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30話

 協会主催の講習会という事も有ってなかなか詳しい業界事情などを聴いた俺は休憩時間にまた園田さんと互いの会社についてなどを話した。

 違うダンジョンの話を聞けるのはいい機会だからと互いにいつも潜っているダンジョンの話について話した時はやはり探索者同士の会話だけ有って盛り上がり、探索で使う道具についての要望や希望も聞く事が出来た。

 俺たちは試作品についての確認とかは行うけど、深い場所で必要になる物とかは分からないだけにこういった事を聞けるのはありがたい事だ。

 そんな事を考えているとどうやら懇親会が始まるようでマイクとグラスを持ったスタッフが話始める。


「グラスはお持ちになったようなので、これより懇親会を始めたいと思います。それでは……、乾杯!」


『乾杯!!』


 合わせるように少しグラスを上げた後に園田さんとグラスを当てて口へと運ぶ。


「……頭を使った後の酒も良い物ですね」


「そうですね。しかし、至れり尽くせりでちょっと怖い気もしますが……」


 部屋の中央に用意されたテーブルに置かれた豪華な料理の数々にただの講習会でここまでやるのかと思いながら目を向ける。

 既に気の早い人たちは料理を食べる為に皿を持って料理に向かっている事も有ってどんどんと無くなっていく事に気が付いた俺も園田さんと目を合わせて食べ損ねないようにと向かう。


「あー、協会からしたらダンジョン攻略が進む方が良いからこうやって関係企業を持ち上げてやる気出して貰うようにしたいんじゃないかな」


「なるほど。じゃあ、しっかりした情報の提供とこういった事で大概の連携を取りやすくしたい訳って事ですか」


「たぶん、そうじゃないですかね。特に園田さんのトコみたいな企業ほど協会からしたら頑張って欲しいでしょうしね」


「なら、その分だけ満喫して帰らなくては」


 そう言って笑いながら料理をどんどんと皿に盛り付けていく園田さんを見習うように俺も食べたいと思ったものを取っていく。

 あっ、焼き鳥が無くなってるし……。


「しかし、やっぱりアメリカ、ロシアは競い合うようにダンジョンを攻略しようとしてるんですね」


「まぁ、その二国と中国に関してはそうでしょうね。正確な攻略階数とかはもっと深そうな気はしますが」


 周りの空いていたテーブルに皿を置きながら園田さんが言ってきたのは講習の内容だった。

 やはりダンジョンに潜る事を仕事にしていると自分たち以外の事が気になるのだろう。


「実際、それ以上に深いとは思いますよ。日本でも自衛隊が先行してますけど、やっぱり他の国に比べたら周りからの支援も少ないらしいのでそこまで進めてないですからね」


「やはり深い所は大変ですか?」


「えぇ、どうしても長い事潜るとなると食べ物などがネックになってきますから」


「あー、アイテムボックスとかが無いと大変ですもんね。それに潜るのにも時間がかかりますし」


「そうなんですよ。三十階以降は洞窟系じゃなくなるのは救いなんですけど、それでも食べ物関係は長く潜るとなると気になるんですよ」


 飽きが来ますしと続ける園田さんのその顔は経験した事が有るのか真顔だった。

 こうやって聞くと今後長く潜る事になる可能性が有るだけに不安になりそうになる。まぁ、アイテムボックスを持っているからその辺りにはたぶん大丈夫だと思いたいんだけど。

 そんな事を考えていると一つ疑問が浮かんだ。


「でも、ドロップとかを調理すれば飽きも少ないんじゃないんですか?」


「ドロップはどうしても肉に偏りがちなんですよ。運よく卵を落とすモンスターや魚系モンスターに出会えても野菜とかになるモンスターは見つかってないので……」


「じゃあ、米やパン辺りは持ち込んだ量のみって事ですか。それは辛くなりますね」


「それに塩とかの調味料も量を持って行かないと素材を生かした味しか食べれなくなる可能性も有りますし、深く潜る分だけ帰りも長くなるので気を付けないとホントに大変ですよ」


「はー、そうなんですね」


「あっ、ちょっと飲み物と食べ物取ってきますね」


 そう言って園田さんがテーブルから離れた。

 しかし、園田さんの話を聞くと今まではそんなに深く潜る事が無かったし、アイテムボックスも有ったから食料品の事を深く考えた事は無かったけど、話を聞く限りだとやっぱり会社として飲食関係と提携するのも悪くない話なのか。

 個人的にもダンジョン内で美味しい物を食べれるようになるって事は嬉しいから良いけど。


「羽生さん、お待たせしました」


 そういって新しい飲み物と皿一杯に色々な食べ物を持って戻ってきた園田さんの後ろには知り合いと思わしき人が一人立っていた。

今年最後の更新となります。

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