初めての楽器屋
ギターの弦がきれたのをきっかけに、
瑠夏の提案からみんなで楽器屋へ行くことに!
「あー、いっでぇ~寒さのせいでよけい痛むわ~」
わざと聞こえるようにぶつぶつ文句を言いながら、頭をさする。
昔から怒るとと怖いと知っていた歩美のパンチはもちろんのこと、日頃の恨みを込めてなのか迅ちゃんと朔也からも強烈なパンチを食らってしまった。
唯一要だけが心配そうに、大丈夫? と声をかけてくれる。(少し苦笑いを浮かべているあたりから、要もオレの考えはわかっていたのだろう)
他の三人は殴ったことに反省もしておらず、呆れたように口を開いた。
「自業自得でしょ。日頃の行いが悪い証拠だよ」
「お前はサボることしか頭にないもんなあ」
「さっさと戻って、練習だからな」
「わかってるよ~にしてもこの近くに楽器屋があるのは想定外だったわ。最近できたの?」
オレが言うと、要が少し微笑みながら言った。
「うん。ちょうど面積が広いところがあいてて、こっちに移籍したんだって。あそこだよ」
要の案内を通じて、オレ達はゆっくりと中へ入っていく。
中は想像以上の広々とした空間だった。
たくさんの楽器をはじめとした、CDや本も売ってある。
楽器屋自体来るのは初めてだったから、途方もなく中をうろついていた。
「いらっしゃいませ~」
そんな時だった、カウンターから一人の女性が顔を出した。
きれいな三つ編みヘアに、花の形の髪飾りをしている。
あれ? この人、な~んか見覚えあるような……
「あ~JOKERちゃんだ~! 久しぶりだね~」
「お久しぶり、です?」
「改めて、望月楽器店にようこそ~」
楽器店の名前を聞いて、やっと思い出す。
確かこの人、望月優奏さんだ。煌の一人の。
この前舞楽さんと会ったばかりなのに……世の中狭いなあ。
「ここでバイトしてる……ってわけじゃなさそうですね」
「うん。家の手伝いなの」
「なるちゃんといい舞楽さんといい、家の手伝いとか三人とも偉いなぁ」
オレが言うと、彼女はまたふわりと笑う。
それがなんだか照れくさくて、直視できずそっぽを向く。
「ギターの弦と、バイオリンの点検をお願いします」
「は~い。じゃあ中においで~」
「え、でも……」
「いいの、いいの。今日は特別なお客さんとかは入ってないし、先輩からのサービスだと思ってもらえれば」
彼女に言われ、客用に設置されたソファに座った。
優奏さんは手際よくココアとコーヒーを注ぐと、オレ達を見渡した。
「えっと、どの子が高校生?」
「僕と隣にいる要だけど」
「コーヒーのブラックは飲める? ココアとどっちがいい?」
「高校生だからって子ども扱いしないでくれる? それくらい飲めるから」
わわわ! 迅ちゃん! 先輩に向かって何その態度!
まあオレも人には言えないんだけどさあ!
「うふふ。本当に大人っぽい子なんだね、迅君って」
タメ口……しかもすごい口をたたいたというのに、彼女は笑っていた。
彼女の笑みはすごくきれいで、同じ女子の舞楽さんとは雰囲気が全く違った。
「要君は? ココアとコーヒー、どっちがいい?」
「こっ、ココアで、大丈夫です」
「どのくらいまで距離大丈夫? なるべく気を付けるから、遠慮せずに言ってね」
「そ、そんな、気を遣わなくても……」
しどろもどろになっている要を見て、オレは驚く。
要の女性恐怖症のことはあまり知られていないのに、どうして……?
「どうして、要のこと知ってるんです?」
「それだけ注目してるってことだよ~だってすごい人気じゃない」
「は、はあ……」
「まゆちゃんとたくちゃんがあまりにもうるさいからね~ライバルになるかもしれないからって、ネットとかで色々調べたんだ」
たくちゃん、というのがなるちゃんだと変換されるのに少し時間がかかる。
なるちゃんと同じく、彼女が親しみやすい性格で助かる。
舞楽さんとはどうもうまく話せないし。
そんな三人に注目されてるオレ達って、結構すごいんじゃね?
まあそれはさておき……。
「正直、あなた達がうらやましい」
「え?」
「私達すごく時間かかったから。結成までも、そのあとも。あの二人に出会えたのは奇跡だと思うの」
「よかったら、聞かせてくれませんか。その、結成までのこと」
「そうだね、私の話でよければ」
そういって彼女は、優しげな笑みを浮かべて見せた。
(つづく・・・)
JOKERももちろんですが、煌も結構好きだったりします。
なかでも優奏ちゃんはすごくいい子なので、嫌されますね。
この作品って女子が少ない割に、つんけんしてる子多いじゃないですか。
要と同じくらいの癒しキャラなので、結構印象深いです。
次回、日付調整のため14日に投稿します!
煌メンバーの秘密があきらかに!




