馬子にも衣装?
仕事が来ないJOKERに言い渡されたのは、
ライブの資金稼ぎ?
マネージャーに言われ、向かった先は・・・?
「皆さん、着替え終わりましたか? それでは仕事の振り分けをします」
「ちょっと待って、いっちゃん。この服装は何なの!?」
オレはつい、その場で声を荒げて叫ぶしかなかった。
霞亭とかいうレストランに連れてこられたオレ達は、有無を言う前に更衣場所に連れていかれた。
意味不明に渡されたのは、青い着物のような浴衣のようなまるで旅館の女将さんが着ているやつだった。
「何なのと聞かれてましても、ここの制服みたいなものです。大丈夫です、似合ってますよ」
「いやいやいや、そういう問題じゃないし!」
「でも年齢的に問題ありまくりですね。コスプレに見えないよう気を付けてください」
「オレ二十歳だよ!? コスプレに見える年じゃないよ!?」
いっちゃんに言われ、つい自分の格好をもう一度見る。
まあ確かに、年齢的には危ないかもしんないけどぉ~
まだ二十歳だし、全然余裕だよね! うん!
「まるで旅館みたいなんだな。こういう服着るの、成人式以来だわ」
同じ年でもある朔也がなんだか落ち着かない様子で、呆れたように口を開く。
その隣にはオレ達より年上なブッキーが、長い髪を一つに結んでいる。
もともと美しい長髪ときれいな顔に、見事に浴衣がマッチしている。
「ブッキー、めっちゃ様になってるね~」
「バーカ。お前らみたいな年増と一緒にすんじゃねぇよ」
「年増!? いやいや、ブッキーオレよし年上だよね!? 年増じゃないよ!」
ブッキーはふんと鼻で笑うだけで、オレには何も言わなかった。
うう……この無言が逆に響く……
「じゃあ帯しめるよ、いい?」
「う、うん」
横をちらりと見ると迅ちゃんが要の着物の着付けを手伝っていたようで、ちょうど終わったところだった。
二人の服装は、文句を言うところも見つからないくらい似合っていた。
「おお! 迅ちゃんと要、めっちゃ似合ってんじゃん! かわいいよ!」
「え? そ、そうかな?」
「うん! まるで七五三みたい!!」
「瑠夏。それどういう意味?」
あれ? オレほめたのに、なんで迅ちゃん睨んでるの?
迅ちゃんははあとため息をつくだけで、要は苦笑いを浮かべている。
全然悪気はないんだけどなあ、変なの。
「では上の者をよんできます。私は仕事がありますので」
ウエノモノ?
社長とか、偉い人のことかな。
さっきのセリフといい制服に着替えてないところを見ると、いっちゃんはバイトを手伝ってくれないらしい。
こういう服装は、女子とかが着たらいっそう素敵に見えるんだろうな。
もったいないったらありゃしない。
「……お待たせ……しました……」
「あ、こんにち……ん? あれ、君……っ!」
「……あ……どうも……」
いっちゃんのかわりにやってきたのは、オレ達と同じ制服を羽織った見慣れた人物だった。
ぼそぼそとしゃべる口調的に、わかった人もいるだろう。
煌のボーカルでもあった、拓人さんだった。
同じ制服だというのに、雰囲気が一目見ただけで違う。
事態を読み込めていないオレ達に、ぺこりと会釈した。
「お久しぶりです……改めて……成海拓人といいます……」
「あ~、オレは朝倉瑠夏……じゃなくて、なんでここにいるの!?」
「それは……こっちのセリフです……新人としか聞いてなかったから……びっくりしました」
いやあ、びっくりしてるような顔には見えないんだけどなぁ。
彼はどうも苦手だ。
同じ男性なのにいまいち感覚がつかめない。
なんでこんなに違うんだろうなあ。
「ここ……オレの家……なんです……親の手伝いで……」
はへ~すごいなあ。
というかこんなにぼそぼそとしゃべって、よく店員が務まるな。
「役割分担……しておきました…………」
拓人さんが渡された紙を受け取り、オレはしぶしぶそれを読み上げた。
「えっと~……ブッキーが厨房で迅ちゃんは会計、んで朔也が料理運びで要が注文取りだってさ」
「その役割で……主にやってもらいますが……人手が足りないところとかに……入ってもらうこともありますので……」
「あり? オレは?」
「朝倉さんは……配達を……お願いします」
WHY!?
(つづく!)
最近、本格的に寒いですね。
今年は秋でも暖かかったり、極端に寒かったりと気温がめちゃくちゃで苦労ばっかりです。
みなさんも風邪をひかないように・・・あ、余計なお世話ですね。すみません。
次回、瑠夏が仕事します。