第5話 光の女神との対話
本日2話目の投稿です。よろしくお願い致します。
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獣人娘達は、体調も安定したようで今はそれぞれの親元に引き取られ休んでいる。
俺は村長に教えてもらった教会へと続く道を鈴音さんと歩いている。今は無人と化したエルフ族が住んでいた地区に教会があるそうだ。元々、エルフ族は精霊信仰、獣人族は神獣信仰であったが、この世界で800年前に起こった魔導戦争で、人族が信仰する光の女神が召喚した異界の勇者が、人族、エルフ、ドワーフ、獣人族をまとめ導き、勇者が魔族の王を倒し、光の女神が闇の女神を封印した。その功績もあり、エルフ族の国にも光の女神の教会が建てられたそうだ。
今、どう話を切り出そうか悩んでいる。この世界に関わると決めたことを、まだ鈴音さんに話していない。怒られるのだろうか?それとも飽きられられてしまうのだろうか?考えに思いを巡らせていると、
「コンさん・・・ありがとうございます。コンさんはいつも私を優先に考えて行動しようとしてくれています。言葉にされていませんけど、コンさんは、私を元の世界に
帰す方法を探してくれているのでしょう?それが、今回火竜を封印することになって
この世界に関わることになれば、私を元の世界に帰すのが遅くなってしまう・・・そんなことを考えているんじゃないですか?セシルさんや、セシリアちゃんと会って友達になれて、私は嬉しいんです。確かに早く、元の世界に帰りたいです。だけど友達の故郷の危機に、私は自分の都合を押し通すなんてできません。だから、コンさん、コンさんの力で救える人がいるなら、救ってあげて欲しいんです。そのついでで構わないので、一緒に帰る方法を探して下さいね。」
どう切り出そうか悩んでいたことを、一発で言い当てられフォローまでされてしまった。なんとも情けない気分になるが
「ありがとう。鈴音さん・・・必ず元の世界に無事に返すから。」
俺はなんとか、その決意だけを鈴音さんに伝えることができた。
「ところで、コンさん?どうして教会に向かっているのですか?何か用事が?」
鈴音さんが可愛く首を傾げながら、聞いてきたので思わず笑顔で
「これから、少しばかり、女神様と対話をしにね。」と答えた。
無人の礼拝堂の扉を押し開く。礼拝堂といえば休日や日曜礼拝で午前中とかは賑やかなイメージがあるのだが、この礼拝堂には静寂だけが漂っていた。
女神像のところまで二人で歩いて進む。途中、鈴音さんとの結婚式で教会というのも有りだなって思ったのは内緒だ。
女神像の前まで進むと、俺は力を開放し少女の姿になる・・・大天使になったときに幼女verと少女verに自由に変えられるようになっていた。幼女verは燃費がよくて過ごしやすいから多様しちゃうんだけどね・・・別に、エルフ姉妹や鈴音さんにすごくウケがいいからじゃないんだからね!
『もういいかしら?幼女verも少女verもどちらでもいいけど、私は少女verね!』
女神像が光だし、女神様が降臨されてらっしゃった・・・頼むから頭の中読まないで下さい・・・。
『初めまして・・・私はあなた達を見ていたから知ってるけどこうして対話するのは初めてね。異界の天使さんと、召喚されし者。私は、光の女神 アウルローラ
気軽にローラちゃんって呼んでね。』
軽!女神様、軽いなー!俺は心の中で叫んでいた。厳かな雰囲気で臨もうとした俺の緊張感を返せ!
俺はこめかみを若干ピクピクさせながら、女神アウルローラとの対話に望む。
「女神アウルローラ様、きき・・・」
『ローラちゃん』
「アウルローラ様・・・」
『ローラちゃん』
「アウ・・・」
『ローラちゃんだってば』
俺は根負けした・・・
「ローラちゃん、聞きたいことがある。まず・・・俺達を召喚したのはエルスチュアリの巫女ってことで間違いないかな?それと、俺達を召喚した理由は?」
女神像から相変わらず軽い感じの声が頭に響いてくる。
『その認識で間違いはないわ。私が大分力を貸したけどね。召喚したのは、本当はそこの女の子だけなのよね・・・光の聖女として、エルスチュアリでしっかりと訓練して闇の軍勢との戦に備えてもらおうとしてね。今はコンちゃんって名乗ってるのよね?コンちゃんは、その女の子と魂の結びつきが強すぎてお互いの魂が求め合い、一緒に召喚された訳。ok?』
魂が求め合うってなんかすごいなそれ・・・
「オッケーだ。理解できたよ・・・元の世界に帰る方法ある?」
『ある・・・のはその女の子だけね。コンちゃんに普通の異界送還術が適用できるかわからないのよ・・・コンちゃん、あなたはイレギュラーだわ。魂のまま召喚されてきて、この短時間に大天使まで進化するその異様な成長速度。そして、この世界の大天使と比べ物にならない程の力の存在。私、コンちゃんのこと、異界の天使って呼んだよね?多分、コンちゃんは知らない間に自分のいた世界と力のパスができていて力を異界からもらってるみたいなのよね・・・だから進化も異界の法則でしてるのかも。ちなみに送還術は私のこの世界の影響力が強まっていけばできるようになるわよ。』
元の世界と、俺にパスが継っている?いつできたんだそれは?
「影響力というのはどう強める?」
『闇の女神・・・姉さんのことだけど今、姉さんの影響は世界の3分の2程ね。その支配地域を開放していけば自然と影響力は強まるわよ。ということで、火竜も復活しちゃってるし、この国の天使が捕まってるみたいだから、まずはこの国を開放してくれないかな?それとできればこの国の天使を救ってあげて欲しいの。報酬は前払いで、女の子の能力UPと、コンちゃんにはこれを上げる』
女神像から、ひと振りの剣がゆっくりと俺に向かい降りてくる。
『光雷神剣クルセイド・・・私の力と、旦那・・・雷の神の力を合わせて鍛え上げた神話級の剣よ。ぜ~ったいに役に立つから』
『それと・・・鈴音ちゃんだっけ?あなたには私の加護とこれをあげる。』
ローラちゃんがそう言うと、鈴音さんが光に包まれ、次第に光がやむと、今まで女子高の制服姿だった鈴音さんが、純白のローブに細かい銀糸の刺繍がある可愛いローブに身を包んでいた。髪には俺の羽とローラちゃんが作ったであろう宝石が散りばめられた髪留めが光っていた。
「可愛すぎる・・・」
俺は心の声がダダ漏れだったらしく、鈴音さんは顔を真っ赤にして俯いていた。
『魔界の方でも何か起こっているみたい。正直言えば、コンちゃん、あなたの対存在が召喚されたみたいなの・・・対存在が関わってくることになると戦闘は激しくなることは予想できるわ。気をつけてということしかできないけど、気をつけてね
』
「最後、俺のスキルの中にメタトロンって人?の愛が込められたスキルがあるんだけどこれなに?」
俺的に、気になって眠れない(寝なくても大丈夫だけど)スキル一位の炎の祝福について聞いてみた。
『あー・・・うん・・・スキルを与えた子は仕事は優秀だから安心して・・・ね?
性格もおかしいし、愛は最高に重いけど、この子が味方になったならかな~り頼りになるから。色んな意味で頑張って・・・・愛に潰されないようにね・・・』
おいおい!、ここに来て一番不安になること言うなよ!なんとかしてくれ!
『ムリ!私、まだ呪われたくないもん・・・また、私に用があるときは、教会を通して話してね~バイバーイ。』
不吉な言葉を残し、光の女神ことローラちゃんは、逃げて行った・・・