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君彦おじさんは、古い大学ノートを捲りながらつぶやいた。
『…止められないのか。私には…彼を…。隆君を…。唯一、残されたあの方法では…』とつぶやいていた…。
何とか全力疾走で俺とゆいは、学校に間に合った。
一限目は…体育だった。
俺は、勉強には興味がないが体育や身体を動かす事は好きだった。
爽快感を感じていた。
着替えていると…後ろから声がして来た。
『相変わらず痩せてるな…!牙原。』
着替える度に同じ事を言うのは、久留米拳だ。
久留米は、柔道部でありクラス一ガタイが良い奴だ。
『ああ。いつも同じ事を言うが…飯ならしっかり喰っているよ』
久留米は、いつも同じ事を言うから、軽く受け流していた。
だが…珍しい事を久留米が言って来た。
『牙原?…この傷大きくなっていないか…?それに痛くないのか?』
この傷とは、腕に入った膨張した亀裂だった。
…珍しい事を聞いて来たな、久留米の奴。
『特に痛くないし…何ともないから…大丈夫だって…!』
久留米は、ジッと傷を見つつも不思議そうな顔をしていた。
『…そっか。ふ〜ん…』
何か言いたそうだったが、グラウンドに出る。
まさか…このグラウンドで俺の血疼くとは思いもよらなかった。