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再会?

「住所や地図の場所的に、ここで間違いないはず……だよな?」


朔也がオレの携帯と現地を確認しながら、不安そうに声を上げる。

指示通りきた場所は、大きな一軒家だった。

会社の社長って書いてあったからてっきり会社の場所が示されてるのかと思ったら、何だここは。

天王寺会社って家みたいな形してんのかな。普通はビルじゃね?

ははあ、さてはあれだな。カモフラージュってやつか。

ふむふむ、なかなかに面白い会社ではないか。気に入った!


「何一人でにやにやしてんだ。考えてること見え見えだぞ」


「ありゃ? 顔に出てた?」


「そりゃあもう」


「いやあ、面白いとつい。とりあえず、チャイム鳴らして出た人に聞いてみようよ」


俺はそういいながら、門の近くにあったインターホンを鳴らす。

スピーカーから、「はいっ」と裏返ったような声が聞こえた。


「すみませーん。ラピスムーンなんですけど、天王寺喜美江さんっていらっしゃいます?」


返事がない。

聞こえなかったのかな? それともこいつの調子が悪いのか?

念のために、もう一回チャイムを鳴らしてみる。

すると中でものすごい物音が聞こえたかと思うと、「あのっ」とさっきの声が聞こえ。


「お母さ……社長、はいませ、んが……おおおお二方の、話は、聞いて、ます。どどどどうぞ、中に、は、はいって、ください」


なんか声聞く限りガチガチだぞ、この人。

声の低さ的に、男性だよな? こういう人もいるんだなあ。


「瑠夏、中入るぞ」


「ん、りょ~かい」


返事しながら、ドアを開ける朔也の後についていく。

そこを開けたらなんとまあ驚いたこと!

だだっぴろい玄関の向こうには、きれいに整えられたリビングがあるではあ~りませんか!


「ここ……もしかして、新築なのか?」


「すげー! マジでひろ~い! このリビング、全部この家の!?」


「ちょっと、近所迷惑だよ。声のボリューム、下げたらどうなの?」


凛とした好き通る声質に、オレははっとする。

リビングのソファに、一人の少年が座っていた。

窓から入る風が、彼のきれいな髪を揺らめかす。

息が、止まるかと思った。

まっすぐ見つめるその瞳が、本物だとオレに告げる。


「……迅……ちゃん?」


たまらず、オレは彼に近づいた。


「君! 佐久間迅さくま じん!?」


「……そうだけど、よく僕の名前知ってるね」


「やっぱり迅ちゃんだ! オレだよ、オレ! 朝倉瑠夏だよ! 小さい頃、一緒に遊んでたじゃん!」


「はあ?」


間違いない、迅ちゃんだ。

小学校の時にずっと一緒だった幼馴染の一人の……!


「……何わけのわからないこと言ってるの?」


え?

がんと、釘で頭を撃ち抜かれたような感じがした。

彼は顔をしかめ、迷惑そうにオレを見た。

睨むようにしてみてくる彼に、オレは言葉を失った。


「君と僕は初対面だよ。誰と間違えてるのか知らないけど、人違いじゃない?」


「でも……!」


「世の中には同姓同名や、似てる人が三人いるっていうんだ。悪いけど、僕は君の探してる迅ちゃんではないよ」


人違い? いや、だってこんなに似てるのに?

いわれてみれば、迅ちゃんはこんな顔はしない。

いつも笑顔で、優しかったのに……。


「どうした、瑠夏。いきなり走り出しかと思えば、急に元気なくなったな」


後を追うようにして入ってきた朔也が、不思議そうにオレを見る。

オレは何も言えず、ただうつむいた。


「お前らが、マタン事務所の奴ら?」


聞きなれない低い声が、部屋中に響き渡る。

いつからいたのか、壁に寄り掛かった長身の男性がいた。

男には珍しい長髪で、こちらを睨むように見据えている。

なぜだろう。この男の人、どっかで見た気が……。


「そうですが……あの、社長はいらっしゃいますか」


「ここを会社だと思ってるなら違うぜ。会社は他のところにある。今ここにいるのは俺を含めた五人だけだ」


五人? 四人じゃなくて?

と思う俺だったが、すぐに気配に感づいた。

さっきからオレ達を見ている、視線があることに。

パッと後ろを振り向くと、「ひいっ」と声が上がる。

柱に隠れながらこちらをひっそりとうかがっている、もう一人の少年がいた。

黒い前髪が目まで隠れていて、その上に眼鏡をしている。

まあ俗にいう、ひきこもりのような男の子だった。


「おーい君、なんでそんなとこにいんの~? こっちきなよ」


「いいいいえ、あのっ。こここここで、いいです」


このしゃべり方と声……インターホンに出たのは彼だったのか。

しかしあれだな、この五人でどうしろっていうんだか。


『ようこそ、私が用意したシェアハウスへ』


突然、声が聞こえた。

誰も触れていないはずなのに、勝手にテレビが映し出される。

そこにいたのは黒髪が特徴的な、若い女性だった。


『初めまして、ラピスムーンのお二人方。私が社長の天王寺喜美江です』


うええええ!? これ中継!? つか、社長!?

天王寺会社ってものすんごいお金持ち!?


『今回そちらにいる三人は、私の会社に所属する者の中からで選ばれた者達です』


「選ばれた……?」


『あなた達五人を、グループに任命します』


WHAT!?


「社長! どういうことですか!!」


すると長髪の少年が声を荒げて叫んだ。


「なんで俺が、こんな素人と一緒にグループをしなきゃなんないんですか!」


ちょ! 素人ってひど!

こうみえてもアイドルやってましたけど!? そんな活躍してないけども!

しかし何も言えないのは事実なわけで、オレや朔也はただ顔を見あわせた。


『これは私が決めた社長命令です。異論は認めません。あなた達にはその家でともに生活しながら、十日後の十五日までに曲を作ってください。それでは、みなさんの健闘をお祈りしています』


「あ、ちょっと!」


オレのむなしい声はその場で響くだけで、テレビはその言葉を残してすぐに消えてしまったのだった。


(続く・・・・)

話中に十五日としてあり、昔書いていたものから引っ張ったので偶然とはいえ

現実と時期と合うんじゃないか!?とか思いましたが、

無駄なあがきでした笑 なので小説の中では、ということにさせてください笑


次回で名前が出てきます。皆さんの推しは誰なのかすごく気になりどころです。

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