勝負曲
トップアーティスト賞に向けて、曲作り快調か?
「え!? 新曲できちゃったの!? たった一日で!?」
びっくりして、オレは声を上げる。迷惑そうに、四人は耳をふさいだ。
作詞していたはずのおれは、あれからず~っと寝てたらしい。
そして起きたら……このざまだ。
「ちょ、マジ!? 早すぎね!?」
「当たり前でしょ。僕達を甘く見ないでよね」
「一人よりかは全然進んだからな」
「本当は起こそうかと思ったんだけど、瑠夏君があまりにも気持ちよく寝てたから……」
「ま、俺らにかかればこれくらい初歩の初歩だっつーことだ」
はっへ~すごいなこの四人。つくづく思うけど。
「これが歩美が書いた詞だ、読んでみるか?」
朔也に言われ、すかさず手を伸ばす。
そこに書かれてあった歌詞の内容は、まさかのラブソングだった。
「あああああ歩美、まさかすすす好きな人でも……」
「いるわけねぇだろ、ばか」
「だってこれラブソン……」
「美雪の話をもとに書いたんだよ。あいつ無駄に顔広いから」
いやあ、びっくりした。
歩美はイケメンだから昔からもててたのは知ってるけど、友達に好きな人ができるって複雑だな。
今なら娘を嫁に出したくない気持ち、わかる気がする。
「お前今、変なこと考えただろ」
「え!? まっさか~歩美の詞は相変わらずすごいなあって思っただけだよ~」
「僕もところどころ加勢したけど、必要なかったみたいだね」
「結構辞書役だったし、そうでもねぇよ」
そういってる彼の顔が、ふっと暗くなったように見えた。
どうしたのと声をかけると、彼は重々しく口を開いた。
「お前ら、マネージャーの……真城樹について、どう思う?」
急にいっちゃんの名前が、しかも歩美の口から出てきたから驚いたのは言うまでもない。
どう思う、って言われてもなあ。
どうも彼女は言葉に表現しづらいというか……
「俺はちょっと苦手かな。ああいう女子は、何考えてるかわかんないし」
「朔也も? 僕も年は近いほうだけど、まともに話したことないな」
「僕は……仕事の話をするので精いっぱいなので……」
三人が困ったように笑う。
みんな思ってることは一緒なんだなあ。
すると歩美がお前は? とばかりオレを向く。
オレは必死に言葉を選んで、いっちゃんについていった。
「話したりはするけど、微妙。大人じみてて近寄りにくいんだよなあ」
「そうか……これは俺の推測でしかないんだが、あいつは何かを隠している」
驚いてえ? と声が漏れてしまう。
オレにかまわず、彼はなおも続けた。
「昨日物音がしたから見てみたんだが、パソコンに向かって通話してるマネージャーを見た。そこに、JOKERって大きく書かれてたんだ」
「パソコン? 電話の相手とか、わかった?」
「そこまではさすがに」
最近、いっちゃんに関しては不思議が多い。
今回の新曲の件だって、まだ納得のいっていない点が多い。
何者なんだろう、いっちゃん……
「歩美と迅は何か知ってたりするのか?」
「事務所に長い間いたが、まったく」
「そういうの、僕興味ないんだよね」
さすが歩美と迅ちゃん。他人に興味ゼロ!
「要はどうだ? なんか聞いてるか?」
「お母さんの話だと、JOKERのマネージャーに自ら志願してきた人だって。私立の市松高校に通ってるみたい」
イチマツコウコウ? どっかで聞いたことのあるような……
「ああ! それって、あのエリートぞろいの女子高!?」
「そうだけど……くだらないことは知ってるんだね、君」
「もう、迅ちゃん一言多い!」
ということは。いっちゃんはかなりのエリート、というわけだ。
まあ見るからに優等生って感じだけど。
市松高校か~はっ! ひらめいた!
「ねぇ、朔也んち、そこの高校のやつおいてるの?」
「私立だし近いから、置いてあるけど」
「オレ、いっちゃんの正体を探るいい案を思いついたんだけどさ!」
目を輝かせるオレに、四人は顔をしかめるばかりだった……。
(つづく・・・)
お分かりの方もいるかと思いますが、JOKERには女子がいるわりに
全く恋愛要素がないです。
アイドルとしての活躍がメインなせいですかね。まず瑠夏が恋愛に興味なさそうなので
熱愛報道とか絶対なさそうですね。うんうん。
次回、瑠夏が考えた策とは!?




