天使先生と零時先生
天使先生は休み時間になると決まってある人の元へ行きます。
ある人とは化学教師の零時 慧先生の事。ちなみに零時先生は普通の人間。僕は今日も零時先生の元へ行く天使先生の後ろをつける。が、
「はーい今日もバレバレー分かりやすすぎるよ沖くん」
「うっ……」
「もしかして血、飲ませてくれるの?」
「はあ?! 何言ってんですか」
「えー君の血美味しいから飲みたいんだけど」
「零時先生ので十分じゃないんですか」
「慧のは慣れただけで好きな訳じゃないよ」
「……だったら休み時間になるたびに来るな」
「あ、ははははいつの間に……」
零時先生は天使先生にいつも血を分けている。何で血を分けようと思ったのか理解できないけれど。
零時先生と天使先生は真逆だ。
零時先生は気が短くて、仕事が出来る人。天使先生はマイペースで面倒くさがり屋。二人は幼馴染で、天使先生は仲がいいと自慢げに言っていたが零時先生はそう思っていないらしい。それでも、こうやって同じ学校で働いて、毎日会っているのだから仲がいいと言うのも嘘じゃないだろう。
僕にはそんな人はいないし、そもそも友達が居ない。だからなのか、天使先生は僕にすぐ構う。少し面倒くさいけれどたまに思わぬ弱点とかが分かる時があるので、大体放っておいている。それに、零時先生が助け舟を出してくれるときがあるから困った事は余りない。
性格の全く違う二人の先生。それだけでなく、天使先生は吸血鬼、零時先生は人間である。それでも、二人の間には僕には分からない絆があるみたいで、いつもそれが不思議でしょうがない。