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天王寺要

霞亭で再会した、昔の同級生と要

その彼女との出会いをきっかけに、

要は家に帰ってしまう‥‥


「お~来た来た。いらっしゃい、JOKERさん。ごめんね、要の奴が迷惑かけて」


天王寺会社についてすぐ、要の姉・美鈴さんが出迎えてくれた。

彼女は上がってと中にオレ達を招き入れる。

美鈴さんに誘導されたのは会社の最上階で、普通の家のような構造をしていた。

広い茶の間のような空間には、クーラーや扇風機も常備されていてとても贅沢だった。


「麦茶でいい?」


「あ、はい。急に押しかけて、すみません」


「謝るのはこっちだよ。わざわざここまで来てくれて、本当ありがと」


美鈴さんはオレ達四人分の麦茶を注ぐと、ため息交じりで腰かけた。


「さてと、説明しないとね~……要からどこまで聞いた?」


「えっと、女性恐怖症とまでしか聞いてないです」


「そっか」


「かなりひどいみたいですけど、美鈴さん達とは平気なんですか?」


「全然。ドア越しに会話するくらいかしら」


え!? 家族なのに!?

確かに初めてオレが美鈴さんと会った時、要のけぞってたな。

ご飯とか、今まで一人で食べてたのかな。

なんてかわいそう……


「一応カウンセリングうけたりとか、できる範囲のことはやらせてるみたいなんだけどね。そううまくいかないみたいで」


「そうなんですか……」


「今回のアイドル計画も、その一環なんだとさ」


ってことは、女性恐怖症を治すためにアイドルに?

大胆すぎるでしょ! 何なの、あの社長!


「それで、要に一体何が……」


「店に、女の子きたでしょ。かなり美人の」


「はい。要が、同級生だって言ってました」


朔也と迅ちゃんが答えると、彼女はそっかと言いながら困ったように笑う。

美鈴さんは本棚に置いてあったアルバムのようなのを取り出すと、一人の女性の写真を見せてくれた。


「この子が、渡辺杏里わたなべ あんりちゃん。あなた達が見たっていう、女の子」


え、めっちゃ美人なんですけど!?

親父とばっかしゃべってないで、さっさと帰ってくればよかった!


「中学一年の頃だったかな。要、この子から告白されたの」


!?


「その当時から要はシャイだったけど、見た目がいいから女子からも評判が良くて。一人の子と付き合うのはやめてたんだって。でもそれがクラスの女子に広がって、要を責めたてたらしくって」


「責めたてた……って」


「例えば、杏里ちゃんがかわいそう~とか。かっこいいからって調子乗るなとか」


ポンポンと責める言葉が出てくる美鈴さんの方が、オレは怖いと思うんですけどねえ……

だが彼女の説明を絵にすると、想像したくないくらい怖い描写になる。

一人の女の子を振ったことで、たくさんの女子に責められる。


オレも高校の時は女子からの非難の声がすごくて、ひどい目にあったわ~

え? どんな声かって? それは……想像にお任せします!


「要本人から聞いたのは、カウンセリングの時よ。詳しくは、わからない」


「それで要は、あんなにひきこもりに?」


「まさかあそこまで悪化するとは」


美鈴さんは「しょうがない子」とか言って、ばかにしたようにため息をつく。

でもそれは、表向きの顔なんだろうな。

家族が急にひきこもりになったら心配もするだろうし、話もできなくなるんじゃ寂しいもん。

その渡辺杏里って子は、まだ根に持ってるってことなのかなあ。


「その杏里ちゃんって子、要に水かけた後どうしたの?」


「別にどうも。何事もなかったかのように頼んで食べて、帰ってった」


「すごい度胸の人だね」


「色々な客に何があったのかってたくさん聞かれたよ」


ふられた、か。

それだけで人を恨むのは、どうかと思うけどな。

その人にはその人なりの考えがあって、相手のことを思って言ってるのに。

どうにか、誤解を解くことできないかなあ……


「余計なことをしたら、事態はさらに深刻になる」


オレの考えていることを読んだかのように、ブッキーが言う。

彼は目線を落としたまま、ぼそりといった。


「過去にできた傷ってのは、一生消えることなく残り続けるもんだ」


まるで自分に言い聞かせるように、放たれた一言。

初めて見た、ブッキーのこんな顔。

要のことを含めていったんだろうけど、ブッキーの顔がどうしても忘れられない。

顔をゆがませた彼を見ていると、どことなく誰かに似ていて……


「騒がしいと思ったら、やはり来てたのですね」


とそこに、なんだか聞きなれた声が聞こえる。

ぱっと顔を上げ、オレは目を疑った。

何度も何度も目をぱちぱちさせ、それが本物か二度見してしまう。


「おかえり、お母さん。麦茶でも飲む?」


「休憩に帰っただけだからいらないわ。要は?」


「部屋に閉じこもったっきり」


「ふうん……。こうして面と向かって会うのは、初めてよね。JOKERのみなさん」


なんともあろうことか! やってきたのは、社長だった!

テレビの中でしか知らない、もはや有名人のような人だった社長が! 今目の前にいる!

初めて会ったけど、背が高いんだな~。

雰囲気がもうただもんじゃないわ~


「要のことで来たのはわかるけど、バイトをほったらかしにするほどのことかしら」


「えっ」


「これはあの子が自分で乗り越えなければならないのです。あなた方が来たところで、何も変わりません」


そういう社長の目は真剣で、冗談を言っているようには見えなかった。

迅ちゃんのお義母さんとは全く違う。

同じ母親なのに、考え方がまるで真逆だ。

要を無理やりアイドルにしたって聞いた時からおかしいとは思ってたけど、まさかこの人……


「やはりアイドルにしたのが間違いだったようね。JOKERのメンバーを変える必要があるかしら」


「ちょっ、ちょっと待ってよ! いくらなんでも勝手すぎる!」


気が付いた時には、声を荒げて叫んでいた。

それにびっくりして、朔也と迅ちゃんがとめようとする。


「要をアイドルにしたのは、社長じゃん! 勝手に決めた上に、要の許可なしに辞めさせるなんてひどい!」


「この状況を見てもなお、どうしてそんなことが言えるのかしら」


「社長は要のこと、全然わかってない!」


「私はあの子の母親よ。あなたみたいな人に言われたくないわ」


社長が負けずと言い張ってくるのにも劣らず、オレは訴え続けた。


「要はちゃんと、自分で変わろうとしてるよ! あんなに長かった髪も切って、オレ達ともやっと普通に話せるようになったんだ! それなのにもう無理だと思って勝手にやめさせるなんて、そんなのおかしい!」


思い切っていうオレに、社長はふうんといいながら腕を組んだ。


「ならあなた達で証明しなさい。次の公演までに要を外に出し、女性の前で歌えるということを」


社長がそういうのを、オレはぐっとこぶしを握りしめた。



「瑠夏! お前ってやつは、よくもあんな口が叩けたな!」


会社から出るなり、朔也が声を荒げてオレに言う。

彼は怒っているのか呆れているのか、ため息交じりで言った。


「まさか社長に、しかも初対面であれとは……。今後が不安だ」


「じゃあ朔也はあれを黙って聞けるわけ?」


「別にそういうわけじゃないが……」


朔也が答えに詰まっていると、代わりに迅ちゃんが口を開いた。


「要を悪く言われて頭にくるのはわかるけど、やりすぎじゃない?」


「迅ちゃんまで……だって……!」


「まあ、君の気持ちもわからなくもないけどね」


あれ? 怒って……ない?

オレが思っていることが分かったのか、迅ちゃんは思い出すような口調で言った。


「天王寺会社に所属してたけど、息子がいたこととか全然知らなかったんだ。要のことも、美鈴さんに聞いたんだよ」


つまり社長は、自分から要の話をしないってことか……。

要のことが嫌いなのかな?

あの社長、仕事ばっかりに見えるもんなあ。


「んで、どうするんだ。まだ公演費もないし、要とも連絡ついてないぞ」


「なるちゃんに言って、多くもらえたりしないかな?」


「どっちにしろ、今の問題は要でしょ?」


た、確かに……

うーん、どうすればいいんだろう。

携帯の電話も出ないし、あの調子じゃ部屋にも入れてもらえなさそうだし~


「会社に忘れ物した。先帰っとけ」


とそこに、ぶっきらぼうな声が聞こえる。

パッと振り向くと、強引に投げ出された鍵を見事に受け取りながら顔を上げた時には、すでにブッキーが会社内に入るところだった。


「え、先帰っとけって! ブッキー、車は!?」


「バスで帰るから問題ねぇよ。じゃあな」


そういって強引に去っていくブッキーに、オレはため息交じりで見つめ返した……。


(つづく・・・)

年末年始で驚いたこと

①熱愛・結婚報道が続いたことです。

正直リア充爆発しろと、新年早々いらつきました笑


ここまで続いてて、社長と対面してなかったとか

それはそれで問題だろと思ったあなた

つっこんだら、負けですよ


メンバーのことがからむと、

瑠夏が結構大人になりますよね

普段はてんでダメダメなのに、そういう瑠夏が

私は好きです。

はて、なんでこの話してるんでしたっけ。


次回、伊吹のとった行動とは!?

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