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すれ違って、つながって

美雪からすべてを知った瑠夏。

彼が書いた詞から、瑠夏は伊吹の場所がわかったといって・・・?


今回の始まりは、瑠夏目線ではないのでご注意くださいませ。

『じゃあかくれんぼしようよ! 迅ちゃんが鬼ね~』


『ええ~また~?』


あの日、この場所で二人の少年がはしゃぎまわっていた。

幼い二人―迅と瑠夏は無邪気に遊んでいた。

そんな光景を、歩美は遠目で見ていた。


楽しそうに遊ぶ二人に声もかけられず、ただ木の陰に隠れているだけ。

思うように、友達の作り方が分からない。

家が隣同士とはいえ、彼らに話しかける勇気がない。

自分に、もうちょっと勇気があれば……


『あれ? 君こんなとこで何してんの?』


ふいに話しかけられ、声が裏返ってしまう。

そこには目をくりくりさせてこちらを見ている、瑠夏がいた。


『そんなとこに隠れてたらすぐ見つかっちゃうよ~こっちいこ!』


『いや……俺は……』


『かくれんぼは人数が多いほうが楽しいの! 迅ちゃんにはあとで言っとくから!』


屈託のない笑みに、歩美の緊張がとける。

彼の笑みは今までの不安や怯えを、一瞬にしてなくした。


『僕、朝倉瑠夏! さあ、いくよ~!』


それが、瑠夏との出会いー



「歩美」


聞きなれた声に、ゆっくり振り返る。

走ってきたのだろう、彼の顔には汗がにじんでいた。

ここに来るまでの距離に疲れているだろうに、彼はにっこりといつもの笑みを浮かべた。


「ここだと思った。歩美、好きだって言ってたもんね。嵐が丘から見る夕日」


彼らがいるここー嵐が丘は、昔からある街を一望できる場所だ。

ここからみる夕日は、町一番といっても過言ではない。

瑠夏もよく、小さい頃遊びにいっていた。

もちろん、迅と歩美とともに。


「小さい頃来たときはここに来るのすごい時間かかったけど、今じゃそういうの全然感じないや」


「……」


「ミッキーから話は全部聞いた。ごめんね、歩美。ずっと、つらい思いをさせてて」


瑠夏の言葉に、歩美は何も言わない。

彼は笑みを崩すことなく、彼に言った。


「ブッキーと会った時、歩美に似てるって思ったんだ。まさか本人とは思わなかったよ」


「何しに来た」


「え?」


「ここに、何しに来た」


歩美の言葉は厳しく、ぎろりと睨むように見つめていた。

そんな彼を見ながらもなお、瑠夏は笑顔を浮かべる。

彼の心には、一つの決心があった。


「誤解をときたくて」


「誤解?」


「歩美、子役でアイドルしながらオレを待っててくれたんでしょ? でも、オレはそれを裏切った。ちょうどあの頃、両親が離婚したんだよ」


はあ? と、歩美の声が漏れる。

瑠夏の顔が、初めて曇った。


「ちょうど二人が引っ越した翌年くらいかな。兄さんのことや会社のことでもめるのが多々あったけど、さすがに限界だって母さんが出てったんだ。結局兄さんも親父もオレがアイドルするの反対して、全然させてくれなかったわけ」


初めて聞いた、瑠夏の過去。

言われてみれば、彼の母親の話は聞いたことがない。

幼いころに一緒にいた、あんなにやさしそうな母親が……


「だから、オレも歩美に言えないんだよ。お互いさまってこと」


「朝倉……」


「この詞、歩美が書いたんだよね?」


瑠夏が出したその紙に、はっとする。

動けずにいると、彼は明るい声色で言った。


「歩美の気持ち、ちゃんと伝わったよ。もう一人で抱え込まないで。オレもいるし、JOKERのみんなだっているじゃん!」


「そんなこと、俺だってわかってんだよ! でも! お前らまで裏切ったら、俺は……!」


怖い。

その二文字が言えずに、歩美はぐっと口を引き締める。

小さい頃お金を稼ぐために働けとせがまれた、親戚の両親。

それでも、愛していた両親を殺害され……


「歩美」


瑠夏の声に、ゆっくり顔を上げる。

彼は歩美の方に近寄り、くすりと笑った。


「オレ達は、歩美の味方だよ」


爽やかに吹く風が、彼の心の闇を溶かしていく。

瑠夏が浮かべる笑顔は、昔と何一つ変わらない優しいもの。

そんな彼の笑みを見て歩美は、やっと笑ったのだった……。


(つづく・・・)

今回の騒動での陰の功労者は、美雪といっても過言ではありません。

このお話は作者の中でも一番大好きです。

瑠夏はこういう時はかっこいいんですけどね~普段がこうだったらいいのに・・・なんて


次回、JOKERが一つに!

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