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かけら

瑠夏と歩美が和解したことにより、五人の絆はさらに深まった!

一つになった五人は、再び曲作りを始めることに・・・

それからというもの、オレ達はJOKERとして二枚目になる曲を作り始めた。

朔也と歩美は、二人で詞をもとにした曲を作っていた。

オレや要は、迅ちゃんの指導をもとに基礎練習を始めている。

いつもはしんどくて嫌な練習も、なんだか心が軽い。

なんだかんだ言って、歩美とも迅ちゃんともアイドルできてるんだ!

オレの夢も、叶ったも同然!


そして二人が作り上げた曲に、振り付けやらレコーディングやらを進めていくうちに歩美が輪の中にいることに気付いた。

前まで一人で行動することが多かったのに、こうして仲間として感じてくれるのはうれしいんだよなあ。


「それにしても、歩美君の作詞はすごいよね」


練習の休憩中、要がつぶやいた。

彼が見ているのは収録用にと色で歌い分けされた、歌詞が書かれた紙だった。


「すごいって、どのへんが?」


「え、えっと……表現がすごいというか、すごく独創的というか……」


「瑠夏のとはくらべものにならないくらいすごいってことだよ」


ひ、ひどい! オレの力作をばかにされた!

要は違うよと連呼してはくれるが、迅ちゃんは本当のことだよとばかり鼻で笑っている。

それが心に痛むのなんの……


「確かに、すごいよな。子供の頃からやってるって話だけど、何かコツとかあるのか?」


「別に。俺はただ、思ってることをそのまま詞にのせてるだけだ」


「じゃあオレが頼んだとこも、そうやってできたの?」


歩美のにらみつけに、しまったと思ってしまった。

最初に書いたデビュー曲の詞は、オレが全部書いたことになっている。

つまり……


「あの詞、歩美が加勢してたのか? どうりで瑠夏にはできすぎてると思った」


「ひど!」


「どうせ、その勢いで全部作詞させたんじゃないの?」


「ひど!」


何なの、この扱いの差!

これでもオレってリーダーだよね!? ああ、みじめだわあ。


「それはちげぇよ。俺が書いてやったのは最後だけ、あとは全部こいつの実力だ」


「瑠夏が?」


「初めてにしちゃよくできてる方だと思うけど、俺にはまだ遠く及ばねぇな」


「ん? 歩美、それってほめてるの? けなしてるの?」


オレが言っても、彼は鼻で笑っただけで何も言わない。

ああ、もう。悲しい……


「でも、瑠夏君はすごいと思う」


「要?」


「瑠夏君には感謝しきれないくらい感謝してるんだ。いつも、僕達のこと考えてて。あまり無理しすぎないでね、作詞した時みたいに」


初めて心配された気がする。

要がいたって真面目な顔でいうものだから、逆に言われて恥ずかしくなる。

人に心配されるのは、あまりなれないものだなあ。

それにしても、変わったな。みんな。

昔がもはや懐かしいレベルだよ。


「プロになった途端、余裕ですね。朝倉さん」


とそこに、女性の声が聞こえる。

ゆっくり振り返ると、そこにはいっちゃんがいた。

仕事の都合で全然会っていなかったため、見るのは久しぶりだ。

マネージャーだというのに全然顔を見ないから、何してるのか疑問だったんだよなあ。


「いっちゃん! 久しぶりだね、何してたの?」


「仕事です」


「何の仕事?」


「プライバシーの侵害なので教えません」


「お、オレ達のマネージャーは……」


「プロデューサーである美鈴さんが一緒なら、心配ありません」


ダメだ、この人。話す気まったくない。

JOKERとして形になったのはいいけど、彼女のことも何も知らないんだよなあ。

いつも不思議じみてるし、どう見ても高校生くらいの子だし。


「突然ですが、これからここの近くでライブを行います」


「今から!? え、聞いてないんだけど!?」


「社長から許可はとってあります」


びっくりするオレ達に対し、顔色変えずに言ういっちゃん。

まだレコーディングもろくに終わってないのに、今からってどういうこと!?

っていうか、急に言われてできるわけないじゃん!


「ちょっと待ってください。まだレコーディングが……」


「生歌で勝負すればいい話です。それともあなた方は、これからも口パクで歌い続けるとでも?」


うわ、この目は本気だ。

まあ確かに、歌は練習してきたから自信はあるけど~

今までのライブはほとんど口パクで歌ってたから、ぶっつけ本番って言うのには勇気がいる。

それに新曲だから、音を取るのも難しいし……

うむむむむむ……


「なかなか面白いこと、考えてるんだな。マネージャー」


すると歩美がふっと笑った。

彼はオレ達とは逆に、いかにも楽しそうな笑みを浮かべた。


「せっかくの機会だ、やってみないか」


「え、あゆ……ブッキー本気!?」


「これは試練だ。乗り越えるだけで、大きなものが得られる。俺はそう思うけど?」


それを聞いて、やっぱり彼は歩美だと再認識した。

いつもそうだ。

昔迅ちゃんとオレだけじゃ入れないところに、彼はいつも率先して引っ張ってくれた。

オレはそんな歩美を尊敬してたし、挑戦するって意味じゃ参考にもなってる。

確かにここまでこれたんだもん! 思いっきしやりたい!


「では公演費、五万円を徴収します」


ぐふっ!


「じゃあ一人、一万円ずつ出すか。ん? 瑠夏、財布は?」


朔也に聞かれ、えっと素っ頓狂な声を上げてしまう。

オレの様子を見て察したのか、迅ちゃんが顔をしかめた。


「君、まさか給料全部使ったとか言わないよね?」


「そっ、そんなわけないじゃ~ん」


「じゃあなんで目が泳いでるの?」


さ、さすが迅ちゃん! 手ごわい!


「あ。そういえば瑠夏君、この前本買ってたよね。すごいたくさん」


要ぇぇぇぇぇ!


「……要の言うことに、嘘はないみたいだね」


「ご、ごめんなさい……」


「ちなみに聞くけど、買ったのって……漫画か?」


朔也の問いに、浅くうなずく。

二人のため息が聞こえ、どうしようもなくうなだれる。

だって、だってしょうがないじゃないか!

売れてからというもの、財布に諭吉さんがいっぱい入ってくるんだもん!

そんなにいっぱい金があって、使わなかったらもったいないじゃん!


「瑠夏。心の中で言い訳するくらいなら、最初からしないでよ」


あれ、聞こえてたの? てへぺろ!!


「しょうがねぇ。じゃあ俺から出しててやる」


「え、本当!? ブッキー、ありがとう!」


「その代わり、いつか返せよな」


ちっ。そう簡単にうまくいかないか……


「そろそろ時間です。衣装は事前に用意していたので、これを着てください」


そういわれてオレ達は、衣装を手に取りうなずき合った。




瑠 ばらばらだったかけらが今 一つへと形を変える

  まるで僕達の心のようで なんだかうれしい予感がする


要 風の匂い 君の匂い そばでかんじあえるって

  照れくさいな もうとまらないよ


迅 じっと見つめてた紅葉が ひらひらとおちてゆく

朔 色づく世界に 一つの希望見つけて


全 一つになった思いが みんなをつむぐ

  つないだ手と手があったかすぎて

  その笑顔とやさしさ たまらなくうれしくなる

  五人色に染まったその世界は きっとRAINBOW


伊 明日も晴れるかな? 丘の 四人(上で) 伊 君と 四人(一緒に)

全 きれいな夕日を見つめてたい


かけら

作詞 桜瀬伊吹 作曲 恵波朔也



湧き上がる歓声と拍手、見る人々を魅了する歌やダンス……

初めての生歌でのライブは、大成功に終わった。

瑠夏達の顔には、笑みが浮かんでいる。

樹はそれを、遠目でじっと見ていた。


以前まで堅苦しい雰囲気が漂っていたはずなのに、知らない間に彼らはまた一つ成長した。

彼女の中でも伊吹の変化は想定外で、満足そうに瑠夏と何か話しているのが見える。


「聞こえましたか? 彼らの歌」


樹は持っていた携帯を、耳に当てた。

どうやらライブ前から通話中にしていたのだろう。

携帯越しに聞こえたのは、男性の声だった。


『うん、聞こえた。すごかったよ、樹ちゃんの言ってたことが分かった。情報、ありがとう』


「別に……私はただ、任務をこなしただけです」


そういって、樹はまた彼らを仰ぎ見る。

ファン達に手を振りながら微笑む瑠夏の姿は、まるで彼と瓜二つだった。


「この一か月の調査の結果、彼らの過去が分かりました。データに入力次第、送信します」


『わかった。調査もいいけど、ほどほどにね』


優しい彼のほほ笑んだ声に、樹は空を見上げた……。


(つづく!!)

伊吹が本当の仲間になる、それが第四部のテーマでもあります。

ここにきて、やっと順調という言葉が似合いますね。

色々と長すぎだろ、と突っ込みたいですけど。


先日の迅ちゃん誕生日が

私が大好きな声優さんと、同じ日でした。

偶然とはいえ少し嬉しい反面

うらやましいような複雑な心境です笑


次回から最終章である第五部へ! 人気者JOKERに新たな試練が!

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