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第3話 火竜復活

気が付けば1000PV突破していました。これも皆様のおかげです。ありがとうございます。

明け方、人外三人は速やかに宿屋2階に帰還し、ディーネとシルフィーナは一度送還した。俺は窓際に椅子を持ってきて、外を眺めていた。魂だけの存在になった頃から

睡眠は必要のない身体になり、考えに回せる時間が増えた。王冠(ケテル)のスフィラを獲得してから試してみたいスキルがあったのを思い出した。思念遊離というスキルである。わかりやすく言えば、思念体だけ飛ばして、見聞きできるという情報収集には持って来いなスキルである。ただ、思念体が攻撃を受ければ肉体にもダメージを受けるし、肉体から離れすぎると、今度は戻れなくなる。戻れなくなれば、世界の気流(オーラ)と一つになって輪廻の輪に加わる。

(山の方というのが怪しいと思うから、思念遊離使ってみるが、叡智の書(マーリン)フォローよろしく。危ないと思ったら、強制的に戻してくれ。)

『 告 了解しました。くれぐれもお気をつけて。』

俺は目を閉じて、意識を身体の外に向ける。もっとだ・・・もっと外へ・・・より深く、より遠く意識を集中しろ。次第に俺の意識は村を越え、森を抜け、山脈の麓に到達した。辺りを見渡すと、小さな洞窟があった。自然にできた洞窟なのだろうが、人の入った形跡がある。奥はかなり深いようだ。人の気配がするので上空に避難してみると、黒い装束に身を包んだ者が三人。それに首輪に繋がれた獣人が五人。獣人達はそれぞれ荷物を持っているが異様なのは、白い猫耳と尻尾の少女が

背負う樽から瘴気が漂っている。その瘴気は樽から漏れ出し白い猫耳少女を穢していく。少女は今にも倒れこみそうなくらいに足取りが覚束無い。

しばらく、黒装束の集団の後について洞窟に入る。気取られない距離を保ちつつ

しばらく歩くと大きな扉があった。扉には紋章がついている。

(この紋章どっかでみたことあるんだよな・・・?どこだろうか?最近だと思うんだけど・・・)黒装束がペンダントを取り出し、呪文を唱える。扉が赤く光だし

扉が開きだした。

更に歩く。どれくらい歩いただろうか?どんどん下って歩いていくうちに、洞窟内の温度も上昇していく。近くに溶岩が流れているのだろうか?

大きく開けた場所に出ると、そこにはとてつもなく大きな赤い竜がいた。

体長は30mは優に有り、全身を大きく硬い鱗で覆われている。背中には三対の大きな蝙蝠のような羽があり、所々が傷つき敗れている。よく見ると身体のあちこちに白い杭が打ち込まれており、白い杭から鎖が伸び、溶岩の中に繋がれている。

(これは・・・封印だよな?白い杭と鎖から聖属性の力を感じる・・・この竜はなんだ?)

『 告 エルリカの森に沿って西側にある山脈はヴェルス山脈といい今、主がいるところがヴェルス山脈です。ヴェルス山脈は太古の昔、闇の女神により造り出された炎獄竜ヴァリアントが、時の英雄と天の遣いにより封印された土地です。主が見ている竜がヴァルアントで間違いないでしょう。』

うあぁ・・・伝説級のモンスター登場しちゃったよ。こんなの出てきた日にゃ、即

トンズラだよね。

そうこう考えているうちに、白猫少女が樽を竜の前に置き中身をぶちまけた。

立ち上る瘴気、血なまぐさい匂い・・・内蔵らしきものもぶちまけられた勢いで

地面に転がっている。その中に一際異彩を放つものが転がっていた。

黒装束の者が四本のものを拾い、竜に向けて掲げる。四本のもの・・・それは人間の・・・いや、俺と同じ(天使の)手足だった。

竜が薄く目を開け、黒装束を見やると、黒装束事、手足を喰らった。

『ダメ!リュウノフウイントカナイデ!ヒカリノメガミサマトノヤクソクダカラ』

突然、火の精霊が集まり出し騒ぎ始めた。残りの黒装束の者達は火の精霊が現れたことも、その後に起こる事の余興だと言わんばかりに大声で笑い始める。

「ははははは!!!!天の遣いの封印も、天の遣い自らの手足によって破壊されたわ!しかもたっぷりと絶望させた天の遣いの手足・・・旨かろうヴァリアント。闇の女神に作られし時の命令を実行せよ!!!」

黒装束の者が黒い宝玉を懐から取り出し、竜に向って投げつけ呪文を唱える。

白い鎖が音を立てて断ち切れていく。竜が呪文に呼応するかのように、ブレスを吐き散らす。吐き散らされたブレスの余波で、別の黒装束の者のフードが取れて顔が

顕になった。

(今だ!フェザービット!)

俺はすかさず一枚だけフェザービットを飛ばし顔が顕になった者の服に取り付ける。

そろそろヤバいかもしれない。ヴァリアントが破壊の限りを尽くし、残る封印・・・大結界を破壊しようとしている。

『ソコニイルノテンシ?タスケテタスケテ、ヴァリアントソトデタラセカイハカイシツクス。テンシトメテトメテ』

火の精霊が、泣きながら俺に頼んで来るのだが、思念体だから火竜倒せる力ないし

白猫少女と他の人達を避難させなくちゃいかん。

(火の精霊共、お前達結界強化しつつ時間稼げ。おい、そこの幼女な火の精霊。

俺に力貸してくれ。白猫少女と他の人も一緒に避難させるぞ)

幼女な火の精霊から魔力を貰い、思念体を強化し、白猫少女とその他四人を回収する。

(幼女火精霊!俺の頭の中の場所が読めるな!そこまで飛ぶぞ!)

『ワカッタ!トブガンバル!』

俺は溶岩が吹き出す大広間を最速で飛行した。羽の場所を感知すると既に黒装束の者達は脱出したみたいだ。羽をつけた方はエルディア方向か・・・俺は急ぎ、イエリスの村に向かった。


一方、イエリスの村の宿屋では・・・・

激しい揺れを感じ、(すずね)は飛び起きた。隣のベッドを見るとセシルさんとセシリアちゃんも激しい揺れで飛び起きたようだ。

『 告 使徒鈴音。主の身体を安全な場所に運びなさい。使徒セシル、使徒セシリア。村人を至急主の元に集めなさい。使徒ディーネ、使徒シルフィーナは風の結界と井戸の水の浄化の強化をお願いします』

使徒のみんなが大きく返事をし、行動に移す。私はコンさんの身体を抱き上げ宿屋を出て獣人族の集会場へと向かう。

今は眠ったままのコンさんの身体を抱きしめ、「早く帰ってきて、コンさん・・・」と(すずね)は何度も祈った。



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