第2話 彼女の美貌に魂鷲掴み(物理的に)
目玉から遭遇後俺は逃げる様に、その場を後にした。
目玉を見た瞬間、その姿にも恐怖したが、何よりも目玉から発せられる気流のような
ものに気圧され身動きひとつ取れなかったからだ。
正直また目玉にあったら、チビる自信あるね。チビったらどうしよう・・・今の俺は
パンツ履き替えできるのかな?半透明だしな~まず、目玉が出すような、黒い気流
見たらトンズラだな・・・なんて脳内会議をしていると突然、頭の中に声が響いて
きた。
『スキル 気流感知 Lv1を習得しました。スキル叡智の書を取得しました。スキル ????????? を取得しました』
「ウオッ?なんだ?今の声は・・・」と驚いていると更に
『告 スキル 気流感知 Lv1を使用し視覚化しますか?』
と告げてきた。なんだかゲームのシステムメッセージだなと思いながら
「なんだかよくわからないが、とりあえずYesと・・・」
すると突然目の前の景色が、ちらつき始め次第に視界が白で覆われていく・・・
30秒くらいたっただろうか・・・目を開けてみると周りの木々や石にモヤモヤとした湯気みたいのものが纏わりついている。
歩いている人を見たら、薄い青や薄い赤、灰色のモヤモヤの人もいれば、黄色、
ピンクといった色のモヤモヤを出している人もいた。
「人だと、色んな色出している人がいるな・・・・どういう意味だ?」
そう頭の中で考えていると、先ほどの声が頭の中に響いてきた。
『告 意思あるもののみ、気流に色が付きます。その色は属性、強い
感情を感知し色として放出されます。』
「ふむふむ・・・なるほど。というか便利な機能だな~ますますゲームみたいな
機能だな・・・それになんかhelpも使えるし」
さらにhelpに確認すると、感情は、喜《黄》怒《赤》哀《青》楽《橙》
となるそうだ。ちなみ黒に関してだが、魔に連なるか邪なる者が発するものだそうだ。
しばらく歩いていくと、ある建物から白いモヤモヤが出ていることに気づいた。
白・・・・初めて見る色だ・・・教えてhelpさん!
『告 白色は神に連なるもしくは、聖なる者の放出する気流です。』
おおお?なんか良さげな感じじゃないですか?すごく気になりますね~いきなりは
襲われないでしょ?ってことでその建物を目指し歩いていく。
「こ・・・・これは・・・」
私立 聖上院女子高等学校。
「女子高・・・それは桃源郷・・・それは秘密の花園・・・行かざるべきだろうか
否!!!行くべきである変態紳士として!!!!」
俺は鼻息荒く校門をくぐっていった。
様々なハニートラップを掻い潜り、彷徨うこと二時間(欲望とモラルの狭間で揺れていました)たどり着いたのは武道館の更衣室。
扉越しに白い気流を感じる。形からして一人のようだ。
扉前でモジモジしても仕方がない・・・ここに来るときも生徒や先生に見つかっているが、どうやら生徒や先生は俺を知覚できないらしい。ならば!!!覚悟を決めろ!!!!俺!!!いざ桃源郷へ!!!!
「失礼しま~~~す」
扉をゆっくりと開けて入る。
「はーい?」
何故か、返事が返ってきた。
「えええええええ?」
俺は盛大に叫び声を上げてしまった。だって死んだと思われる事故から誰一人
俺を見、俺の声を聞いてくれた人はいなかったからだ。
「ワァっ、びっくりしました。驚かさないで下さい」
尚も彼女は俺に話しかけてくる。
「悪い・・・というか、俺の声も聞こえるし、俺が見えるのか」
「はい。声は聞こえますよ。お姿は私には白い玉の様にしか見えませんが」
と、彼女の答えに耳を傾けながら、改めて彼女の方に顔を向けた。
そこには天使がいた。30代後半であろう俺の考えうる最高の美少女。それがそこに立っていたのだ。
身長は160cmくらいだろうか、髪は後ろにまとめポニーテールにしているが、かなり長いのだろう、馬の尻尾はお尻に届く勢いである。
優しげな目元、すっと通った鼻筋、桜色の唇。多分練習を上がったばかりなのだろう頬は紅潮して首筋には玉のような汗が流れていた。
しばらく見惚れていると
「あの・・・どのような御用でしょうか?精霊さん」
と声を掛けられた。
「ああ、すまない、少しぼーっとしてた。それより精霊さんとは?」
「はい、人の姿はされてませんし、私の感で恐縮ですが、悪い感じがしない・・・
むしろいい感じしかしないので精霊さんかと・・・」
う~む・・・この子は大丈夫なのだろうか?感で人の第一印象をいい人で決めて
しまうのはおじさん心配になってくるよ・・・美少女の将来が
「いい感じかどうかわからんし、俺は精霊でもないよ。それより聞きたいことが」
その時、美少女を中心に魔法陣が出現し、美少女を白い光が包み出す。
俺は慌てて彼女のほうに手を大きく差し出し、美少女の手を掴もうとしたが
俺は手を差し出すのと同時に足も大きく一歩踏み出していたのだろう・・・
美少女のほうからも手を差し出し俺の手と交差するように、俺の顔へと手が開かれた。
「はぁん!!!それってベアークローなの?ベアークローなの!!!」
俺は美少女にクロスカウンター気味のベアークローをくらいながら、魔法陣の白い
光に包まれていった。
『魂魄構築網 Lv1 が構築されました』
頭の中に響く声の意味もわからないまま俺は意識を手放した。
今年最後の投稿となります。話の進行がかな~り遅めですがご容赦を。
拙い文章にお付き合い頂きありがとうございました。
来年もよろしくお願い致します。