大躍進まっしぐら!
ようやく伊吹が本当の仲間となり、さらに結束を深めたJOKER。
季節は巡り、寒い冬がやってきて・・・
ビンビン鳴り響く目覚ましの音に起こされ、ゆっくり手を伸ばす。
手だけに伝わる冷気に、オレはパッとひっこめた。
布団から飛び出るとたちまち襲ってくる、寒気寒気寒気!
「今日もさっむいなあ! まったくもう!」
靴下と上着を着ながら、オレは部屋をでた。
季節はすっかり冬。あっという間に年末シーズンです!
十二月、とはいえなんでこんなに寒いのだろう。
リビングに行くと、もわっとあったかい空気がオレへ吹いた。
「うわっ、あったか!」
「次から次に文句ばっかり、よくあきないよね。君」
相変わらずの口調で言うのは、もちろん迅ちゃんだ。
彼は毛糸の上着を羽織っていて、見るからにあったかそうだった。
「いやだってさ、部屋との寒暖差がすごくって。まあ暖かいほうがいいんだけど」
「夏の時も叫んでたけど、いちいち叫ばないとやっていけない性格なわけ?」
「いい方ひどいなあ、迅ちゃん。声に出すと暑さや寒さは和らぐって、よく言わない?」
「聞いたことないけど」
まったく、相変わらずやさしさのみじんも感じられないなあ。
まあ仕方ないことなんだけどね。
「あ、瑠夏君。おはよう」
「いい加減早起きに慣れろよ。結局いつもビリじゃないか」
朔也と要が台所から顔を出す。
今日は要が当番だったのか、朔也が手伝っていたようだ。
テレビのそばにいあるソファには本を読みながら、足には毛布を掛けてストーブに当たっている歩美がいる。
「寒いとなかなか起きれないんだも~ん。よく朔也達は起きれるね」
「普段の生活で慣れてるからな。お前とは違うんだ」
ふ~ん、そういうもんなのかね~
「大体君、季節関係なく寝坊するでしょ」
ぐふっ! ひどいわ、迅ちゃん!
オレだって寝坊したくてしてるわけじゃないんだけどなあ。
小学の頃からどうも早寝早起きは苦手で、いつも遅刻ばかりだ。
昔は親父が起こしてくれてたんだけど、親父も親父で寝坊しやすいからなあ。
「確か歩美、瑠夏と幼馴染なんだよね? 昔からこうなの?」
迅ちゃんの問いに、歩美はようやく本から目線を上げる。
幼馴染は迅ちゃんもなんだけどなあと思うオレとは逆に、歩美はすぐに答えた。
「基本、ほとんど叫ばずにはいられない奴だったな。くだらないことではしゃぐとこもあったし」
「瑠夏がやりそうなことだなあ」
「なんかそれって、いつもの瑠夏君とあまり変わらないような……」
うえ~~~~~~~~ん! 要までぇぇぇぇぇ!!!
もうやだ! このグループ、やめてやる!
「それで? 最近の社長はどんな様子なの? 要」
唐突に話題をふられた要は、きょとんとしたような顔になる。
それはオレも同じで、彼が言っていることがあまり理解できない。
迅ちゃんは深いため息をつくと、オレ達に言った。
「あの休暇以来、全然音沙汰がないから。いつもみたいに指令か何か来てないのかなって思っただけ」
あ、確かに!
なぜかは知らないが社長のミッションは、あれ以来途絶えた。
美鈴さんにはよくあってるけど、聞くに聞き出せない状況だし。
要も全然家に帰らないから、誰もわかんないんだよなあ。
「それが、僕にもそういう連絡がなくて。姉さんは、年末は忙しくて手が離せないだけだって言ってたけど……」
「それにしては連絡なさすぎでしょ」
「まあ、あの社長だから仕事に明け暮れてるのもわかるけどな」
朔也が呆れているように言いながら、ため息をつく。
しっかしこうもミッションがないとなあ。
いつもは有難迷惑だと思う中継も、ないってなると寂しいもんだ。
「ここはあったかくて、過ごしやすいですね」
うわ! びっくりした!
気づくと玄関に通じるドアに、いっちゃんの姿があった。
彼女は相変わらずの無表情で、オレ達を見ている。
「社長が多忙なため、私から連絡をします」
「多忙って……それでもDVDに収録とかしてたじゃん」
「年末を甘く見ないでください。あなた方だって、特番の収録は経験済みでしょう?」
確かに、あの忙しさは半端なかったわあ。
年末はいつも面白い芸人が結構出てるのは知ってたけど、人気者ってマジでつらい限りだわあ。
「その年末ですが、あなた方は年末に行われるトップアーティスト賞にノミネートされました」
トップアーティストぉ??
はてさて、一体何の話か全然分からないなあ。
と思っているのはオレだけのようで、歩美以外の三人は驚いたように声をあげた。
「トップアーティスト賞って、あの!?」
「ノミネートって、本気で言ってるの!?」
「ぼ、僕達、でれるんですか!?」
「はい」
ダメだ、話の筋が全然わかんね。
唯一驚きもしていない歩美に、オレはこっそり聞いてみた。
「トップアーティスト賞って何?」
こっそり聞いたはずなのに、一番勘がいい迅ちゃんがむんずと近寄ってきた。
「瑠夏、今トップアーティスト賞って何って聞いた?」
「うん、きいたけど?」
「アイドルならだれもが夢見るステージだよ!? さては君、年末バラエティしか見てないでしょ!」
ひどいわ、迅ちゃん! まあ確かにそうだけどさあ!
オレが知らないことに呆れながら、歩美が説明してくれた。
「トップアーティスト賞ってのは、毎年年末に行われるアイドルの祭典だ。視聴者や観客の投票で決める、一年で最も素晴らしいアイドルを決める番組だよ」
「へぇ~そうなんだ~」
「そうなんだって、瑠夏。巽さんも出てたはずだよな、確か」
そういわれてみれば、出ていたような出てなかったような……。
最近あったことが記憶に残りすぎて、昔そんなテレビがあったとかは全然わかんねえや。
「その賞のアイドルの中に、僕達が選ばれたって話」
「優勝したら、どうなるの?」
「巷で話題になるだけじゃなく、多くのファンに認めてもらったってことになるね」
おお! すごい!
ってことは、兄さんに少し追いつくってことじゃん!
よっしゃ! やる気でてきた!
「でも、それってお母さんから聞いたんですけど。うちの会社から結構出てる人いますよね……例えば、煌の人達、とか」
要がしどろもどろに言うのを、オレははっとする。
つうことは、煌の人達とも対決するってこと!?
あんなにすごかったのに、絶対かなうわけないじゃん!
せっかくなるちゃんとは仲良くなったのに、戦うことになるなんて……。
「それで私なりに考えてきたのですが、勝負どころとして新曲を作るのはどうでしょう?」
「え、新曲? 秋に作ったばっかりじゃん」
「定期的にリリースする歌手だっています」
「今からで間に合うわけ?」
「これは強制です」
いつにもましていっちゃんの迫力が尋常じゃないことに、今気づく。
なんでかはわからないけど、彼女はすごく真剣でどうしてもやれと言っているように見えた。
それはまるであの社長の威厳が似ていて、とても逆らうことができそうにない……。
「新曲作りに困った場合、それなりのことは私も協力します」
おや、珍しい。
いつもは全然ちっともまったく協力してくれないいっちゃんが。
もしかしたら、何か事情があるのかもしれない。
いつか話してくれるときが来るのかな、いっちゃんも。
マネージャーとはいえ女性だから、いまいち距離のつかみ方が分からないんだよなあ。
「今日はこの後予定があるので私は失礼しますが、何かあったら連絡してください。それでは」
突拍子のない提案を言い残しいっちゃんが部屋から出たあともなお、オレ達は自分の状況が分からずにいた。
トップアーティスト賞に選ばれたことはうれしい。
なのに素直に喜べないのは、おそらく彼女のことがあるからだろう。
ゆっくりと四人を振り返り、オレはどうにかして雰囲気を戻そうと口を開いた。
「と、とりあえず曲作ろうか。どうやる?」
「最初の時みたいに、全員で作るのはどうだ?」
「残り時間が限られているんだし、それをやってちゃ今からじゃ間に合わないよ」
確かに……作詞作曲だけに何日もかけるわけには……
「だったら、詞と曲を考えるやつで分ければいいだろ」
歩美の提案に、オレ達はいっせいに彼を見た。
「詞は俺、曲は朔也中心にグループを分ける。それなら効率もいいんじゃねぇの?」
おお! さっすが歩美! ナイスアイデ~ア!
さて、どっちにしようかなあ。
オレ的には作詞のほうが向いてるよなあ。
何より、経験者だしね!
「はい! オレは作詞がいい!」
「そんなの聞かなくても分かってるよ」
「え、ひどっ。オレ意見いう権利すらないの!?」
「絶対音感持ってる要が作曲でいいんじゃないかな。だから要は朔也とで、僕と瑠夏と歩美。これでどう?」
「うん、僕は構わないよ」
迅ちゃんの提案に、要は微笑む。
……ってんん? ちょっと待てよ。
今歩美と瑠夏と僕って言ったよね?
ってことはつまり……
「よろしくね、二人とも」
お、幼馴染三人組になっちゃったんですけど!?
(つづく!)
いよいよ二月ですね。
春になりつつあるせいか、ここのところ
眠くてしょうがないです
車のなかで音楽きいてると、いつも寝てます
これだから春はと、言い訳してみたり‥‥なんて。
次回、幼なじみ三人組で曲作り?




