1幕:コンビニ帰りの喧騒
あぁ、知ってるよ。オレに何の力も無いなんて事は
察するに難くないさ。特別なものなんて何も無いから
今更どうとも思わない、なんて言うわけない
じゃあどうするかって?そうだな…
だからオレは、
嘘を吐くことを選んだ
「ったく、散々だな。まさかコンビニが爆ぜてその中からテロリストがわらわらと出てくるとは思わなかったぜ。まぁ、全員オレお得意のCQCで叩き伏せたから大事には至らなかったけどな。その後に店員や客の感謝コールが波のように押し寄せてきて、更に帰ってくるのが遅くなったが、まぁこんな事があったんだ、勘弁してくれ」
「ねえ嘘つきさん」
「なんだ?」
「今のが買い物に行った言い訳なのかな?」
チッ、バレたか。完璧な言い訳だと思ったんだがな、アイツも成長しているという訳か。
「何言ってるんだ?ここまで詳細まで話せるような事、嘘なわけないだろ」
「嘘つきさん?(ニッコリ)」
「おいどうしたんだ、そんな不自然な笑顔を見せて」
「そろそろ最後通告だよ、本当は?」
「最後も何も、本当のことしか言ってないんだが。これ以外の何を言えと?」
とりあえず突き通すしかないな、このままいけば可能性もなくはない…
「そろそろ殴るよ」
「立ち読みしてた、すまん」
可能性どころか、人生すら無くなりそうだった。謝るしか道はないな
「結局それが理由なんだね!」
「そうだよ、謝ったからもういいよな」
「慇懃無礼にも程がありすぎるよ!」
「ぶふっ!いきなりボディーフックを放ってくるとはな…」
「もう1発入れられたくなければ、ちゃんと謝ることだよ」
「申し訳ありませんでした」
「よし、それでいいんだよ。で、頼んでいたプリンは?」
あぁ、それはな、マンガを読んでたせいで忘れてた。
「忘れた「あの世で詫び続けるんだね!」うぉはっっ!!今度はアッパーか、レパートリーに困らない攻撃方法だな」
「次は喉にストレートをかますよ、というか今やるよ」
「すまん、オレが買ってくるからそれは勘弁してくれ!まだ死にたくない!」
さて、面倒だがもう1度コンビニに行くか。機嫌をとるために3つ入りのやつでも買ってくるかな。オレの金だが
「いきなり情けなくなったね…まあ買ってくるならいいよ、早く行ってきて」
「おう!柿ピーだったな、行ってくる!」
「プリンだって言ってるんだよ!」
「グハッ!」
アイツの右ストレートに見送られ、というか殴り飛ばされ、オレはコンビニへの道を歩き始めた。