9
『…はっ!ゆい!ゆい!大丈夫か!』
そばに倒れていたゆいが俺の声に気がつきゆいは眼をあげた。
ちぎれた体操着があちこちにあったりしたが、特に気にもかけずゆいはこう言った…。
『隆…。一体、何があったの?…あのバケモノは…』ゆいは、か細い声を出す。
俺は首を横に振りながら言う。
『バケモノがどこに行ったのか…俺にも分からない。だけど…何だか返り血があるんだ…俺は…一体何をしたんだか分からない…。』
ゆいは、黙って俺を見つめていた。
『…だけど…ゆい…!お前をどんな事があっても俺は絶対守るからな…!』
ゆいは小さくうなずいた。
何があっても…絶対ゆいは俺が守る…守ってやる。
そう誓った。
例え命にかえても…。
この騒動で学校は、臨時休校になった。
幸い関先生も久留米も打撲や小さな傷はあったが、軽傷だった。
そして、ただ事ではないと連日ニュースで報道され学校は、てんやわんやになってしまった…。
そんな中、俺は自分の変化…つまり獣化にはまったく気がつかなかった。
これから…俺はどうなるのか…それは…分からない。
帰宅後、血相を変えて君彦さんがやって来たのは、言うまでもなく…君彦さんは、傷を追った俺とゆいの手当てをしてくれたのである…。
校庭から去った女が小型のコンピューターで何やら連絡をしている。
『…何?失敗しただと?…李よ。ひさびさに培養に成功し傑作だったαを…』
モニターごしにうつる謎の人物、奴こそ三岡である。
果たして三岡の目的とは…。
そして、隆の獣化する謎とは!?
第2話に続く…!