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何気ない日常

樹について知るべく高校に潜入したものの、

有力な情報は得られず・・・

『動くな! さもなければこの子供をうつぞ!』


『お母さん! お父さん! お兄ちゃん!』


ある男の腕の中で、オレは必死に叫んだ。

その場にいた観客達から、悲鳴が漏れる。

小さい頃のオレは無力で、追い払うことさえできなかった。


『瑠夏を離せ!』


初めて見た兄さんの怒った顔が、ものすごく怖かった。

必死で助けようと何か策を講じても、動くことさえできない。

そんな時、だった。

一つの銃声がなった。

何が起こったのか、一同は全く理解できずにいた。


『貴様……仲間を……裏切ったな……』


きゃーきゃーと、女性の悲鳴が聞こえる。

腕でずっと首を絞められていたのが急に弱くなり、ぱっと抜けると同時にさっきまでオレに銃を向けていた人が倒れた。


『周りくどいやり方は嫌いでなあ……悪いが人質はおとなしく死んでもらうぜ……?』


「瑠夏!!!」


オレに銃がむけられ、兄さんがステージから飛び降りる。

目の前に、覆うように兄さんが現れて―


「お兄ちゃんっっっ!!!!!」


はっと我に返り、気が付くとそこは自分の部屋だった。

夢、か。

冬だというのに拭っても、なかなか汗はやまない。

荒い呼吸を落ち着かせ、ようやくふうっと一息はく。


「もう何回目かな……この夢見るの」


あの時、オレさえなければ兄さんはうたれないですんだのだろうか。

こうやって生活していても、いまだに死んだことが信じられない。

あれから八年も経つんだなあ。

親父が今年は八周忌だとか言ってたし。

しみじみ感じながら、ドアを開けるとそこに歩美がいた。


「珍しいな。早起きか?」


「うん。ちょっと目が冷めちゃってさ」


「汗かいてるぞ。変な夢でも見たのか?」


歩美は鋭いな。そういうとこ、昔と全然変わってない。

でもオレは答えず、上着を羽織ってこたつの中に入る。

テレビをつけてしばらくボーっとしていると、歩美がコーヒーを入れて戻ってきた。


「暖かいうちに飲め。それと、このタオルで汗ふけ」


「ありがと。今日は歩美が当番なんだ」


「あの三人ももうすぐ起きるし、運ぶの手伝え」


「はあい」


歩美に言われ、朝食をテーブルに置いていく。

テレビではトップアーティスト賞などの年末特番の宣伝をしている。


正直まだ、実感がわかない。

新曲も完成しだいぶ形になっては来ているけど、オレ達がそこまでたどり着けているとは。

そもそもオレ、アイドルできればそれでよかったわけだし。

迅ちゃんと歩美と出来てるだけで、もう満足なんだけどね。


「あれ、瑠夏。早いな」


「おはよう、二人とも」


「ちょっと瑠夏、そこ僕の場所なんだけど。勝手に取らないでくれる?」


テレビを見ていると、そこに三人が続々とやってくる。

三人が座っているのを確認すると、歩美は少し悩んだような表情を浮かべてオレ達に言った。


「今日って確か、ダンスレッスン入ってたよな」


「ああ、入ってるけど。何か用事か?」


「ギターの弦が切れたから楽器屋寄ろうと思って。遅れるかもしれねぇから、先にやっとけ」


え!? 歩美ギター弾けるの!? そっちにびっくりだよ!?


「ああ、楽器屋で思い出したわ。五線譜もうすぐ切れるんだよな~歩美、頼んでいいか?」


「金さえくれれば買ってきてやる。いつも使ってるやつでいいよな」


おっ?


「どこの楽器屋に行くの? 僕もバイオリンの点検が近くて、もっていかなくちゃいけないんだけど」


「とくにはねぇが、指定があるなら俺が持ってってやる」


おっ? おっ?

この会話の流れ……この空気……これはまさしく!


「ねえ! 提案があるんだけど!」


「没」


「却下」


「断る」


「ひどい! オレまだなんにも言ってないじゃん!」


「どうせ、みんなで楽器屋行こうとか言い出すんだろ?」


うぐっ。さすが朔也、鋭い。

この流れ的に、いけそうな気がしないでもないんだけどなあ。

毎日毎日ダンスや歌の練習ばっかりで、こっちはたまったもんじゃないっつうの!

しかし! ここであきらめるオレではない!

練習をなくすためだ! おしておしておしまくれ!


「だってさ、歩美一人なんてかわいそうじゃん? 少しでもグループで活動すれば、結束とかも深まるもんじゃん?」


「楽器屋くらい一人で行けるんだが」


「楽しんでばかりじゃいられないでしょ。トップアーティスト賞まであと少ししかないんだよ?」


「そうやってやけになって練習したっていい結果は生まれないよ。たまには休暇も必要っていうし」


「そうかもしれないが、最近色々やってて練習できてないだろ」


うぐぐぐぐ……手ごわい……

さすがはまじめ三人組! だがここで折れるわけには……!


「ふふ。何だか、本当の親子みたい」


くすくすと笑っている声が聞こえ、はっとする。

今の今まで会話に参加していなかった要が、相変わらずのかわいい微笑を浮かべてオレ達に言った。


「迅君達の気持ちもわかるけど、楽器屋ってCDも売ってるから他の歌手の情報とかもしれるいい機会だと思うんだ。せっかくだし、みんなで行ってみない?」


「要……! あんたって人は……」


「まあ、要の意見にも一理あるけど……」


「それに……近くにできたから」


ん? 今、なんて言った?

近くにある? 何が? どこの?


「近くってここから何分くらいだ?」


「歩いて十分かな。天王寺会社直属のところが、ちょうどここの付近にあるんだって」


「それなら時間もかからなそうだし、全員で行っても問題はねぇな」


「ええ!? それじゃあオレの練習をなくそう計画が台無しになっちゃ……」


はっと気づいた時には、もう遅かった。

だらだらと、嫌な冷や汗だけが流れる。

ただ一つわかったのは迅ちゃんと朔也、さらに歩美がにっこにっこしてることくらいで……


「や~っとぼろがでたなあ、瑠夏」


「うすうす、そうなんじゃないかとは思ってたけどねえ」


「さてと。覚悟は、できてるよな?」


「ちょ、ちょっと待って三人とも! ちがっ、誤解なんだってば~!」


オレの叫ぶ声と殴る音だけが、家じゅうにこだました。


(つづく!!)

余談ですが、瑠夏は結構なブラコンなんじゃないかなって思ってます。はい。


リア友と一緒に旅行にいくことになったはいいものの

予定が合わなかったりいいところがなかったりと

問題多発中です

とりあえず行ければいいやと楽観的な私であります


次回、みんなで楽器屋へ!

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