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ファーストコンタクト

天王寺会社の社長と名乗るものからいわれたのは、

まさかのグループ結成で・・・?

むなしく響き渡った声、消えたテレビ画面、呆然と立ち尽くす自分。

オレはゆっくりと朔也と顔を見合わせた。

朔也も朔也で何が何やらという様子だった。

天王寺会社から来ている二人は怒りが収まらない様子で、舌打ちしているものもいればため息をついているものもいた。

後の一人はおびえているように、さらに柱へと隠れてしまう。


オレ達が、何だって? 五人グループ?

まあアイドルやる分には文句ないんだけど、初対面の人達とグループって無理じゃね?

ここはひとまず……


「え……えっと~とりあえず自己紹介からしようよ! お互い名前知らないんじゃ、何かと不便っしょ?」


オレがそういうと、みんなの視線が一気にオレを向いた。

ううっ……この視線が痛い……


「君、よくこの状況が受け入れられるね」


「いやなんか、断れない雰囲気だったじゃん?」


「冗談じゃねぇ。グループなんざこっちから願い下げだ。俺は俺の好きなようにやらせてもらう」


長髪の少年はそういって、一つの部屋に入っていった。

こりゃ一筋縄じゃいかなさそうだな~。

オレ、そんなに素人じゃないと思うんだけど……


「彼は桜瀬伊吹おうせ いぶき。天王寺会社所属のアイドルで、二十一歳。ルックスが抜群で最近話題になってきてるアイドルらしいよ」


へ~。どっかで見たことあるって思ったのは、そのせいかな。

すごいきれいな顔してたな、女の子みたいに。


「知ってると思うけど僕の名前は佐久間迅、十六歳。君達とグループっていうのはまだ納得できてないけど、僕の足はひっぱらないでね」


同姓同名で容姿もそっくり……なのに性格真逆!

これがあの迅ちゃんだったら、どんなにいいことか……。


「それで、言い出しっぺの君は?」


「ああ、オレ朝倉瑠夏。年齢は二十歳。こっちが恵波朔也で、同い年」


「どうも」


オレが紹介すると、朔也は会釈する。

会釈した後、彼は後ろを向きもう一人の方へ声をかけた。


「それで、君は? いつまでそんなところに隠れてるんだ?」


「ひえっ! あの、えっと……ぼ、僕のことはききききにしないでください」


「せめて名前だけでも教えてくれないか?」


朔也が優しく声をかける。

柱にずっと身を隠していた少年は、そうっとこちらをのぞき込みながら消え入りそうな声で


「要……て、天王寺てんのうじ……かなめ……十八歳、です……」


といった。

それをきいて、ん? となったのは言うまでもない。

なんせ天王寺といったものだから、答えを導くのは難しくない。


「天王寺って……君、まさかあの社長の息子だったりする!?」


「ひぃっ! す、すみません! ごめんなさい!」


「いや、別に謝らなくても……」


そういいながら、自分のおなかが鳴ったのに気付く。

もうすぐ昼飯じゃん! どうりで腹がなったわけだ!


「朔也~おなか減った~!」


「こんな事態でよくそんなのんきなこと言えるよな」


「腹が減っては戦はできん、って言うじゃん。来る途中に色々店あったし、行ってみようよ。あ、そだ。迅ちゃんも来ない?」


オレが迅ちゃんと呼ぶと、彼は嫌そうに顔をしかめた。


「僕を変な呼び方で呼ばないでくれる?」


「まあまあ細かいことは気にしない♪ ね、一緒行こうよ!」


「呆れた。君、本当に変わってるね。まあ面白そうだし、仕方ないからついて行ってあげるよ」


よっしゃ! さすが迅ちゃん!

よし、この調子で!


「ねぇねぇ要も一緒行かない!?」


そういいながら、要がいる柱へと駆け寄る。

彼は悲鳴に近い声を上げ、ぶんぶん首を振った。


「むむむむむ無理です! お気持ちだけで結構です!」


「え~そんなこといわずにさ~」


「嫌です!」


要は、逃げるようにして部屋へと去っていく。

シェアハウスなだけあって、五人それぞれの部屋は用意されているようだった。

勢いよく閉めたドアに、鍵を閉める音がこっちまで聞こえる。

ひょっとしてオレ、嫌われてる?

さっきの長髪の子(伊吹だっけ?)もそうだし、要もものすんごく拒んでたもんな~。


「彼を誘うのはやめといたほうがいいよ」


「え~」


「僕も結構芸歴長いほうだけど、彼を見るのは初めてなんだ。社長の息子とかいってたけど、あの調子じゃかなりの素人みたいだしね」


確かに、オレもあの子は見たことないけど……


「とりあえず、外に出てみようぜ。ここ来る途中に店あっただろ?」


「そだね~んじゃいこっか、朔也! 迅ちゃん!」


「だからその呼び名変えてよ……」


呆れかえる迅ちゃんの声を、オレは聞こえないふりをして家を出た。



「ん~うっまあああああい! ここの肉まん、最高!」


そういいながら、オレは肉まんをほおばる。

迅ちゃんと朔也とともにコンビニまでいったオレは、歩きながら肉まんを食べていた。

本当は弁当にしようと思ってたんだけど、歩きながら食べたかったというのもありこれになった。

それにこの辺に詳しいのか、迅ちゃんにおいしいって教えてもらったんだよね。


「瑠夏、歩きながら食べるのはいいけどこぼすなよ?」


「ふぁふぁっふぇふふょ~(わかってるよ~)」


「食べながらしゃべらない」


うへ~朔也はオレの母親かよ~。

これじゃせっかくおいしい肉まんの味が半減しちゃうよ~。


「朝倉君と恵波君は、何年アイドルしてるの?」


「高校の時だから、今年で三年目かな。佐久間は?」


「僕は一昨年。君達と同じだね」


へ~芸歴同じかあ。

年は違うけど、唯一の共通点発見ってとこかな。


「よくこんな人と、ユニット組めたね」


「ちょ! こんな人ってどういう意味!」


「自分でも、なんでこいつと組めたのか不思議でしょうがない」


ひどい! オレ、そんなに嫌われ者!?

ううっ……泣きたくなってきた……


「高校一年の時、同じクラスでさ。しかも名簿順が前後だったからか、かなりしつこく声かけられたわけ。同じ中学でもないのにいきなり初対面の相手にアイドルやらない? って普通いえるか?」


だって、あの頃は無我夢中で……。

誰でもいいからアイドルになってほしかった。

迅ちゃんと歩美もきっとどこかでアイドルをしてるんだって思ったら、じっとしてられなくて……


「ほんっとお前、よくやれたよな。授業中はほぼ寝てるし、テストは赤点だらけだし。いつクビになるかひやひやしたよ」


「し、失礼だな! 無事に卒業できたんだからいいじゃん!」


「それは先生の優しさと、社長の気遣いがあったからだろ~?」


「朔也だって赤点とったじゃん!」


「いつの話だ!」


「……ふふ、はははっ」


はっと我に返ったのは、くすくす笑っている迅ちゃんの声が聞こえたからだ。

初めて見た彼の笑顔はとてもきれいで、思わず見とれてしまった。

そして何より、その顔が小さい頃から見ていた彼の笑顔にそっくりで……。


「君って、本当馬鹿なんだね。興味がわいたよ。よかったら、もっと聞かせてよ」


「瑠夏の失態話ならいくらでも聞かせてやるよ」


「ちょ! なんでオレだけなの!? オレ、迅ちゃんの話聞きたい!」


「僕の話なんて、聞くまでもないでしょ」


「いやいやいや! 迅ちゃんの幼い頃聞いてみたいな~。どんな子供だったか、気になるじゃん?」


オレがそういうと、彼は笑顔を崩しパッと真顔にかわる。

何か言いかけたようにも見えたが、彼は首を振って拒んだ。


「君みたいな人に個人情報を教えるわけないでしょ」


「え~」


「そういうことだ、瑠夏。さて、どの話から行こうかな~」


「ちょっと朔也、なんで楽しんでんの?」


「朝倉君と恵波君は、漫才コンビみたいだね」


「漫才じゃない! それと、オレのことは瑠夏でいいから!」


「んじゃ俺も呼び捨てで」


オレと朔也がそういうと、迅ちゃんは優しく微笑んだ。


(続く!)

余談ですが、作者は要と伊吹おしです


先日から音楽機器の調子が悪く、充電してもうんともすんとも言わなかったので

「もう寿命かなぁ‥‥」と思い、ダメもとで充電したら

まさかのつきました

持ち主ににるって、こういうことなんでしょうかね笑


以上、作者のつぶやきでした笑

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