白い夢
続きを書こうと思ったりもしたのですが、んーって感じで、でも消すのも勿体無いしなぁ……とりあえ投稿しとこ∠( ˙-˙ )/
以上です……なんかすみません……
最近、よく夢を見るようになった。最初は夢の記憶なんて全く覚えていなかったが、何度も夢を見るうちに少しづつ夢がはっきりとしていった。
そして気づいた。最近よく見る夢はすべて同じ夢だと......
「......ぃ......おい! 和弘!」
「は、はい!」
名前を呼ばれ思わず元気よく返事をしてしまう。
「俺のこと覚えているか?」
「は? え?」
意識がはっきりとしない中、突然見知らぬ男性から声を掛けられ混乱する。
「だ、誰ですか?」
「そうか......覚えていないか」
そう言って男は肩を落とす。それから意識が徐々に覚醒し、あたりを見渡すとそこは真っ白い部屋の中、家具などが一つも置かれてなくあるのは一つの扉だけが存在する部屋だった。
そこには四人の姿があった。腕を組み指で自分の腕をトントンと指で叩きイライラしている様子の男性が一人、おそらく三十代くらいだろうか。そして突然声をかけてきた男性が一人、最初の印象としてはなかなかがっちりとしていて優しい顔をしたおじさんだった。おそらく四十代後半といった所だろうか。
そして泣いているのだろうか、体育座りして顔を伏せ鼻をすする音がかすかに聞こえる。顔が見えないのではっきりとは分からないが髪が長くおそらく二十代前半くらいの女性だろうか。手のしわからしてきっとあっているだろう。
自分で言うのもあれだが観察力は人並み以上だと思う。それでも手を見て大体の年齢がわかるのは少々気持ち悪いような気もする......まぁ自分の数少ない特技だからいいんだが。
そして最後に自分と同じで現在の状況が把握出来ていないだろう少女がいた。恐らく中学生くらいだろう。
俺はとりあえず、突然話しかけてきた男に質問することにした。
「俺はさっきまで寝てたはずなんですが、ここはどこですか? それにどうして俺の名前を知ってるんですか?」
「わからないことだらけだと思うが今から話すことを和弘、それと梨花ちゃんもよく聞いてくれ」
梨花と言う名前に中学生の女の子がビクッと反応する。恐らくこの子は梨花と言う名前なのだろう、突然知らない人から名前を呼ばれ驚いたのだろう、実際俺もさっきビックリしたところだし。
「ど、どうして梨花の名前知ってるの?」
「どうして……そうだな、それも踏まえて今から大事なことを話すからよく聞いてくれ、和弘もな」
「あ、はい!」
俺は名前を呼ばれたらすぐ返事をしてしまう癖があるようだ。まぁ、悪いことでは無いんだが……そういえばこのがたいのいいおっさんの名前まだ聞いてなかったな。
「すみません、その前に名前を聞いてもいいですか?」
「おお、そうだった今回はまだ名前を名乗っていなかったな」
今回? 今回とはどういう事なのだろうか、それにこの男性はすごく親しく話しかけてくる。まるで今回が初めての面識じゃあ無いみたいだ。
「よし! まずは自己紹介からだな、俺の名前は……」
名前を名乗ろうとした瞬間、もう一人の男がかぶせるように口を開く。
「おい! どうせ今回も覚えていられるか分からんのにそんな無駄なことすんな! 時間の無駄やろ!」
「無駄とはなんだ、この子たちは今置かれている状況を知る必要があるだろ」
「さっきも言ったやろ! 今の記憶が残る保証なんてないし、だったら記憶が残っていることが確認できたときに説明してした方がいいだろ!
これでこいつらに説明すんのは何度目や!」
「いつ記憶が定着するか分からないから何度も説明するんだ早いに越したことはないだろ、それに他にやることも無い、何か解決策が見つかったのなら言ってみろ」
今回......やっぱり何度か俺はこの人たちとあったことがあるのか? 一方的に向こうが知っているようでもなさそうだしな、だとしても俺は全くこの人たちの記憶がない......いつ会ったんだ?
そんな思考を巡らせている一方、二人の言い争いがエスカレートしていく。
部屋の隅では女性がうつむいたまま微動だにしないし、男二人は言い争いしてるし、女の子は何が起きているのか分からず不安で震えている。
「えーっと、梨花ちゃんだっけ? 」
「え、あ、はい……」
「……」
やば、安心させようと声かけたのはいいけど何にもかける言葉が思いつかない。
「突然よく分からないところに来て不安だろうけど俺も全く分からないから安心して大丈夫だよ」
「は、はい……ありがとうございます」
何が大丈夫なのだろうか……自分でも何を言ってるかわからない、自分も分からないから安心しろって安心出来るわけないだろ。慣れないことをはするもんじゃないな。
それでも自分と同じでこの状況を理解出来ていない人がいると知ってなのか少し震えが収まったような気がする。いや、気のせいだった。
それよりも気になることがあの二人の言い争いだ、ちょいちょい死ぬとか目覚めないとかなにやら物騒な単語が混ざっている。そろそろ止めないと大変な事になりそうだ。二人とも胸ぐらを掴み合い、今にも手が出そうな状態だ。
そして俺が止めに入ろうとした時、部屋の隅にいた女性が口を開いた。
「あー! もう、うるさいうるさい! 喧嘩したって何も変わらないでしょ......どうしようもないのよ......どうせ死ぬんだから」
え? 死ぬ? どういうことだ、まったく情報のない中でいきなり入ってきた情報が死ぬ......つまりあれか? この白い部屋に閉じ込められて出られないから死ぬっていうことか。
彼女は突然怒鳴った後再び静かに泣き出した。
「こんなことしている場合じゃない、二人も確実にここにいる時間が長くなってきている。はっきりとは覚えていられずとも多少なりとも目覚めたときに記憶には残っているはずだ。だから二人に説明することは無駄じゃないはずだ」
おっさんがもう一人の男を説得する。先ほどの彼女の言葉に冷静になったのか男は「勝手にしろ」といってひとまず落ち着いた。
「すまなかったな梨花ちゃん、何もわからなくて不安だったろうに、和弘もすまなかったな」
「いえ、俺は大丈夫です」
「わ、私も大丈夫です」
そんなことより俺は死ぬとはいったいどういうことなのかが知りたい。
「仕切り直して簡単な自己紹介をするぞ、俺の名前は近藤 健だ、そしてさっき俺と言い合いしてたあいつが和泉 晃で最後に部屋の隅でうずくまっているあの子が音野 美由紀、とりあえずこれが三人の名前だ」
「自分は工藤 和弘と言います」
「ああ、知っている。和弘と梨花ちゃんだな」
「どうして俺の事を知っているんですか?」
「信じ難い話だとは思うが俺達と二人は何度もここで出会っている。」
やはり俺とこの人たちとは面識があったのか、全く記憶にないな。それに何度も会っているのはこの白い部屋と言っている。この白い部屋にも見覚えはないし、まずどうやってここに来たんだ?
「ちなみにここは夢の中だ」
「そ、そうなんですか!? ……とはなりませんよ」
いきなり夢だと言われて流石に「あ、そうですか」とは行かない。出来ればもっと現実的であってほしかった。
「ワッハッハ! このくだりもこれで四回目だ!」
近藤は愉快に笑った。
向こうまからすれば何度もあっているのかもしれないがこちらからすれば初対面なのだからもう少し気をつかってもらいたいものだ。どう反応すればいいかも分からない。
そして徐々に笑いが治まり、ふぅ、と一呼吸置くとスイッチのオンオフように真剣な顔に切り替わる。
「すまないな、さっき話したことは全てが真実だ。俺達が何度も出会っていることや、ここが夢の世界だということも…… まぁ、そう簡単には信じられないとは思うが、もし今日のことを目が覚めて覚えているなら嫌でも信じるしかないからな」
「わかりました、近藤さんがここでそんな嘘をつくメリットも思いつかないですし一旦そういうことにしておきます」
「ははは、そうしてもらえると助かる。梨花ちゃんも今はそれで納得してくれ」
「は、はい……」
まだ今の状況を飲み込めていないのだろう、俺の方からはそれがハッキリとわかった。
「すまないが、話はまだ終わっていないんだ。正直ここからが本題と言ってもいい」
俺、結構お腹いっぱい何ですけど、まだ何かあるのか……ハァ……
もしかして音野? とかいう女性が言っていた「死ぬ」とかに関係する事なのだろうか。
そんなわけがない、むしろそうであってほしくないという俺の願いはことごとく裏切られた。
「さっき音野が死ぬっ言ってただろ? それも本当だ。この夢を繰り返すたびに起きていられる時間が短くなっていく、最終的に俺たちは目覚めなくなる。」
その話を聞いた時、俺の頭は真っ白になった……