潜ったダンジョンに関しては似たり寄ったりの場所が多かったので……」


「あー、確かにそんな感じだな。幸と事前に潜るダンジョンを決めてたようだし、一人で潜ってって言うならこの結果も仕方ないさ」


 幸太の報告書を確認してみると潜ったダンジョンは利用者数とかでは控えめな所が多いように感じる所が多かったし、幸と決めたなら幸太が一人で潜っても大丈夫な所だろうからこの結果も仕方ないだろう。

 幸の方も確認してみるがやっぱり幸太に比べたら難度というか危険度が高くなりそうな所を回っていたようだし、これは今後の新人研修用にとダンジョン関係のデータに記入する事にした。


「幸の方はどうだった?」


「私の方は報告書にもあるけど、やっぱり日野江ダンジョンが一番潜りやすいダンジョンだったって感じね」


 幸の顔を見るに一人で潜った事で色々と有ったようだった。


「どうしても利用者が多いところの方が良いドロップを得られるって環境になるみたい。まぁ、できるだけ複数人で潜る事を前提にした方がドロップも拾えると思うし安全も確保しやすいと思うわよ」


「今回、潜ったところは俺たち三人で潜るには少し物足りないって事で良いか?」


「私は良いと思うわ」


「俺もそう思います」


 頷く二人の様子にやっぱり日野江が一番かと思いながらも一緒に報告書に書いて有るウチの商品について聞いてみる事にした。


「で、次はウチの商品についてだけど、実際に目で見た感じはどうだった?」


「私の方は比較的使用者は多かったわよ。まぁ、実際に話しかけるのはなかなか難しいと思って前もって簡単なアンケートと名刺を用意したお陰で協力してもらえたような気はしたけど」


「俺の方もですね。まぁ、こっちはあんまり利用者がいなかったんですが……」


「元々、利用者の少ないところだったからな。でも、アンケートを取ったりするなら利用者以外の意見も重要だから大丈夫だ」


 そんな事を言いながらも全員でアンケートの結果について話し合い、データを作成した上で開発部へと現場調査の結果を上げる。

 そして、それを終えれば次回の探索に持ち込む製品についてやどういう日程にするかを決めるのだった。


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