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その時だった…。
俺の中に眠る血が腕の亀裂から疼きだした。
まるで頭を鈍器で殴られた様な痛みが襲い腕が痛くなって来た。
『うっ!あ…頭が…頭が…割れる様に痛い…。腕が痛い…』正確には、額が割れる様に痛く…亀裂の入っている腕には、激痛がはしる!心臓が高鳴った。
ドクンッ!ドクンッ!
間もおかず高鳴る心臓。
ドクッ!ドクッ!ドドド…。
何故、額と亀裂の入った腕…そして心臓なのかその時は分からなかった。
俺は、その場に倒れ込み立てない。
その瞬間を見ていたゆいと久留米が慌ててそばにやって来た。
『隆!』ゆいの鳴きそうな声。
『牙原!』久留米の野太い声がした。
『グギャシャーッ』
それと同時に地から産まれたバケモノが産声を上げた。
『まあ可愛い。…あんたの名前はα(アルファ)でいいわ。さあ、α!あそこにいる若い男女を襲いなさい』
その女は、俺たちのいる校庭を指を指した。
『グッグッグ…!』とても早い走りでバケモノはやって来る。
すかさず関先生はこう言った。
『みんな逃げろ、逃げるんだ!さあ、立て牙原!牙原!』
先生の声は聞こえるものの身体の痛みで動けない。
バケモノは、あっという間に俺とゆいと関先生と久留米のいるところへやってきた。