SHINING STAGE☆
煌のサマーライブ、開幕!
JOKERの初舞台が、今始まる!
男女混合ユニット、煌。
天王寺会社所属の人気ユニットで、若者や大人達から熱い人気を集めている。
デビューしたのは十年ちょい前。兄さんが現役だった頃に若手としてやっていたらしい。
色々なメディアに取り上げられた際に調べた、オレの情報。
もっとも調べたのは迅ちゃんで、それをメモっただけなんだけど。
調べた時は半信半疑で、本当にあんな三人が人気なのか信じられなかった。
でも。
ギターとベースの演奏が鳴り響いた時、鳥肌がたった。
弾いているのは、女性である優奏さんと舞楽さんなのに。
そのハンデを感じさせないくらいの激しく、正確な旋律の響き。
それに重なるように入る、拓人さんの美しい歌声。
すげぇ。この三人、本物だ。
「やっぱプロは違うよなぁ」
朔也が感心するような、あきれているような声を出す。
腕を組みながら見ていた彼の手に、わずかな力がこもったのが見えた。
「煌の歌はCDとかで聞いたりするけど、生で見るのは初めてだ」
平然とした顔で見ている迅ちゃんの目は一点に彼女らを見つめている。
それだけ、目が離せられないって証拠だろう。
ブッキーもステージを見つめているだけで、一言も発しない。
これが、プロの力ってもんなのか?
「ど、どうしよう……震えが止まらない……」
要がおびえるように震える手を必死に止めようと頑張っている。
彼の目線には彼女達と同時に、あの観客の多さも見えているのだろう。
オレと同じだ、怖さでおびえて。どうしようもなくて。
「要。客を見るの怖いなら、眼鏡とっちゃいなよ」
「え……? でもそしたらみんなと動きが……」
「なんのためにイメージカラー分けたと思ってるの? 視界がぼやけててもオレ達の居場所はわかるようにしてあるから」
そういって要のメガネをはずし、ほいと彼に渡す。
彼の瞳は相変わらずきれいで、かわいらしいものだった。
「みんなも聞いて! 確かに煌の人達はすごいよ! だからってここで立ち止まってちゃ、男じゃない! 最初は全然だったけど曲を作って、ダンスや歌の練習をして、ちゃんとしたチームになったってオレは思う! オレはこのステージでみんなと歌いたい! だから、やろう!」
手を前に出し、にっと歯を出し笑ってみせる。
それぞれ個性は、かなり違うと思う。
初対面の相手とグループなんて、できるわけないと思ってた。
でも、それはただ決めつけてただけなんだ。
「まったく、君にはいつも呆れるよ」
冷静ながらも的確に指示をしたりしてくれる、頼れる幼馴染・迅ちゃん。
「僕、頑張るよ。瑠夏君達と、一緒に」
人見知りから一歩成長しようと殻を破り始めた、かわいい後輩・要。
「やるときまったからには、うまくやりたいよな」
ずっと一緒に努力や挫折を繰り返した親友・朔也。
そして……
「ブッキー! 何してんの、早く手合わせてよ~」
「んなガキ臭いことやってられるかよ」
「はいはい。文句は後でいくらでも聞くから、早く早く~」
「……馬鹿が……」
口も悪く性格も悪いけど、本当は優しいブッキー。
さらにリーダーである、オレが加わって……
「よっしゃあ! いくぜ、JOKER初公演! 開幕だぁぁぁぁぁ!」
これが、JOKERの今の形。
それをここで、見せつけてやるんだ!
新たな新星、ここにありって!
全 ようこそ NEWSTAGEへ ここが始まりさ
光に照らされる未来へ さあ進もう レッツゴー!
瑠 当たり前の日常が当然バラ色に変わる
まるでドラマの主人公のよう こんなの信じられる?
朔 新しい場所 新しい人 何もかもが変わってく
不安だらけだけど それでも前へ進むよ ゴールに向かって
伊 暗闇の中 一人閉じこもる
要 怖くて震えていた そんな君を
迅 明るい未来への光のステージへご招待
全 さあ扉あけて 飛び込もうじゃん HIGH JUMP!
HEY HEY! 進もう 一歩でも先に
これから始まるのは 楽しいことばっかだよね
光の中進む道は 新たな希望への第一歩
行こうぜ 最後まで かけぬけるんだ 熱いSOULで
迅 J……じっとなんか してられねぇ
伊 O……おとなしいふりしてんじゃねぇよ
要 K……かっこよく きれいに決めろ
朔 E……栄光への光 つかみとるため
瑠 R……RUN! RUN! その先の希望へ
全 JOKER!
SHINING STAGE☆ 作詞・朝倉瑠夏
作曲・JOKER
天王寺会社から誕生した、新たな新人。
それがオレ達、JOKERだ。
煌の公演中、臨時発表という形で紹介されみんなで作った歌を披露した。
キラキラ輝くそのステージは、快感だった。
リハーサルからやってて疲れてるっていうのに、自然と笑顔になってる自分がいる。
それぞれソロパートや見せ場のダンスも終わり、キメポーズをしたとき拍手が沸いた。
その場に居合わせた記者達が、パシャパシャとオレ達を撮る。
隣で四人の息切れが聞こえる。
やり遂げた爽快感が半端なくて、オレはつい口を開いていた。
「やっぱりいいよ、アイドルは!」
「何全部終わったみたいな顔してんだよ。瑠夏」
「いっとくけど、まだ始まりに過ぎないんだよ。ちゃんとしてよね」
「人気が上がるも落ちるも、すべては自分達次第……ってことだ」
「でも僕、すっごく楽しかった。またやりたいな」
「当たり前じゃん! もっと、もっと色々な場所で歌って踊りたい!」
オレの……朝倉瑠夏の挑戦が、今始まる!!
(続く!)
話中にある曲の瑠、とかは歌い分けです。
作詞自体が初めてだったので、すごく大変でした。
さすがに作曲まではできないので、もしやってもいいよという方がいればぜひ・・・なんて
次回から第三部です。
いよいよアイドル活動本格開始になるか?