第1話 異世界来たら捕まっている件について
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。この小説を読んで頂いてる皆様にいい一年でありますように。
なんだろう・・・・とてもいい匂いがする。それに包み込むような優しい暖かさを
感じる。ものすごく安心する・・・特にこの程よい大きさのやわらかいもの・・・
いつまでも触っていたい・・・揉んでもこの手のひらに吸い付くっていうか・・・
というか、俺、物触れったっけ?それにどうなったんだっけ?
「ひゃん・・・」
ん~・・・?なんの声だろう?この綺麗な声音は?
「あ・・あの、精霊さん・・・」
揺さぶられ、俺の意識は覚醒されていく。目を開いてみるが、周りは真っ暗のままである。体を動かしてみようと試みるが、体は何かにがっちりホールドされているのか
動かないままである。
「ひゃああああ・・・精霊さん動かないで下さい~」
声は俺の真上から聞こえてきて、慌てて俺は上を見上げた。
そこには、耳まで真っ赤にした俺の天使が涙目で、俺を見ていた。
どうやら、俺はマイエンジェルの胸に抱きしめられていたようだ。
「ごごごご・・・ごめんなさい。わざとじゃないんです」
俺は即座に、土下座をし額を地面に擦りつけ謝り倒した。だって、未成年なんちゃら条例とかで捕まりたくないじゃん。まずは誠心誠意、DOGEZAですよ。皆さん。
「いいえ。気にしてませんから、大丈夫ですよ。精霊さんが無事で良かったです」
落ち着きを取り戻したのか、マイエンジェルが世の男共が一発で見惚れる笑顔で
俺に答えてくれた。
「君の笑顔は、100万$・・・」
「はい・・・?そういえば自己紹介がまだでしたね。私は・・・」
彼女の名前は、柊 鈴音と言うそうだ。花の17歳。学校では剣道部に所属し
習い事で華道と合気道をしているそうだ。うん、流石マイエンジェル。部活の他に
習い事もなんてすげぇな。
俺もちゃんと名乗らないといけないよなと思いながら、自分のことを思い出そう
とするが、あることに気がついた。
「あ・・・れ・・・?名前が、俺の名前が出てこない。それに俺はいくつだっけ?
昨日?それより前か?事故にあって・・・それから・・・」
何故か、俺を構成するであろう記憶とここ最近の記憶が頭にひどいモヤがかかった
ように思い出せない。それ以外の記憶、例えば仕事は配管工とか、好きなものとかは思い出せるのだが・・・・
「もしかしたら、何かのショックで記憶が混濁してて思い出せないのかもしれませんね。思い出すまでは何かお名前がないとお呼びするのに不便ですね」
「それもそうだね。鈴音・・・さん、何かいい名前つけてよ?俺は鈴音さんのこと
鈴音さんって呼ぶからさ」
「はい。わかりました。ん~ん~」
可愛らしく首を傾げながら、鈴音さんは考えだした。そういえばいつの間に着替えたのであろうか鈴音さんは学校の制服を身につけていた。会った時は、剣道着
(上だけ)だったのに・・・
「・・・ん~と・・・コンさん・・・・」
「ん?」
「魂みたいな姿で狐みたいな耳があるから、コンと魂を掛けて魂さん」
「俺、そんな姿に見えるんだ?服は着てるみたいなんだけど、半透明だけどね。
んじゃ、俺はこれから魂って名乗るね。これからよろしくね、鈴音さん」
「はい。よろしくお願いします。魂さん」
その時、頭の中に声が響いてきた。
『告 ソウルネームが魂に決まりました。一度決めたら変更できませんがよろしいですか』
なんだかわからないが、マイエンジェルが決めた名前だからYesと・・・
『告 ソウルネットワーク Lv1 の効果により、スキル ソウルスティール Lv1
を取得しました。スキル ソウルウォール Lv1 を取得しました。スキル 解析Lv1 を取得しました。』
名前が決まった途端、スキル3つ覚えたぞ・・・そういえばこれって鈴音さんにも聞こえるのかな?
「鈴音さん。今の声聞こえた?」
「わわ!?頭の中になんか声が聞こえてきました。なんか、魂さんのことを守護霊って呼んでいますが・・・?」
んん?守護霊とな?そういえば、スキル ソウルネットワークってのが構築されたって言ってたから・・・鈴音さんが主人で俺が配下ってことか・・・。グヘヘヘヘ・・・鈴音嬢王様ってことか・・・
「魂さん・・・?」
おおっと、妄想で逝きかけた・・・
「どうやら、鈴音さんが主で、俺が部下って関係ができたってことみたい」
「魂さんは、部下じゃなくてお友達です!お友達ですよね?」
友達と堂々と言われると、泣きたくなるが彼女の縋るような表情を見ると
「ああ、そうだ。俺達は友達だ。俺は守護霊だから
俺が鈴音さんを守るから」
「良かった・・・魂さん、頼りにしてますね」
鈴音さんの100%の笑顔頂きました。これで勝つる!!!
「まずは状況把握からだな・・・・鈴音さん、首のネックレスどうしたの?」
確か、初めて会った時にはそんなもの付けてなかったはずだ・・・しかも禍々しい
黒い気流を放っている。
「私も気づいたときには付けていたのですよ。どなたか助けて頂いた方が付けてくれたのでしょうか?」
鈴音さんは、黒い気流が見えないのだろうか・・・広さ6畳くらいの
部屋の床の中央に、黒い宝石があって、鈴音さんのネックレスと気流
が継っている。白い気流が少しずつだが、黒い宝石に向かって吸い込まれていく。
俺は頭の中で、helpさんを呼び出し、聞いてみた。
「気流は吸われ続けるとどうなるんだ?」
『告 生命体が吸われ続けると、衰弱し、死に至ります。霊が吸われ続けると、
消滅に至ります』
これって、時間制限ありの監禁じゃないの?