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彼へ、自分ができること

要の過去を知ると同時に、社長に初対面した瑠夏達

社長のきつい言い方に、要は変わったと言い張り

次の公演で証明することに‥‥

「あ……戻ってきたんですね……待ってました」


店の裏口に戻ると、そこにはすでになるちゃんがいた。

忙しい中、店からちょくちょく顔を出していたのだろうか。

オレ達のことを待っていてくれたんだと思うと、なんかうれしいな。


「うちのメンバーが迷惑かけてすみませんでした。店の方は、大丈夫でしたか?」


「……問題ありません……店のことより……いなくなった人の方が……オレは心配です」


なるちゃんにこれ以上迷惑はかけたくなかったため、要のことはあまり触れなかった。

ブッキーがいないことにも突っ込まれたが、何とかやり過ごした。

まったく、勝手なんだから。ブッキーは。


「……桜瀬さん、いないんですか……じゃあこれ……渡しておいてください」


「ん? この封筒は何?」


「給料袋です……名前が書いてあるので……自分のをとってください」


きゅ、給料だってぇぇぇぇぇぇ!?

オレはすかさず、なるちゃんから袋をかっさらう。

袋に朝倉さんと書かれたやつから、そうっとお金を取り出してみる。

そこには野口さんが三枚!

うひょぉぉぉぉぉ!


「今週の分です……仕事ぶりによって額を分けたと……両親が言ってました」


「朔也と迅ちゃんは何円入ってたの?」


「俺? 五千円」


「僕も朔也と同じ、かな」


あれ!? オレの努力は二人以下!?

これで要とブッキーより少なかったら、今までの努力は何だったの!?

それにしても……


「こんなにもらっちゃって、いいの? いくら一週間分とはいえ」


「……あなた方は素晴らしい働きっぷりでしたので……このお金で……公演開けるといいですね」


なるちゃんがそういうのを聞いて、オレははっと思い出す。

そういえばさっき約束したっけ、社長と。

要を外に連れ出し、杏里ちゃんとかいう人の前で歌えるようになること。

公演は何とかなるとして、杏里ちゃんを連れだすのには無理がないかな~。

あ、でも中学校の同級生とか言ってたから連絡先は知ってるのかも。

そんなことを考えていると、不意に迅ちゃんがなるちゃんに話しかけた。


「そういえばここに来る途中いつも通るけど、近くに公園あるの?」


「……はい……よく子供とかが遊んでます」


へ~! そうなんだ~!

オレ朝は弱いから、車の中では寝てるんだよね~。

細かいことに気付けるとは、さすが迅ちゃん!


「……路上ライブとかもたまにやってます……オレ達も今度そこで演奏するので……よかったら」


ん? 演奏? 路上ライブ?

そうだ、その手があるじゃないか!


「ねえなるちゃん! オレ達もそこでライブしていいかな?」


「……?」


「この服装のまま、オレ達が歌うの! そしたらここの宣伝にもなって、いいんじゃないかなーって! それに、お金もあんまかかんないでしょ?」


うん、オレ天才かもしんない!

こんなにいい名案が思い付いたのは初めてだ。

よぉし、そうと決まれば早速……!


「勝手にバンバン決めないでよ、瑠夏。いくら成海さんが許可しても、あの二人が許すと思う?」


ぐふっ!


「それに、要がまだ出てきてないんだ。勝手に公演を企画して、ますます出てこないんじゃないか?」


ぐはあ! つ、強い!

確かに、そうかもしれない。

あの煌の女子二人はかなりオレ達のこと嫌ってたし、第一要がいないと何も始まらない。

でもここであきらめたら、絶対先には進めない気がする!


「やってみないとわかんないじゃん。やらずに後悔するのだけは嫌だ! オレ達は今までずっとあきらめずにやってきた! だから今回も、絶対やる!」


やると決めたら、必ずやる。

それが昔からのオレのスタイルだった。

そのせいでひどい目にあったとか友達にはあきれられたけどね。

オレが勢いよく言った言葉に、迅ちゃんと朔也はお互い顔を合わせる。

迅ちゃんは深いため息をつきながら、呆れたように言った。


「まったく、君は本当に世話が焼けるね。やらないっていっても、どうせやるんでしょ?」


「それじゃあ……!」


「でもいい? これ以上に練習を厳しくするから覚悟しといてね」


「ラジャー!」


そういってオレは、二人に微笑みかけたのだった。


まだ日が落ちていない、夕方。

外が静かになったのを確認しながら、要はそうっと部屋から出てきた。

社長である母はすでに姉と会社の方に降りたのだろう。

美鈴の字で「ご飯は冷蔵庫の中」と書き記してある紙が、テーブルに置いてある。


どれだけ自分は、迷惑をかけてきたのだろう。

いつもそうだ。姉や母と一緒に食事さえできず、一人で部屋にこもることしかできない……。

たくさんの女子達に責められたあの日から、要は女子に恐怖を覚えた。

ただでさえ人見知りだったのに、女性恐怖症となるともう手に負えなくなる。

だから母親は、自分を捨てた。


相手にさえされなくなったのは、自分が情けないからだと思っていた。

なのにいきなりアイドルになれだのと、訳が分からないことまで言われて……


「僕……JOKERに戻れるのかな?」


せっかくできた、友達の輪。

瑠夏はたくさん、素晴らしい世界へといざなってくれた。

まだろくにお礼も言っていないのに、このまま終わるわけには……。


「相変わらず弱気発言か。成長しねぇな、お前」


ふっとどこからか、声が聞こえる。

声のした方を見ようとぱっと振り向くが、電気をつけていないため見えない。

カチッとスイッチの音がをしたかと思うと、部屋がいきなり明るくなった。

そこにいたのは、伊吹だった。

要をじっと見つめ、ため息交じりでつぶやく。


「お、桜瀬君?! どうして、ここに?」


「別に。一言いいに来ただけだ」


「一言……?」


「アイドル活動してちょっとは変わったんじゃねぇのかよ」


伊吹の言葉が、要の心にいたく刺さる。

彼はなおも、厳しい口調で言った。


「また逃げるのか? 前みたいに」


「……それは……」


「かっこ悪いったらありゃしねぇな。お前にとって、JOKERってのはその程度だったってことだろ?」


「そ、そんなことは……!」


「だったら逃げんな」


はっきりと言い放たれたその言葉に、要は戸惑う。

伊吹の瞳はまっすぐに要をとらえていた。


「傷つくことを恐れてるだけじゃ、前には進めない。その迷いが、他人を傷つけることになる。俺みたいにな」


「桜瀬……君?」


伊吹がいった言葉は、自分に言い聞かせているものだと要にもわかった。

彼が抱える、心の闇。

彼の表情がいつも以上に苦しそうに見えたが、それは一瞬で元の顔に戻り要に何かを投げ渡した。


「それ、バスの運賃とシェアハウスの住所」


「え? あ、ありがとうございます。でも僕、バスの乗り方……」


「そん時は携帯で恵波やら朝倉やら呼びつければ? いっとくけど、俺は忙しいから呼びつけても来ねぇからな」


ぶっきらぼうに言い放つと、伊吹は会社を後にする。

彼の中に隠された小さなやさしさに、要は少しだけ微笑んだ。


(つづく!)

年末年始で驚いたこと

②昼の十二時まで寝ていたことです。

おかげで見たいテレビ何個か見逃しました笑


JOKERって、何気家族に見えますよね。

お母さんが朔也で、お父さんが伊吹。

長男が迅ちゃんで、次男が要。

瑠夏は・・・ペット的ポジションでしょうか笑

だからなんだよって言いたいですね、

ただの独り言でした。


次回、要がついに・・・?


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