突撃、市松高校!
勝負曲が無事完成した一方、マネージャーである樹の
怪しい行動を見た伊吹。
彼女のことを知るため、瑠夏が思いついたこととは…?
「ここが市松高校か~私立なだけあって、きれいだな~」
オレは学校を見上げながら、うんうんとうなずいて見せる。
今は授業中なのか、校舎は静まり返っていた。
青々と広がる空と照りつける太陽があるおかげで、寒さなんてまだへっちゃらだぜ!
「瑠夏……お前……度胸ありすぎ」
「しょうがないじゃ~ん。女子高なんだし」
「まず潜入するとかありえないだろ。相変わらず変なこと考えやがって」
朔也と歩美、そしてオレが身にまとっているのは女子用の私服だ。
年齢的に卒業生として見られるようにと思い、実行したのがこの私服!
歩美は長髪だからかかなり似合ってるのはいいけど、オレと朔也がここまで様になるとは……
「ねぇ、本当に大丈夫なの? こんなんで」
「僕達……一番危ないと思うんだけど……」
そういって不安げな顔をするのは、女子高の制服をまとった二人だ。
二人ともかつらを装着してはいるが、元がいいだけあって違和感ゼロだ。
もうこのまま女子として生きていけるくらい、かわいい!
「大丈夫! 今度転入してくるので下見に~とかでもいえば!」
「ぜ、絶対怪しいよ~」
「大体朔也も朔也でしょ。なんでここの制服持ってるの?」
ちなみに市松高校の制服は朔夜の家からだ。
彼は説明するのを忘れていたとばかりに、三人に言った。
「俺んち、制服をうっててさ。ちょうどここのも扱ってるってわけ」
「じゃあその女性用の私服は?」
「そっ、それは僕の姉さんので……家から借りてきたんだ」
オレ達がいるここ、市松高校は女子高。
女装して潜入し、いっちゃんの情報をつかもう! というのが今回の目的だ。
玄関を抜けそうっとのぞくと、ちょうど休み時間になったのか女子がたくさんにぎわっている。
あまりの女性の多さに驚いたのか、要は悲鳴を上げた。
「あ、そういや女性恐怖症のこと忘れてたわ」
「本当バカだね、瑠夏は。要、外で待ってれば?」
「い……いや、僕だけ留守番っていうのはちょっと……」
「しょうがないな。俺でよければ、つかんでもいいぞ」
朔也はそういって、要の近くに行く。
要は女子から避けるように、朔也にしがみついた。
さっすがJOKERの母親的存在、朔也! 気が利くなあ!
よし、そうと決まれば! 聞き込み開始~!
「すみませ~ん。真城樹って子を探してるんですけど」
「真城さんですか? えっと、確か三組です」
「ありがと~」
そういって歩いていくと、行くとこすべての女子が振り向いたりざわついたりしている。
そりゃこんだけイケメン……じゃなかったかわいい人がいればなあ。
ていうか、これ全然潜入になってないじゃん!
こんなに目立ってちゃばれるのも時間の問題かな~
「いた。瑠夏、見つけたよ」
迅ちゃんに言われ、はたりと足を止める。
そこには一人、窓側の席で外を眺めているいっちゃんの姿があった。
周りでは女子が何人も話しているのに、気にもしない。
一人だけぽつんと浮いているようで、なんだかそれが逆にひっかかって……。
「あなた達、ここの生徒じゃないわね?」
ふいに話しかけられ、ぎょっとして振り向く。
そこには何とも見慣れた人物がいた。
きれいなストレートヘアに、ルビーのように赤い瞳……
間違いない、煌の永尾舞楽さんだ。
よく先生が研究授業とかできるようなスーツを着ている。
生徒会長とか風紀委員を思わせるようなものに雰囲気が似ていた。
「え、えっと、オレ達怪しい者じゃなくてですね」
「怪しい者かどうかの前に、うちの事務所JOKERとしか思えないんだけど」
「え、ばれてるの!?」
「そんなの、見ればわかるわ」
すげぇ、この人。エスパー並みの洞察力……。
「ここじゃ話しにくいわ。来なさい」
舞楽さんに案内され、やってきたのは理事室だった。
なんで理事室なんだろうとは思ったけど、さすがに声がかけづらい。
なるちゃんと違って、雰囲気が独特で話しかけることさえ困難だ……
彼女は校長先生が座っているような大きいソファに、足を組んで座った。
「それで? 女装してまでここに何の用?」
「いっちゃん……マネージャーのことを、調べたくて」
「樹のことを?」
「最近様子がおかしいので、学校に行けば何かつかめるかなーって」
「……呆れた。拓人から聞いてはいたけど、かなりの変人ね」
が―――ん! かなりの変人って言われた! ひどい!
なるちゃん、一体何話したの!? オレが変人扱いされてるんだけど!?
「あの子のことを知ってる人なんていないわ。自分のこと、何も言わないから」
「舞楽さんは、ここの関係者か何かですか?」
「母校ってのもあるけど、理事長が父なの。たまに手伝いに来てる」
すっげー! なるちゃんといいなんかレベル高い!
「話がそれたわね。私が知る限りで彼女が誰かと話してるのは、見たことないわ。休み時間も一人だし。よくパソコン室にいるって話は聞いたけど」
またパソコン、か。
いっちゃんはパソコンで、何をしているのだろう。
調べ物、かな。どっちにしろ、なんで隠すんだろう……
「ま、このことは父や会社に内密にしてあげるから。帰りなさい」
「すみません……ご迷惑をかけて」
「別に。同じ会社のよしみで許してあげる」
ぶっきらぼうな彼女の小さな優しさに、オレは微笑んで見せた。
*
真っ暗な部屋―ガンガン鳴り響くテレビの音―
少年はテレビに映っている五人―JOKERをじっと見つめた。
一人一人の歌が、踊りが観客を魅了する。
中でも極めて楽しそうに笑いながら歌う、真ん中にいる男に彼は目を付けた。
「これがあんたの弟か……? 巽」
彼のそばに置いてあるアイドルのポスターに、大きく×が書かれてある。
その隣にはJOKERの中、真ん中ポジションで踊る男―瑠夏の写真があった。
彼は飲んでいた缶を、手の中でぐしゃりとつぶす。
「お望みどうり、お前のとこに運んでやるよ……このオレ様がなあ」
くつくつと笑うその少年は、缶をごみ箱に投げて見せた……
(続く・・・)
やっぱり男性には、女装はつきものですね。
なんてね、やらせたかっただけですよ。
ちなみに私は要・迅ちゃんが一番かわいいと思ってます。
次回、五人で何かします。




