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目の前に現れたバケモノを久留米は、得意の柔道で何とかしようとしたが、まったく歯が立たなかった。
その内、バケモノの放った衝撃波でいち早く逃げたクラスメートのそばに吹っ飛ばされて気を失ってしまった。
その場にいるのは、俺とゆいと関先生のみだった。
『くそっ!何なんだ、このバケモノは…』関先生は動けない。
バケモノは、まるで目の前に獲物がいるから、いつ襲おうか考えている。
『グッグッグ…!クッテヤル、、ニンゲンハビミダカラナ、オイシククッテヤル!』
その声で関先生は、意を決してそばにあった高跳びの棒でバケモノに立ち向かったが、やはり衝撃波で吹き飛ばされてしまった。
残るは、俺とゆいだけだった。
俺は、まだ痛みがとれず頭を抱えたままだった。
ますます高鳴る心臓。
『ゲッゲッゲ。トテモウマソウナニンゲンダナ。クッテヤル、イマスグクッテヤル』
ニヤニヤとバケモノは笑いながら舌なめずりをしていた。
『いやぁぁぁ〜!』
ゆいが悲鳴を上げた。
『グッ…グッ…グガァ…』
俺の口から言葉とは思えない声が出て来た。
はっ!はっ!はぁ!はっ!
あああ…グギギギ!
身体中に痛みが走り次の瞬間、俺は吠えた。
叫んだのではなく吠えたのだ。
『グググァァァァァァーーー!!』
その声と共に、ついに俺の痛みは頂点に達したのである!!
…そして。