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1 片想い歴は多数

 


 あれは、数ヵ月前。高校三年生に進級した始業式の日のことだった。


 あいなは、片想いしていた同級生の男子に告白をしたのである。もちろん、「恋人同士になって下さい」の意味を示す告白だ。


 OKをもらえるという自信があった。なぜなら、その相手とは仲が良かったし、彼と同じクラスになれたことをお互いに喜び合ったというエピソードもあるからだ(片想いの男子と同じクラスになる。思春期まっただ中の女子高生にとって、これほど心(おど)る出来事はない!)。


 しかし、あいなの自信とは裏腹に、告白に対する彼の返答は良いものではなかった。


『期待させてたんならホントごめん。あいなのことは友達として好きだけど、女として見れない。それに俺、他校に彼女いるから……。ホントにごめんな』


 ――そっか、そうだよね、大丈夫大丈夫!全然気にしてないからっ。こっちこそ変なこと言ってごめ~ん!明日からまた友達同士ってことでよろしくー!――そんな返事をして彼の前から立ち去るのが精一杯だった。



「私って、いつもこうやってフラれるんだよねー、何でかなー……。『友達としか見れない』って、好きな人に言われるとけっこうグサッとくるー」


 失恋確定の翌日、くよくよモードを30%ほど引きずりつつあいなは学校に行き、昨日の告白のことを一ノ瀬(いちのせ)秋葉あきはに報告した。


 秋葉は、小・中・高と同じ学校の女子で、あいなの幼なじみでもある。長い付き合いなだけあって、秋葉とあいなは、互いにしょっちゅう自分の恋愛話をしていた。



 秋葉は、彼女の魅力のひとつとも言える大きな二重まぶたをこれでもかという程見開き、年齢以上に見える色っぽい唇をこう動かした。


「そっかー、それはつらいよね。男の方も、もうちょっと気ィ遣えって感じだよね」


 あいなに同情する。


「やっぱり、あいなも恋愛マニュアルとかそういうの多少は読んどいた方がいいよ。いざって時、役に立つからさ」


「うーん。本屋とかによくある、『男ウケ抜群!ハズレなしのファッション』とか『モテる女のしぐさ20選!』みたいな雑誌?私、そういうの、読むのも実践じっせんするのも苦手なんだよなー」


 秋葉のアドバイスをありがたく思いつつも、あいなは素直にそれを実行できなかった。



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