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スタートライン  作者: 日向 奏
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3.置いてけぼり

 ボールを蹴るときの鈍い音が、グラウンドいっぱいに広がる。光太郎はその音が好きだった。力一杯ボールを蹴る音、リズムを刻むようにリフティングをする音、パスをするときの柔らかな音。その全てが、光太郎にとっては心地よく、嫌なもの全てを忘れさせてくれるものだった。

 けれど、今日は一つだけ欠けているものがあった。博臣だ。

 光太郎がサッカーを始めてから約六年。そのサッカーの中にはいつも博臣の影が写っていた。これは比喩表現とか例え話ではない。光太郎がサッカーをするときには、今まで必ず博臣が一緒にいたのだ。彼は風邪を引いたことも無ければ大きな怪我をしたこともない。だから、本当の意味で、光太郎は博臣抜きで始めてサッカーをしたのだ。博臣のいないところで始めてボールを蹴った。その事が、光太郎の心のどこか違和感を覚えていた。


「博臣……」


 物足りなかった。サッカーの中に博臣がいない事が普通じゃない気がして、おかしかった。

 そんな自分の方がおかしいとわかっていても、それでも光太郎は違和感を背負わせながらボールを蹴り続けていた。


「光太郎って、ポジションどこやってたんだ?」


 背後からの声に体を跳ね上がらせる。そんな様子が面白かったのか、声の人物は腹をかかえて笑った。


「お、大我、脅かすなって」


「お前が驚きすぎなだけだろうが。はー、おもしれぇ」


 声の主は大我だった。

 暴れる心臓をなだめるように、乱れた呼吸を直すように深呼吸する。三回目くらいでようやく落ち着き大我と向き直った。


「んで、何だって?」


「お前、中坊んときポジション何やってたんかなーと思ってよ」


 中坊て、そんな昔の不良じゃないんだから。


「センターのミッドフィルダーだよ」


「やっぱそうか。それらしくて良いな!」


 わかってたような言い回しだ。不思議になった光太郎は聞いてみた。


「何でわかったんだ?」


「お前の頭脳が生きるのは、ミッドフィルダーかボランチかと思っただけだ!」


 成る程、光太郎の性格を見抜き、その上で中盤が向いているのだと大我は感じたようだ。実際その通りだった。光太郎は頭が良かった。そして、動きや指揮でその頭脳を発揮するならそのポジションが一番適切だったのだ。


「大我は昔と違って周りがよく見えるようになったな」


「光太郎ほどじゃねぇけどな」


 全く、しゃべり方からは想像もできない成長ぶりだ。

 大我とまたサッカーが出来るのかと思うと、先程まで重かった気持ちが少しだけ軽くなった。そうだ、博臣がしているのは前日の事情聴衆。強制的な反省文とか、謹慎とかそういうのとは違うのだ。何故か光太郎は博臣がいないと調子が狂うらしい。


「んで、大我は?」


 言わなくたってわかる、大我は小学校の時からずっとフォワードをやってたのだ。前線に出て相手チームをゴタゴタぶっ飛ばす様は今でも想像しやすい。


「俺はディフェンスだ」


 あ、そうですか。


「お前、小学校の時ずっと前衛だったのに、守備なんて出来るのかよ」


「あたぼーよ!」


 まあ確かに、これだけ大きければディフェンスも務まるだろうが。しかし、こんなやつにディフェンスを任せて大丈夫なのだろうか。相手の前衛を吹っ飛ばしてファールになる想像しかできないが。


「おい光太郎。今、失礼な事考えてるだろ」


「考えてない」


「考えたろ」


「考えてない」


 全く、どうしてこうも大我は勘が鋭いのか。見ている限りだと観察眼が鋭いわけでも頭が良いわけでも無さそうだ。にもかかわらず、これほどの勘を持っているとは。


「全く恐れ入る」


「ったく、まあ今回は見逃してやるよ」


 ご寛大なようで何よりです。


「顧問が来た。えっと、森と八代であってるよな、集合だ」


 キャプテンである三年生の菊地先輩が遠慮がちに声をかけてくる。耳にかかるくらいに長く整えられた髪はこめかみ付近だけを刈り上げており、ツーブロックになっているのが印象的だった。

 二人は返事をしてキャプテンの後へと続いた。

 部員たちが集合している場所に行くと、そこには既に先生らしき人が待っていた。隣には落ち着かない様子の博臣も。


「これで全員か、菊地」


 先生は重さを感じる低い声でキャプテンに声をかける。その雰囲気にはどことなく凄みを感じた。


「光太郎!」


 博臣は光太郎の顔を見るなり、安心したようにその表情を笑顔に変えた。


「良かった、全然来ないから入部するのやめて帰っちゃったのかと思ったよ」


「そんな訳……」


 言い終わる前に言葉を止めた。先日、博臣と歩はどうやら上手い方向に話が転がらなかったらしい。サッカーをやめてしまった仲間をつい先日に目の当たりにしてしまったのだ。中々見つからない光太郎を不安に思う気持ちは必然のものだった。


「俺がやめるわけ無いだろう」


 あくまで自分は、そう言い聞かせるように言っておく。


「そ、そうだよね」


 そこでやっと光太郎は、先生が自分達を見ていることに気づいた。


「あ、すみません」


「いや、大丈夫だ。博臣の事情は俺にもわかってる」


 理解のある先生だ。そう思った。


「さて、話を変えるぞ、俺はサッカー部の顧問の大久保だ。これからよろしく、一年諸君。既にわかっているとは思うが、今日からは新一年生が仮入部と言う形で部活ができるようになっている。それは例外なくサッカー部でもそうだ」


「はい、今日からは一年生も交えると聞いていましたので、それ用のメニューを作って練習していたところです」


「さすが菊地だ。ということは、ここにいる一年との顔合わせは終わっているんだな?」


 当たり前だと言うように、二、三年生全員が同時に頷く。なんと言うシンクロ率、どうやらチームワークは完璧なようだ。


「じゃあこいつの紹介だけでいいな、ほら自分の名前と学年、中学ん時やってたポジションを言え」


「そ、そんな子供に教えるような言い方しなくたって自己紹介くらいできますよ!」


 子供扱いされた事が恥ずかしかったのか博臣が頬を染める。

 端から見たらまるで親子だな。

 その場にいる全員の思考が一致した。


「宮田博臣です。一年生で、中学の時は特に固定されず、その時の状況や調子に合わせて色んなポジションをやっていました」


「色んなポジション?」


 一番最初に聞いてきたのは菊地と呼ばれた男だった。


「はい、フォワードからディフェンスまで、サイドもセンターも、キーパー以外のポジションは全部やってました」


「どこが一番得意なんだ?」


「どこでも出来ます」


 感心したように大久保が口笛を鳴らした。


「お前ただ上手いだけでは飽きたらずどこに居てもその力が発揮できるって言うのか」


 博臣は首をかしげた。

 何故、そんな事を聞かれたのか、自分の言った事のどこにそれほどまで食いつく要素があったのか、わからなかった。けれど自分に興味を持ってくれる事はありがたいことだった。試合に出してもらえるように今は話をしなければ。


「そうです。ところで、俺まだ先輩たちの名前を知らないんですけど」


「あぁ、悪かったな。俺がキャプテンの菊地、三年生だ。二年は左から堂島、佐川、小村崎で、それ以外にも何人かいるんだが今日は欠席だ」


 顔合わせを出来たメンバーは四人だけだ。欠席とは言っていたが、何人か足したくらいでサッカーの出来る人数ではない。博臣は、少しだけこの高校が強豪であることを疑った。


「一年生も紹介した方が良いか?」


「あ、あの左から二番目の人以外は知り合いなので……」


「あぁ、彼は菅原……英斗くんだったかな?」


 菅原英斗?どこかで聞いたことがある名だ。


「って英斗!?」


 空を眺めていた英斗は、視線を前に戻した。何て呑気なやつだ。


「あ、博臣、久しぶりー」


 その言葉を聞けて嬉しかった。またここに一人、約束を忘れずサッカー部に入部してくれた仲間がいたのだ。涙腺が緩み、思わず出そうになる涙を必死に我慢した。

 英斗の方は、それほど感動を覚えているわけでは無さそうだったが。


「何だ、お前ら知り合いなんじゃないか」


「はい、あまりにも変わりすぎていたので全然気がつきませんでした」


「博臣は全然変わってないねー」


 もう一度英斗と向き直る。昔から髪は短い方では無かったが、それでも、前髪で目が隠れ後ろ髪も肩まで届いてしまうほどに長くは無かった。まるでビジュアル系バンドのボーカルみたいだ。


「さて、お互い名乗り合いも終わった事だし、俺からもう一つ話がある」


 影を潜めていた大久保が前に出る。

 それに合わせるように、博臣は菊地の隣に並んだ。


「先程もちらつかせたが、宮田はどうやらかなり強いらしい。自分で自分が出来るやつだと言ってしまえるほどに、自分が一番だと認められるほどにだ。そこで、一年対二、三年の紅白戦をやってもらいたい」


「い、今からですか?」


「んな訳無いだろ」


 ですよね、と後ずさる菊地。

 全員が異論の意を見せないことを理解し、もう一度話を戻す。


「紅白戦は、四月末に行う予定だ。と言ってもミニゲームみたいなもんなんだがな。一年生の人数に合わせて対二、三年でやってもらうつもりだ。コートの広さも人数に合わせる」


 博臣は辺りを見回した。

 一年も二、三年も四、五人しかいない。こんな人数でまともな試合が出来るなんて到底思えなかった。少しだけ憂鬱そうに博臣はため息をはいた。


「だが最低一チーム七人はいてほしいと思ってる。一年の人数が足りない場合は、二年から何人か選抜する」


 成る程、七人もいればまだまともな試合が出来るだろう。大久保の有能な判断に思わず頬が緩む。


「ん、博臣。何がおかしいんだ」


 その表情を見てか、大久保は突っ込んだ。


「いや、有能な先生だと思いまして」


「なーにが有能だ。生意気なやつだな」


 言葉遣いは荒いが、目は怒っていない。さすがに言い過ぎたと思ったが、どうやら大久保にとっては軽い冗談のようだ。懐が広くて、考えや指示も的確、博臣は始めて先生に対し尊敬の心を持った。


「この子がそんなに凄いんですか?」


 二年の、佐川が親指を向けて来る。

 見た目にも声にも特徴の無い、ザ普通って感じの人だ。


「それは見てみればわかるだろう。と言っても、俺も実際に凄いところを見たわけでは無いんだがな。何でも中学の時に関東大会まで行ったらしい」


 興味がないとでも言うように佐川は鼻を鳴らした。前言撤回、どうやら普通に嫌なやつらしい。

 そんな博臣の考えに気づいてか否か、佐川と目が合う。明るい、茶色い瞳が博臣の視線を奪う。


「……」


 だが、すぐに反らされたので特に気にする事もなくまた先生へと視線を戻した。


「ここまでで、何か質問はあるか?」


「はい」


 手を上げたのは英斗だ。その面持ちはここにいる誰もが見たこと無いほどの真剣さを帯びていて、大久保でさえも思わず喉を鳴らした。


「先生は、そばとうどんどっち派ですか?」


 先生の顔が苦笑に歪む。

 呆れたのだろう、端から見ていた菊地や博臣、光太郎などもその空気の読めなさに唖然としてしまっていた。


「俺はうどん派かな」


 あ、答えるんですね。満面の笑みを浮かべる菊地だったが、そこから滲み出る謎のオーラがそう語っていた。


「成る程、さすがは先生。簡単には侮れませんね」


 英斗は何かを理解したように頷くと、不敵に笑みを浮かべた。否、この言い方では語弊がある。不敵にではなく、不適なが正しいだろう。

 ともかく、これ以上無駄な時間を取らせるわけにはいかない。それは菊地も同じ気持ちのようで、博臣が出るよりも一足先に前へと出た。


「先生、そろそろ時間が」


「あぁ、そうだったな。後はお前のやりたいようにやってくれていい。メニューも任せる。ただ、教えてほしい事、手伝ってほしい事があったら何でも言え。必ず力になってやる」


 頼もしい、今日一日で大久保に対して博臣が抱いた感情はそれだった。とにかく頼もしい。大久保の元でやるサッカーはきっとどこまでも安心できる。そんな気がした。


「じゃあ、練習を再開するぞ」


 そして同時に菊地にも尊敬の意を向ける。高校生と言う、まだ大人として未熟な存在でありながらここまでちゃんとしている人を始めて見たかもしれない。こちらもまた、先生には及ばないにしろ頼もしいと思った。どうやらここのサッカー部に入ろうという選択は間違ってはいなかったらしい。


「何をしている宮田。お前も早く来い」


「は、はい」


 どうやら周りはもう動き出していたらしい。彼らの後を追うように博臣は走り出した。


 帰り道がいつもより長く感じる。

 自転車の上で風を感じながら博臣は疲労のたまった足でペダルをこいだ。

 今までとは違う、高校での部活動に体が疲れを感じているようだった。こんな事は歩んできたサッカー人生の中で始めての出来事だった。


「自主トレーニング増やさないとな」


 博臣の余裕だった心が焦りに変わる。


「何だ、博臣でもやっぱ焦りとか感じんのか?」


「当たり前だ」


 煽ってくる大我を素直な対応で受け流す。

 自分自身体力はある方だと思っていた。実際九十分ある試合でも疲れてペースが乱れる事はなかったし、多少の疲れがあってもそれは思い込みで誤魔化せる程度だった。だから今日、高校で部活動をしてみて練習でこれほどまでに疲れるとは思ってもいなかった。


「違うよ」


 博臣は顔をあげる。声を発したのは光太郎だった。


「どうせ博臣は、今のままじゃ部活に追い付けないとか、盛大な勘違いをしてるんだろうけど、お前ちゃんとした練習半年くらいしてない事、忘れてるだろ。いくら自主トレしてるからって、さすがにそれだけじゃあ、体力は落ちるに決まってる。数日もやってれば感覚が戻ってきてすぐ疲れないお前に戻るさ」


 光太郎には妙な説得力がある。確かに、中学三年生は夏の大会が終われば部活は終了。そこそこ勝ち残り秋まで部活をやっていた博臣たちも例外なく十月には引退していた。だから、博臣はその言葉に頷かざるを得なかった。


「そんな考え方が出来るなんて、さすが光太郎だな」


「褒めたって何も出ないぞ……あ」


 何かを思い出したようにポケットを探る。そこから手のひらサイズのチョコレート菓子が姿を現す。もちろん包装はされている。


「チョコなら出るけど」


 そう言ってチョコレートを差し出す光太郎は夕日に染められ、どこか儚げに見えた。


「ありがとう」


「ねぇねぇ、俺には?」


 忘れんな、と言わんばかりに自己主張をしてくる大我を光太郎が制止する。


「残念、一個しかありませんでした」


「え、その一個を博臣にやったのかよ! 優し!」


 うるさい。


「歩もこの中にいれば良かったのに」


「え?」


 光太郎と大我が博臣を見る。


「え?」


 何が起こったのかわからない、という風に博臣も顔をあげた。三人の視線が混じり合う。


「お前、やっぱり歩の事が好き……」


「ば、馬鹿、そういうんじゃないって」


 少しだけ驚いた。光太郎にしては冗談のレベルが高いというか、光太郎らしかぬ冗談だったから。


「でも、本当いつも歩の事ばっか考えてんじゃん。小学校の時もいつも一緒にいたし。実はあの時既にそういう関係だったんじゃねぇのか?」


「アホ抜かせ」


 博臣は大我を押し退けて、少しだけ先を走る。確かに博臣は歩の事を心底気に入っていた。歩は博臣に無いものをたくさん持ってたし、博臣の強さを最初に認めてくれた人なのだ。理由はそれだけで十分だった。


「俺と歩はお互いを高めあって生きてきたんだ。プレーの相性も良かったし、俺はあいつの強さを認めてる。それだけで十分なんだ」


「プレーの相性も良かった、だってさ光太郎」


「今のは完全に博臣が悪いな」


 どうやら今日はそういうテンションの日らしい。ふざける光太郎たちは放っておき、博臣は景色を見渡した。もう随分と走ったからか、辺りに田んぼは見当たらない。見渡す限り住宅街が広がっており、少し先には大型ショッピングモールの看板が見えた。家は近い。


「なぁ博臣」


 急に低いトーンで呼ばれ、振り返る。

 声の主は光太郎だ。だが、先程のふざけた雰囲気を全く感じさせない鋭い目をしていた。


「俺じゃ駄目なのかよ」


 その目は博臣に何かを訴えかけていた。けれど、博臣にはそれが何なのかわからない。わからないけど、なぜか聞くことは躊躇われた。だから自分が出来る精一杯の答えを返すことにした。


「光太郎もいなきゃ駄目だ。でも、俺は歩も欲しいんだ」


 背後から、二股宣言だ、とか言う大我の声が聞こえてきたが、反応すれば頭に乗るとわかっていたのであえて無視した。


「俺は、十一人全員揃っていて欲しいんだ」


 光太郎は少しだけ納得したように、けれどどこか不服そうに微笑むと、そっか、と呟いた。

 それからは誰が口を開くこともなく三人はそれぞれの家へと帰っていった。雰囲気を察したのであろう大我も珍しく黙って周りを見渡していた。光太郎は難しい顔をしていた。やはりさっきの答えでは納得できなかったのか、何が言いたかったのか、どんな回答を求めていたのか、博臣にはわからなかった。

 わからないまま家についてしまう。考えたって仕方がない。割りきって玄関の扉を開く。


「ただいま」


「おかえり博臣」


 驚いた。玄関を開けたら、目の前で母が仁王立ちしていたのだ。


「珍しいね、玄関までお出迎えなんて、まるで王子さまにでもなった気分だよ」


 いつもならばキッチンで晩ご飯の支度をしている時間帯だ。それなのに今日はここで博臣の帰宅を待ち伏せしていた。どう考えても悪い予感しかしない。だから博臣は目を合わせないようにしてそう軽口を言いながら靴を脱いだ。そしてそのまま横を通り抜けて……


「待ちなさい」


 成る程、誤魔化しはきかせてくれないらしい。いつ帰ってくるかもわからない息子を玄関でずっと待っていたのだ。余程怒っているか、余程の大事か、少なくとも今までにこんな事は無かった。


「どうしても伝えたいことがあって待ってたの」


 成る程、どうやら大事の方らしい。叱られずにすんだ事を安堵する。


「あなた、今日からバイトしなさい」


「はいはいそれくらいわかってるよ。予習復習くらいちゃんと……。今何をやれって言ったの?」


「今日からバイトをしなさいと、そう言ったのよ」


「今日からバイトをしろと、そう言ったの?」


 そんな馬鹿な話があるだろうか。忘れていたが、確かに高校生からバイトが出来る歳だ。だからと言って事前に連絡もしてないのに今日からいきなりバイトなんて出来るはずがない。いくら母親だからと言って横暴にも程がある発言だった。ここは断固として拒否をしなければ。


「母さん、さすがにそれは……」


「了承は既にとってあるわ」


 何でだよ。


「私の友人で本屋を経営している人がいるのよ。その人に頼んだら人手が足りないから百合子ちゃんの子供なら大歓迎って言ってくれたわ。七時からって約束してあるから行きなさい」


「ちょ、ちょっと待ってよ。今日始めての部活で疲れてるんだよ。それに、これからも部活は毎日あるし、バイトなんてしてる余裕無いよ」


 黙り込む百合子。勝った、そう思った。


「そう、ならあなたの使っている携帯はもう解約しても良いかもしれないわね」


「は?」


「だって働ける歳なのにいつまでも携帯代出してもらうなんておかしな話でしょ? やっぱり自分の携帯代くらい自分で出さなきゃ、でもそのためにはやっぱりバイトって必要よね?そう思わない?」


 百合子の目はもう既に笑っていない。ここで更に否定的な態度を取れば、その時は博臣の人生の終わり、いや、SEKAI GA OWARIを告げる。


「わかったよ、行くよバイト」


「そう言ってくれると思ったわ」


「けど母さん、これだけは言わせてよ。バイトをさせるのは良いけど何でもかんでも強引に決めるのはやめてよ。今日もっと帰りが遅くなってたらどうするつもりだったの? バイトするくらいなら携帯なんて要らないとか言ってたらどうするつもりだったんだよ。本人のいないところで勝手に約束とかしないでくれよ」


 母親は目を閉じて、ふっと笑った。

 何にも面白いこと言ってませんけど。


「確かに、少し強引すぎたかもね。悪かったわ」


 大分強引だったと思うが、謝罪の言葉をもらえたのでこれ以上突っ込んだ真似はやめておく事にする。博臣が戦意を失ったことを確認してか、百合子の表情が柔らかくなる。


「場所は駅前のムササビ書店よ」


「そんな童話しか置かれてなさそうな所に配属されたのか俺は!」


 けれども抗う術は持っていなかった。






 世の中には、どうしても抗えないものと言うのが存在する。そして、それは何であれ必ず自分の障害として目の前に立ちはだかる。博臣にとってのそれは、親であった。いや、別に嫌いだとか邪魔だとかそういう訳では無いのだが、面倒事が増えたと思った時は大体が親の仕業だったのだ。


「君が百合子ちゃんの息子だね」


 店に入ってすぐ、待ち構えていたかのように百合子と同い年くらいの女の人が立っていた。


「似てるからすぐにわかったよ」


「はい、博臣って言います」


 似ていると言われたのは始めてだが、何だか不愉快だった。百合子に似ているなんて悪口だと思った方がしっくり来る。


「それにしても……」


 本屋と言うから一応シャワーを浴びてきたのだが、どうやら正解だったようだ。店内は清潔に保たれており、とても砂まみれになった人間が入っていい世界ではなかった。


「お店、綺麗でしょ」


「あ、はい」


 そんなにわかりやすいだろうか。色々な人に心を読まれている気がして、何だか落ち着かない。相手のペースで話が進むのがどことなく気に入らなくて話題を変えようと思った。


「あの、そういえば遅れてしまってすみません」


「良いんだよ、部活に入ってるんだろう?もしかしたら遅れるかもしれないって事前に百合子に言われてあったし」


 成る程、遅れる可能性に対する配慮は既に出来ていたわけか。


「それじゃあ、早速仕事を教えようかな。と言っても教えるのは私じゃないんだけどね。ついてきて」


 言われるがまま、店長の後を追う。その道中店内を見回していたが、やはりどこも清潔に保たれていた。


「豊。新人が入ったから、色々仕事教えて上げて」


 豊、と呼ばれた少年が、スタッフルームから顔を出した。茶色く染められた長い髪、耳についたピアス。どこからどう見ても寒川豊そのものだった。


「豊じゃん!」


「って博臣。お前なんでこんなところに」


「え、あなたたち知り合いだったの?」


 なんて事だ、まさか豊と同じバイト先に配属されるなんて。


「母さんの紹介で来たんだ。まさか知り合いがいるなんて思いもしなかった」


「部活やりながらバイトとは頑張るねぇ」


「知り合いなら丁度良いわね。豊、博臣くんに色々教えてあげちゃって」


「たく、しょうがないなぁ」


 そう言う豊の表情はどこか嬉しそうだった。






 仕事の内容は簡単だった。

 強いて注意されたのは、挨拶の声量、本屋だからあまり大きな声では駄目らしい。あとはレジでのお金の数え間違いくらいだった。それ以外の難しい作業は他のベテランさんや店長がやってくれるらしい。

 バイトだからと力んでいたが、これなら部活後でも難なく出来そうだった。


「どう?大体の仕事の内容はわかったかな?」


 嬉々とした表情で豊が問う。当たり前だ、博臣も友人とバイトできる事が嬉しかった。


「うん、俺の主な仕事は、少なくなった本の補充と掃除、あとはレジ、で良いんだよね」


「その通り。お金のミスさえ気を付ければ大抵の事は見逃してくれる。お金だけは本当に気を付けろよ」


 一回頷く。


「じゃあ、他に何か質問は?」


 やっと来た、と言わんばかりに、博臣は食い気味に訪ねた。


「やけに手慣れてるけど、ここのバイトはいつからやってるんだ?」


「一年前くらいからかなー。店長が俺のおばさんなんだ。父親の妹だったかな。それで、お金に困ってるから働かせてくれって頼んだら働かせてくれた」


 豊は軽い調子で言っているが、博臣にはそれが冗談には聞こえなかった。ある単語を聞き逃さなかったからだ。


「豊、お金に困ってるんだ」


 豊はいつもの表情を崩さぬまま固まった。博臣は知っていた。豊はいつも自分が辛いとき、苦しいとき、必要以上に明るく振るまい隠そうとする。そしてその事について問い詰めようとすると、今と同じような顔で固まって言い訳を考えるのだ。やっぱり、昔から何も変わってはいなかった。


「良いよ、言いたくないなら無理に言わなくても」


「え」


「えって、言いたくないんだろ。中学生にバイトを許すほどの理由なんだろ、無理には聞かないよ」


 豊の表情が柔らかくなる。無理矢理に上げていた口角がもとあるべき位置へ戻り張りつめていた糸が切れるように雰囲気が丸みを帯びる。


「いや、博臣にだけは、聞いて欲しいかな」


 豊は博臣に目を合わせないように作業しながら語り始めた。


「お父さんが死んだんだ」


 唇を噛む。口を挟んでも、声を上げてもいけないと思った。我慢して聞かなきゃ。


「中二の時だった。信号を渡ったお父さんの車に、赤信号を無視して横断してきた大型トラックが突っ込んできたんだ」


 頭の中で事故の映像を想像する。トラックが突っ込み、車が潰れながら吹っ飛んでいく様が目に浮かんだ。


「身体中血だらけで、骨も何本も折れてて、救急車が到着したときには父は既に死んでいたと聞いた。当たり前だよな。車がトラックに潰されて飛ばされたのに中の人間が無事なわけがない」


 豊の声がどんどん大きくなっていく。制止させるように博臣は豊の口に人差し指をたてた。


「わ、悪い、少し興奮してた。それで、後日相手の運転手と話し合う機会が設けられたんだけど、あいつ信じられない事を言ったんだよ」


 その時の豊の顔はたぶん一生忘れられないだろう。憎しみに囚われた、悪い人間の顔、今までで一度も見たことのない顔をしていたのだ。


「金はやるって言ってるだろうが。たかが一人死んだだけで大袈裟な。八つ当たりなら他所でやってくれ、良い迷惑だ」


 一呼吸置いて豊はようやくこちらを向いた。


「ってな」


 豊の怒りの理由は理解できた。当然の事ながら、博臣も胸の奥で沸々と沸き上がる怒りに身を震わせていた。人を殺しておいてそんな言い方、許せるはずがない。


「つっても、どうしようも出来ないのも事実だった。一人じゃどうすることも出ない非力な子供だって事をよく思い知らされたよ。確かにあの後、お金は払ってもらえた。でもそんな物はどうでも良かった。こんな簡単に他人に自分の幸せを踏みにじられる、俺の大切なものはこんな簡単に奪われてしまう。そんな事実が俺には耐えきれなかった」


「豊……」


「だから俺は決めたんだ。俺は、必ず自分の手で幸せになる。父を失い、残されたたった一人の母さんも、必ず幸せにする。あんなやつのせいで不幸になったなんて冗談じゃない。俺たちはお前ごときに幸せを奪われるほど脆弱じゃないんだって」


 暗かった豊の顔がに明るさが戻る。その顔が果たして無理をしているのか、博臣にはわからなかったが、その事については何も言わなかった。


「だから俺は大手企業に就職して、あいつより偉い人間になろうと思ったんだ。そのためには良い大学にいかなきゃいけないだろ?これはその資金集めさ」


 始めて、サッカーが上手い以外の理由で人を格好良いと思った。豊は格好良かった。自分の意思で、大学へ行くためのお金を集めるために、好きなサッカーも趣味も全て捨てる。自分の意地のために、全てを捨てて未来を掴もうとしている。


「変わったんだね、豊」


 そう思った。

 博臣にその熱は無かった。特に何の不自由も無く生きてこれたし、サッカー以外には特に努力もしてこなかった。みんなもそうなのだと思ってた。自分の一番好きなサッカーに力を入れ、楽しさを追求するために本気で努力する。それが当たり前なのだと思っていた。


「豊は、大人になった」


 さっきまで抑えていた口が小さく、自分の意思とは関係なく動く。


「歩も変わっちゃった、英斗も」


「ひ、博臣、どうした?」


「俺はずっと変わらなかった。だからみんなもずっと昔のままだと思ってた。けど違った。みんな変わってた」


 何が言いたいのかは博臣自身もよくわからなかった。口だけが勝手に動き続けた。


「光太郎と大我も、本当は変わってるのかな。俺だけ、俺だけ置いてけぼりで。みんな本当は変わってたのかな。サッカーが好きなのは、もう俺だけなのかな」


 博臣は、感情を抑制しようと唇を噛んだ。その様子を見て、豊は言葉をつまらせた。本当に博臣は昔のまんまなのだと、改めて実感してしまったから。

 けど否定しなければならない。豊が博臣の肩に手を置くと、その体が少し震えた。


「そんな訳ないだろ。光太郎も大我も歩も、会ってないけどたぶん英斗も、そしてもちろん俺も、サッカーが好きに決まってる。でも、きっとそれだけじゃあ駄目なんだって思ってるだけだ」


「それだけじゃあ駄目?」


「サッカーをやりながら、それでも、これから訪れる未来についてちゃんと考えなきゃいけない。博臣が将来どうなりたいのか、博臣自身が考えなきゃいけないんだ」


 それとサッカーに何の関係があるのか、博臣には理解できない。


「きっとみんなはそれを考えた上で行動してるんだ、歩も、俺も」


 けれど、それを否定する言葉を博臣は持ち合わせていなかった。正論と認めたくないけど、何が間違っていると指摘できない。博臣は、ただ黙って話を聞いていることしかできなかった。


「歩……」


 バイトの時間も残りわずか。

 まだ作業は半分しか進んでいなかった。






 四月十二日。

 ボールが鈍い音をたてたかと思うと、直線を描きながら真っ直ぐゴールネットへと突っ込む。その様子に、博臣は満足の笑みを浮かべた。


「あの距離で直線は無いっすわぁ」


 それとは逆に、朱音が悔しそうに眉を曲げる。それもそのはず、三十メートル以上の距離がありながら、蹴られたボールは弧を描くこと無く、速度が落ちることもなく真っ直ぐネットへと突き刺さったのだ。誰がどう見ても反則技だった。


「俺もまさかお前がキーパーだったとは知らなかったぞ」


 朱音はグローブをはめた拳を拳に叩きつけ満面の笑みを浮かべた。


「良いぞ、キーパーは。周りの動きがよく見えるし、動体視力が良くなる」


 別にキーパーじゃなくてもよく見えるし、動体視力だってつくだろう。キーパーの特権を彼の言葉では感じられず、ため息が出る。


「一年、集合しろ」


 声に返事をしてから駆け足で菊地のもとへと向かう。

 部活が始まってから約五日程経過したが、博臣は早くも式高サッカー部に慣れ始めていた。メニューがそれ程厳しいわけでも無ければ、先輩や先生もそれ程厳しい訳じゃない。唯一常に上の空である英斗はよく怒られていたが、それ以外の一年はまだ怒られた事すら無かった。

 その慣れが目に見えたのか、菊地は少しだけ安心したような優しい笑みを浮かべる。本当にいい人なのだと思った。


「さて、今日はいつもの基礎練習に加えて簡単に四対四のミニゲームをやろうと思う」


 ミニゲーム、チーム内で行われる紅白戦みたいなもの。実践形式の練習と言う訳だ。


「あの、初日からずっといない先輩たちはいつになったら部活に顔を出してくれるんですか?」


 我慢の限界と言うように、朱音は口を開いた。


「そういえば言ってなかったな。今まで来てなかったやつらはスポーツ強化合宿に行ってるんだ」


 スポーツ強化合宿。

 博臣は頭の中でその単語を繰り返した。


「俺は去年行ったから辞退して、他の三人は金が無いから断ったんだっけか」


「うむ」


「そうなんだよ、マジ高ぇのムカつく」


「そうですね」


 成る程。高校の行事と言えど、やはり合宿にはお金がかかるのか。


「因みに、いくらくらいするんですか?」


 博臣のこの問いには小村崎が答えた。


「マジこれが四十万くらいするんだよ! ヤバくね博臣!」


 よ、四十万。例え学校から招待されたとしても参加するのは遠慮しておこう。そう思った。


「確かにそれはヤバイですね。でもあれ? 菊地先輩は去年行ったんですか?」


「うーん、まあそうなんだけどね」


「行った感じどうだったんですか?」


「他の高校の人が行けば勉強になったのかもしれないけど、俺らには必要の無いことだと思ったよ」


 やれやれ、と肩をすくめながら菊地は答えた。今の先輩たちの言い方だと、金だけやたら高くて大した事は何もしないみたいだけど、それって他の先輩たちは行く必要あったのか。触れてはいけない話題な気がして敢えて追求はしなかった。

 ミニゲームは本当の試合のルールとは少しだけ改変されたもので行われた。人数が少ないことと、取れるグラウンドの幅が大きな問題なのだが、別にそれでも誰も文句は言わなかった。

 振り分けられたチームの色のゼッケンを体操服の上から着る。誰が洗濯したのかは知らないが、柔軟剤の良い香りがした。

 博臣と同じチームになったのは、堂島、佐川、英斗のあまり話したことの無い人たちだった。一先ず、チームで集まり軽く挨拶をしてみる。


「よ、よろしくお願いします」


「よろしくー」


「おう」


 反応が薄いせいで、会話がこれ以上に発展しない。それどころか、堂島に至っては口を開こうとすらしていない。何とも扱うのが難しいチーム編成になってしまった。

 その後も、特に何か会話があるわけでもなくミニゲームは始まってしまった。

 四対四だと一人あぶれるという事で菊地は審判になった。力強い笛の音が聴こえ、大我がボールを持って突進してくる。光太郎に中学ではディフェンスをやっていたと聞いたのだが、あれは嘘だったのだろうか。

 荒いボール運びだったので、博臣は右サイドから、大我への接触を避けながらボールだけを奪いスピード勝負だと言わんばかりに左サイドをかけ上がる。すぐに光太郎が右から守りに来るが、横から来る障害は脆い。一度右へボールを傾ける振りをして左足の外側でもう一度前へとボールを流す。ここで光太郎はバランスを崩すので、そのまま真っ直ぐ進む。小村崎は逆サイドで待機していたため、光太郎を越えればゴール前には朱音しかいない。博臣は力の限りボールを前に打ち放った。ボールは真っ直ぐゴールのど真ん中へと向かったが、朱音はボールを受けきれず一得点が加算された。


「あれが、宮田博臣の実力」


 一分もかからないうちに起きてしまった一得点までの出来事を脳内で思い返しながら菊地が呟く。確かに人数が少なく、たまたま相手は一年ばかりだったので、ディフェンスとドリブルは大した事は無かったのかもしれない。だが、シュート力だけは確実に今までに見たことのない程のものだった。


「おい、何で俺の指示を無視するんだ!」


 得点を奪い、感慨に浸っていた博臣は何事かと振り返った。佐川が誰かに怒鳴り散らしているのだ。


「お前に言ってるんだよ聞こえないのか宮田!」


 博臣は思わず首をかしげた。指示を無視した覚えはない。そして、あの状況で何か指示があったとしても、博臣が聞くことは無かっただろう。あの時彼がとった選択は最善のはずだ。相手のボールを取ったら直ぐに攻めに切り換え、ディフェンスを抜き去ったら抜いたディフェンスに戻ってこられる前にシュートを打つ。現に得点も決めたし、戦術の基本はすべて守ったつもりだったのだが、佐川は一体何を怒っているのだろうか。


「サッカーはチームプレーなんだぞ! お前一人でプレーしてんじゃねぇよ!」


「あの場合では最善の選択をしたつもりだったんですが何かおかしかったですか。それにチームプレーが鉄則だからこそ、戦術の一つとして敢えて一人で攻めるのも悪くは無い気がするんですが」


「俺に口答えする気か!」


 今にも食ってかかりそうな佐川を菊地が割って制止する。


「やめろ、落ち着け佐川。博臣も煽るような真似をするんじゃない」


「佐川先輩が意味わからないことで怒鳴るからですよ」


「何だとてめぇ、調子乗りやがってぶっ殺す!」


「だから落ち着けって言ってるだろ!」


 菊地の拳が博臣と佐川の頭に制裁を加える。

 その時、ふいに視線を感じ博臣は背後を振り返った。嫌な事は重なるものだ、堂島さえも博臣を親の敵を見るような目で睨んでいたのだ。


「二人とも頭を冷やせ。いいな、罰走だ。今から校舎の周りを五周走ってこい」


 佐川の表情が濁る。

 だが、博臣は顔を上げないままコートに背を向けた。


「……はい」


 ここに留まっているよりはずっとましだ。そう思って博臣は校舎に向かって走り出した。

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