第2話 獣化(ゾアントロピー)
前日の出来事で新聞では大きな見出しに“未確認生物学校を襲う!生徒・教師数名ケガ”や“UMA現る!?”や“消えた未確認生物”などの文字が踊っていた。
その新聞を目を皿の様にし険しい顔をして読むゆいの父親の君彦さんだった。
学校では生徒、教師がケガをしそしてこれ以上の混乱を避ける為にしばらく臨時休校にそして生徒は自宅待機する事になったのだ。
身体の変化には、気がつかない俺だったが、あのバケモノが消えた事等が気になって寝れない…。
その時だった。
『隆…』
部屋をつなぐ廊下からか細い声が聞こえた。
慌てて部屋のドアを開けると…ゆいが立っていた。
『どうしたんだよ、ゆい…』
無言でゆいが部屋に入って来た。いつもとは雰囲気が違うのは分かっていた。
『隆…。隆はいつまでも隆でいてほしいの…だから、ずっとそばにいて…』
半ベソをかきながらか細い声で言うゆいに俺は頭をポンポン叩きながらゆいに言い聞かせる。
『…分かっている。…分かっているよ、ゆい。ずっと…ずっと…ゆいのそばにいる、大丈夫だ。うん、大丈夫。だから、泣くなよ…』
まるで自分にも言い聞かせている様だった。
『…ありがとう、隆…』
再び笑顔に戻るゆい。
この笑顔を守らなければならない…と思った。
その時、階段下からけたたましいガラスの割れる音が響いた!
『うっ!!あぁぁぁぁぁ』
身体中に痛みが痛みが押し寄せてくる!
『隆!どうしたの!隆!』
ゆいの問いかけも答えられない。
なんだ、この痛みは。
亀裂に頭にあらゆる所に痛みが走る。