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レッツトライ、作曲!

要と少しずつ距離を縮めることができた瑠夏。

早速曲作りを始めるが・・・?

軽快な目覚ましの音が、オレの耳を刺激する。

もう一度二度寝しようとして寝返りを打つと、朔也がオレの名前を呼ぶ声が聞こえた。

五人のグループを結成して三日目に突入した。

最初はあんなに抵抗があったものも、意外とやれば楽しいもんだな。

この調子でいけば、意外とやっていけるかもなあ。

そう思いながら、部屋のドアを開ける。


「ひぃっ!? あ……おおおはようございます、瑠夏、君」


お盆を両手で持ったまま、小さな声でオレに声をかけてくれる。

それは要、だった。


「要!! おはよう~~! 部屋から出てこれたんだ!」


「えっと、ご飯のお手伝いに……」


「そういや、瑠夏って名前で呼んでくれたよね? オレうれしい限りだよ~♪」


「いいえ、あのぅ……」


要が恥ずかしそうにお盆で顔を隠してしまう。

その行動が何とも言えずかわいくて、ほほえましくも思った。


「君ってホント幸せ者だね。何回起こしたと思ってるの?」


呆れかえった声が、台所から聞こえる。

そこにはエプロンをかけながら皿いっぱいに広がったサラダを持った、迅ちゃんがいた。

うひょお! 迅ちゃんのエプロン姿かわいい! 奥さんみたい!


「僕の時は手伝ってさえくれないんだね。君が当番だったときは、僕も手伝った気がするんだけど」


「いや~ごめんごめん」


「朔也と要がいたからまだいいけど、次まわってくるときは許さないからね」


いつの間にか呼び捨てになっていることにオレは気づく。

なんだかんだ言って、迅ちゃんもここに慣れてきてるって証拠かな。

あと一人……ブッキーがいれば、グループとして成り立つのに。


「お、瑠夏起きてたのか。ちょうどよかった、朝食中に話しておきたいことがあったんだ。二人も座ってくれ」


迅ちゃんの後ろから朔也が出てきて言うのを、オレは朝ごはんを食べながら聞く。

要と朔也が手伝い迅ちゃんが手掛けた朝ごはんは、スクランブルエッグとご飯、サラダがあってとても美味だった。


「んで、どうしたの? 朔也。改まっちゃって」


「そろそろ、本格的に曲作りを始めないかと思ってるんだ」


口に含んでいたものを、思わず吐き出しそうになってしまった。

おいしかった朝食が、急にまずくなった気がした。

こんな時にまで曲の話とか、朔也まじめすぎでしょ!

ご飯の時くらい楽しく食べさせてよ!


「僕は別にかまわないけど、厳しすぎるんじゃない? 要には絶対音感があるとはいえ不十分だし、瑠夏は瑠夏で全然覚えてないんだよ?」


「ちょ、迅ちゃんってばそんな言い方しないでよ!」


「じゃあ音階、八個全部言える?」


「ぐっ……えっと、ドレミファミレド?」


「四個しかあってないよ」


うう……迅ちゃんえげつない……


「……ああああのっ、きょ、曲って、どうやって、作るんですか?」


要が恐る恐る手を上げ、迅ちゃん達に問いかける。

まずい、また怒られるぞ~。

同じ質問してさんざん怒られたもんな~オレ。


「曲っていうのは、コード表をまず組み立てるんだよ。ピアノとかを使って自分達で音を組み立てるのが一番かな」


おや?


「……結構、難しいんですね……お母さんはそれを十五日までにって……」


「ほんと、社長の無謀さにも毎度参ったもんだよ。朔也のとこの社長の方が、まだよかったかも」


「あはは……あの人はお人よしすぎるというか……なんというか」


おやおや?


「ちょっと待ってよ、なんでオレには昨日あんなに怒ったのに要には優しく答えるの!? 差別だよ!」


「初日の話、ちゃんと聞いてた? 要は君より二歳年下なんだよ。二十歳で音階いえない方がどうかしてると思うんだけど」


うぐっ……!


「ちなみに迅はこの中での一番の最年少で、俺とお前は同い歳だよな?」


ぐはっ! つ、強い!

ちっくしょう、当たり障り強すぎだろ! なんでオレがこんな扱い!


「そういえば迅や要は何か楽器を持ってたりするのか? 今んとこ、俺の部屋にあるピアノがベストだって話になってるけど」


「楽器? バイオリンなら、小さい頃から習ってたからできるよ」


なんとまあ! これもまたあの迅ちゃんと同じ!

性格をのぞけばあの時の迅ちゃんなはずなのに、この悲しい現実は何なんだよ……。


「要は?」


「ふ、ふふふフルートを、少しだけ……」


WOW! フルート弾けるとかマジかっこいい!

やっぱりオレと同じ環境で育ってるから、音楽にはかかわってるんだな~

それに比べてオレは何も弾けないんだけどね~


「よし! 作曲を三日、作詞を三日ずつと行こうか。いいな、瑠夏」


「わ、わかった!」


「思いついたフレーズを音符にするとかでもいいから、頑張ってよね」


「い、一緒に、がんばりましょう、る、瑠夏君」


三人が言うのを、オレは微笑みで返す。

よっしゃ! 作曲するぞ!

まずはウォーミングアップとして、色々な曲から起こしてみよう!

曲のジャンルは何になるんだろう。

バラードよりは、明るいほうがいいのかな。

という風な感じで、作曲一日目はいたって順調だった。


作曲二日目。

とりあえずレギュラーな童謡から、兄さんの曲をヒントに考えてみる。

結果、音階が分からずうまくいかない始末……。

何か……何かいい方法を!

作曲の神よ、オレに力を!


そして作曲三日目……zzzzz……


「瑠夏いびきうるさい。要、起こして」


「は、はいっ。瑠夏君、瑠夏君。起きてください」


はう……ゆりかごにゆらゆら揺れている感じで気持ちいい……

zzzzzzzz……


「どどどどどどうしましょう……」


「優しく起こしたって起きないでしょ」


「要。こいつを起こすときは……こうするんだよ!」


バッチーーーンと軽快な音が聞こえる。

途端、広がる謎の痛み。


「いっだああああああああああああああい!」


朔也の平手打ちに我に返ったようにして、オレはピョンピョン跳ね回った。

一瞬、意識がどっかいったかと思った!

っていうかオレ、今まで何してた?

痛さのあまり涙を浮かべるオレを、にっこりと笑ってみている朔也がいる。

この顔を見るのは、おそらく初めてではない。

あれ、オレもしかして……


「オレ、寝てた?」


「そりゃあもういびきかくほどにな」


OH,MY GOD!

一番やってはいけないことをやってしまった!


「瑠夏、まじめにやる気あるのか?」


当然! アイドルになるのは小さい頃の夢だったわけだし!

きっと疲れが出たんだ! うん、そうに違いない!

しかし朔也の平手打ちはきいたな。ほっぺが真っ赤になっちゃったよ。


「ああああの、だ、大丈夫ですか?」


要がおどおどしながらオレに聞いてくる。

彼の優しい心使いにオレは思わず感動してしまった。


「大丈夫、大丈夫。心配してくれるなんて、要優しいね」


「ええ!? いや、あの……」


「要、心配しなくても大丈夫だぞ。こいつ、ゴキブリ並みの生命力持ってるから簡単には死なないよ」


ちょ! ゴキブリ並みってどういう意味?!

朔也の野郎! 言いたい放題いいやがって!


「それで、君はどこまで作曲終わってるの?」


「ふえ? えっと、三行くらい?」


「まさか一日一行ずつしか進まなかった、とは言わないよね」


てへ☆


「要はどう?」


「え、ええっと、色々な曲をベースに考えて、せいぜい、Aメロの部分くらいで……」


「やっぱりそのあとは難しいよね。朔也、君のと僕達のと合わせてみない?」


「そうだな」


迅ちゃんと朔也が真剣な顔をしながら、曲について話し合っている。

その光景をオレは複雑な思いで見ていた。

オレ一人だけが取り残されているような、そんな感じだった。

兄さん、オレは本当にアイドルに向いているのだろうか。

こんな調子で、うまくいくのだろうか。


「瑠夏君? 大丈夫、ですか?」


「へ? あ、ごめん。ボーっとしてた」


「一番何もしてない人が疲れてどうするの? 少しは協力してよ」


「め、面目ない」


「よし、とりあえず今合わせたやつをちょっと弾いてみるよ」


朔也はそういって、ピアノの椅子に掛ける。

彼が繰り出すメロディーに、一瞬にして引き込まれた。

途端、違う世界が広がる。

大勢の観客が、歓声を上げながらステージを見つめる光景。

そのステージには、オレ達五人がいてこの曲を歌ってて……。

何だろう、この異様な胸の高まりは……。

歌いたい。この曲に添えた、歌詞を書きたい!


「どうだった?」


「うん、まあ悪くないんじゃない?」


「すごく……いいと思います」


「何だろう、この感じ……すっげー興奮した!」


「瑠夏?」


朔也に振られ、オレはいてもたってもいられず立ち上がった。


「今一瞬、違う世界が見えた気がする! この曲なら兄さんと同じ舞台に立てるかもしれない! オレ達みんなで作った曲だよ!?」


「みんなでは作ってはいないけどね」


「やけにテンション高いな。どうかしたのか?」


「いけるよ、これなら! 朔也、迅ちゃん、要! この曲の詞、オレに書かせて!」


「はあ!?」


ここから始まる。オレの新たな挑戦が!



同日。深夜二十三時。

伊吹は一人、シェアハウスへと戻ってきた。

どこに行っていたのか、バックの中にはたくさんのCDが入っている。

自分の部屋へと足を進めると、あるものが目に入った。

ドアのところにひもでかけてある、一枚のCDがあった。

そこにメモ用紙が挟まっており、怪訝そうにそれを読む。


『四人で一緒に作ってみました。意見があったら何でも聞かせてね☆ 瑠夏』


決してきれいとも言い難い字で書かれたメモは、瑠夏からだった。

伊吹はCDとメモ用紙を交互に見ながら、部屋の中に入ってラジカセにセットしてみる。

ピアノで録音されたその曲は、彼の想像を超えるものだった。

明るく、楽しさが伝わるようなそんな一曲。

彼はもう一度メモ用紙を見てみる。

するとその下に、PSとかかれた最後のメッセージを見つけた。


『P.S オレ、この曲の作詞をするんだ~なるべく頑張ってみるけど、業界の先輩としてアドバイスよろしくね~んじゃお休み☆』


何とも気楽な奴だと、小さく舌打ちする。

アイドルとしてはかなりの素人のくせに。

どんなに頑張ったって上に行けなかった人達を、彼はたくさん見てきている。

所詮は素人。

なのに、なぜこの曲を作ることができたのだろう。


『四人で一緒に作った』

そのワードが、彼の心に響く。


「たかが友達ごっこで、この曲を作ったっていうのか……? 調子乗りやがって……!」


彼は怒りをメモ帳にぶつけるようにぐしゃぐしゃに丸め、何枚も何枚もゴミ箱へと投げ入れた―。


(続く・・・)

前に音楽機器のことを言ったとは思いますが、

かなりの気分屋で困ってます。

この前なんてつかないなあと思ったらいきなり再起動始めたので正直てんぱりました

機械って怖いです・・・笑


次回、瑠夏が作詞に挑戦?

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