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未定  作者: 葵
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***********************



 特筆すべきモノなんて持ち合わせて無い。極々一般的な社会人だと思う。

 

 いつも決まった時間に起きて、朝飯は食べずに駅まで歩く。乗れる余地なんてなさそうな満員電車に全力で乗り込む。手荷物になるのが嫌で、カバンから変えたリュックを前に抱きしめる。

 終点の駅に着くと、競馬のスタート時よろしく。我先に電車のドアから飛び出す。

 

 電車の乗り換えの為に、人込みを縫う様に早歩きで進む。

 

 始発に乗れば座れるので、わざわざ既に到着してドアが開いている車両を横目に、待機位置に並ぶ。

 

 待機していた電車が発車して暫くすると、次の電車が到着する。


 乗客が降り切ったのを駅員が確認すると、いったんドアが閉まる。そして直ぐに開く。


 乗車すると、ドアに近い角の席に座る。瞬く間に座席が埋まる。


 ここから、目的の駅まで約1時間の電車の旅だ。この時間にスマホで小説を読む。


 

 少し居眠りをしながらも、目的の駅に到着した事を確認し降車する。ここからまた電車を乗り換えて会社に向かう。


 職場と最寄り駅は徒歩15分位の距離だ。バスに乗った方が楽ではあるが、健康の為に徒歩で向かう。と言うのは建前で節約の為。毎日バスを往復で使用すると中々の金額になるからな。

 同じ様に徒歩で職場に向かっているであろう企業戦士達を見ながら、歩くスピードを少し上げる。

 

 会社に到着すると、社員証を入り口にある端末にタッチして、ロックを解除させた扉を開き中へと進む。


 ボタンを押して、エレベーターを1階に呼び出し乗り込む。目的地は4階だ。


 エレベーターを降りて向かう先は、自分のデスク・・・。ではなく、喫煙所だ。


 出勤を打刻する前に一服する為だ。慣れた手つきでリュックから煙草を取り出し、一本引き抜く。先端に火をつけ、一息吸う。

 どうしても喫煙が必要な訳では無いのだけれど、最早日課…いや、習慣になってしまったのだろう。


 気が付くと、火種が煙草を侵食してフィルターまで迫っている。慌てて灰皿に押し付け消化する。

 そして、出勤を打刻しいつもの作業に取り掛かる。


 


 ***********************



 勤務が終わると、また電車を乗り継いで帰宅する。

 

 遅めの夜食を済ませ、お気に入りの小説を流し読みして寝る。


 そして、また朝が来る。





 どこにでも居る、所謂サラリーマンという奴だ。


 別段、やりたい事が在るわけでもなく只々、毎日を生きている。生かされている。


 きっとそういう運命なのだろう。それがきっと、普通。ってものなんだと思ってた。



 

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