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24話

 振り下ろされた一撃はそのまま防がれる事も無くゴブリンジェネラルを切り裂いた。

 そして、その様子に動きを止めたゴブリンを幸太や俺も倒していく。


「これで終わったな」


「はい、良いのが出ると嬉しいんですが」


 全部の敵を倒し終えたのを確認した俺はそのまま現れた討伐報酬の入った宝箱を開ける。

 中身は色様々な宝石が五個。当たりかハズレかと言ったら当たりと思っても良さそうな内容だ。


「今回は宝石が五個だった」


「悪くは無いないと思うわよ?」


「そうですね。鑑定結果次第ですが、魔宝石だったら売るのを止めて自分たちで使っても良いんですから」


「じゃあ、鑑定次第では売らないってので良いか」


 頷く二人に宝石をアイテムボックスに入れる。


「でも、今日も本当にここまですんなりと来れましたね」


「まぁ、あの時が異常だったって事だな」


「そうね、じゃなきゃ鬼がボス部屋にいないわよ」


 幸太が嬉しそうにそんな事を言ったが儲けを気にするなら喜んじゃいけないところだ。

 ただ、今回はボス討伐報酬が宝石だった事を考えると今回はそこまで酷くは言えないけど。


「さて、これで三十一階に着く訳だけど、意外と早い時間でたどり着いたな」


「時間的にもちょうど良いからお昼にしましょう」


「じゃあ、食べ終わってから帰るって感じですか?」


 幸太の言葉に時計を確認しながらこの後の予定を考える。

 時間的には余裕が有るから軽く三十二階の入り口付近までなら少しだけ探索する事は出来るだろう。

 勿論、この三十一階に生えてる木の実とかも売れない事はないからそれも回収していけば最低限の利益は手に入るはずだし。


「そう言えば、進さんって時計を持ち込んでいるようですけど大丈夫なんですか?」


「あぁ、これは昔ながらの巻時計だから問題ないよ。流石に電波時計とかソーラー時計とかはダンジョンの影響を受けるだろうから持ち込む気は無いけど」


「もしかして、結構詳しいの?」


 驚いたような表情をする二人。

 まぁ、幸太の方はダンジョンの摩訶不思議さで時計に異常が発生する事を知ってればするような反応だけど、幸はまるでファッションに興味無い人間に驚いているような意外そうな顔だな。


「ちょっと知り合いに時計修理関係に関わってる人がいるからな」


「へぇー、珍しいわね。このご時世に」


 幸が言いたい事も分かる。

 正直、今時はスマホとか街角の電光掲示板とかに時計機能が付いてるから使わないって人も多いからな。

 ただ、ダンジョンは初期の段階からうまく電子機器が動かないと知られていたけど、電子部品の入ってない巻時計に関しては影響を受ける事無く使えるって事が分かってからは売り上げもかなり上がったらしい。

 そのお陰か知り合いの所に修理で持ち込まれる時計が増えて偶に愚痴聞きがてなに呼び出されて飲みに行く機会が増えたのには困ったけど。


「まぁ、本人はダンジョンのお陰で仕事が増えたって喜んでたよ」


「でしょうね。でも、巻時計ね……」


「面倒じゃないんですか?」


「面倒って……、慣れれば気になるほどでもないよ。それにダンジョンに深く潜れば潜るほど必要になってくるから俺たち以上に潜る探索者からすれば必需品だから嫌でも慣れる」


 まぁ、スマホや電波時計とかに慣れてれば不便に思うかもしれないけど、実際はそこまで不便でもないんだよな。

 結構、勘違いしてる人多いけど、電波時計は基本的には常に電波受信している訳じゃなくて決められたタイミングで電波を受信してズレを直してるだけで修正機能以外は普通の時計と変わらない物ばかりだから。

 他にもソーラー時計とかも勘違いしてる人が多いけど、元を辿ると売買のタイミングで説明不足っていうかミスリードが発生してるから問題なんだって長々と聞かされたんだった……。


「どうかしたの?」


「いや、ちょっとソイツに会った時のこと思い出してな」


 どうやら顔に出てたらしい。

 いや、でもアレは本当に大変だった……。そんな愚痴が続くかと思ってれば、巻時計に関しての愚痴も出るし。

 確かにダンジョンとかの激しい運動するのには巻時計が不向きってのは聞いてたから分かるけど、修理依頼者に対する苛つきを俺で発散するのも困るんだよ。


「はぁー、まず飯にしよう」


「なんか、すみません」


 どうやら俺の様子に自分の言葉が原因だって気が付いた幸太が謝ってくる。

 そんな幸太に気にしてない事をアピールしながら、気分を変えるために俺はいつものように食材や道具を出して料理を始めるのだった。

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