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雨色片思い

いよいよ開幕! トップアーティスト賞!

ついにきた、JOKERの出番の運命やいかに!

「それでは次に行きましょう! 続いての歌手はJOKERで~す!」


たくさんの歓声とともに、ステージ入りのドアを開ける。

カメラや観客、そして審査員に集まったたくさんの芸能人に見られながらオレ達の舞台は幕を開けた。

一人の女性アナウンサーが、オレ達にインタビューをしようと近寄ってきた。


「いやあ、ノミネートおめでとうございます! 今の心境はどうですか?」


「はい! すっごくワクワクして、今から踊るのが楽しみです!」


「おお、リーダー気合入ってますね~! 朝倉さんから見て、今日の舞台はどんなふうにしたいですか?」


「えっと……色々な人に負けないくらいすっごいものにしたいです!」


小学生か、と小さい声で歩美が突っ込んだのが聞こえる。

他の三人も呆れているのだろうが、表情には出していなかった。


「JOKERは男性だけで構成されていますが、普段どんな会話をしているのですか?」


え、普段? 普段って、どこからどこまでが普段なんだ?

まあとりあえず……


「今日のごはんは何? とか、練習って何時からだっけ? とか……。たわいのない会話ですよ」


「佐久間君と天王寺君は学生ですが、そこはどうしているのですか?」


「そんなのもう宿題をオレにさせては小ばかにしたように……いっで」


「計画通り終わらせて、提出させてます。両立は難しいですけど、頑張ってますから」


にこにこと笑顔を向ける横で、迅ちゃんの足が何も言うなとばかりにオレをけっている。

ああ、もう。迅ちゃんの猫かぶり、やりづらい……。


「では、この賞を取る自信はいかほどに?」


「そりゃあもう百パーセントです!」


よし、決まった!


「大きく出たな、瑠夏」


「何事も自信あるのみでしょ!」


「自信だけあっても実行できなきゃ意味ねぇだろ、馬鹿かお前は」


「瑠夏君は負けず嫌いだからね」


「で、でも僕はいいことだと思うよっ」


「ちょっと四人して何なの、その態度! 一致団結しようよ!」


「JOKERさんは本当に仲がいいんですね~」


え、これのどこがそう見えるんですか?

まったくテレビでもこれだと、オレって本当みじめだわあ。

でも予想以上にみんな緊張してないみたいだし、うまくいきそうかな。


「ではJOKERのみなさん、スタンバイをお願いします」


お、そろそろ始まるぞ~

レッツ、ショ~タ~イム!


「それでは歌っていただきましょう! JOKERで雨色片思い」




瑠 太陽に向かって ゆっくり手を伸ばしてみよう

  大丈夫 君のそばには僕達がいるから


要 太陽に照らされる 君の背中

迅 どうしてあんなこと言ったの? らしくないことばっかり

朔 君の横顔が あまりにも切なく見えて

伊 だから僕は また君に手を伸ばすんだ


瑠・要 温かいぬくもり ずっと忘れたくなくて

迅・朔 時間だけがゆっくりと あっという間に過ぎてく

伊   もう君だけを離したくないのに


全 好きだよ ずっとずっと この胸に抱きしめてたい

  陽だまりのような笑みを 僕だけに見せてよ

  愛してるよ その一言が なかなか言い出せなくって

  それでも僕は思うよ たとえこの思いが伝わらなくても


(間奏)


要 零れ落ちた涙のような雨 朔 ずっと君を傷つけてた

迅 わかってても伝えられない 伊 もどかしい子の気持ち

瑠 I LOVE FOREVER……


全 さあいこう この先は 二人一緒なら恐くないから

  泣いた顔怒った顔全部 僕だけに見せてほしいな

  好きだよ 君のこと ずっと永遠に

  空に虹かけよう 君への思いをこの空に乗せて


瑠 君だけを愛してるよ

全 I LOVE FOREVER……


作詞 桜瀬伊吹・佐久間迅

作曲 恵波朔也・天王寺要

雨色片思い


「また腕を上げたね、あの子達」


舞台袖で見ながら、優奏はくすりと笑みを浮かべた。

さまざまなところで、歓声が沸いている。

審査員も素晴らしいの賛否の声ばかりを上げている。


彼女自身、ここまでJOKERが成長しているとは思っていなかった。

トリという新人には重責だというのに、気にせず輝き続けている。

悔しいと思う半面、彼女の浮かべる笑顔には曇り一つ見えない。


「よくこんな時まで笑ってられるわね、あんたは」


「まゆちゃんこそ顔がほころんでるよ?」


「そりゃ、あんなもんみせられりゃ、面白いと思わざるを得ないでしょ」


同じように笑っている舞楽は、優奏に少し笑ってみせる。

隣には無表情で拓人が見つめている。


「霞亭のライブの時と……一段と力が増してる……」


「今更怖気ついたの?」


「……別に……そういうわけじゃ……」


「たくちゃん、私達だってたくさん練習したよ? 彼らも同じくらい頑張った、ただそれだけのことだよ」


優奏はそういってほほ笑むと、二人の顔をのぞき込む。

彼女の笑みに、自然と笑顔になる自分がいる。

スタッフの人から、スタンバイの声がかかった。

よし! と優奏はパンと自分の頬をたたいた。


「ねぇ二人とも、久しぶりにあれやらない??」


「別にいいけど……今?」


「うん、今♪」


「優奏……なんか変なもの……食べた?」


「失礼だなあ~これでもダイエットして栄養にいいもの食べてますよ~」


そういいながら、はいと優奏が手を差し出す。

そこに二人の手が重なる。

昔と同じ、懐かしいこの感じ……。


「それじゃあいくわよ、拓人! 優奏! 煌の今年最後のライブへ!」


「お~~~~!」


三人の息が、ぴったりと重なった瞬間だった。



煌のステージは、圧巻という名にふさわしいものだった。

見るものすべてをその世界に引き込むような、この感触……。

舞台袖で彼らの横顔を見ながら、瑠夏はぐっとこぶしを握った。


「すごいね、やっぱり」


「成長してるのは僕達だけじゃないってだけでしょ?」


「煌の人達も、他のアーティストだって負けたくないんだ」


「当然、俺達も同じだが」


「優勝できるかな? 僕達」


それぞれの声が、瑠夏の耳に届く。

彼の目には、たっぷりの満足感で満たされていた。


「何言ってんの! まだまだ、これからだよ! 勝負の女神が誰に微笑むのかなんて、誰にもわかんないんだからさっ」


瑠夏はそういって、すべての演奏が終了したステージにまた四人とともに歩き出す。

そしてー


「さあ、お待たせしました! 栄えある、トップアーティスト賞受賞者は!?」


真っ暗へ暗転するステージの中で、瑠夏は静かに目を閉じた―。


(つづく!)

前回の更新時間を間違ってしまったことを、ここでお詫びします、すいません。


今日は猫の日ですね。

ちなみに私は犬より断然猫派なので、いつか猫を飼うのが夢です。

一緒に寝たりしたら、たまんないんだろうなあと妄想する毎日・・・しかし家族は動物が苦手だったり犬派だったりと、まだまだ道は険しいです。とほほ


そんな猫の日の書き下ろし小説にはJOKERがでていませんが

懐かしのあの人たちが出ているので、そちらもぜひ


次回、本編堂々最終回! 

栄えある、トップアーティスト賞受賞者は!?


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