表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/104


「ふふふ」


 笑みをこぼしつつ、こんな状況の中で笑える自分。あいなは少しホッとしていた。


(ここへ来た時は『お先真っ暗』だと思ったけど、ルイスさんはいい人っぽいし、安心していいかもしれない。それに……。)


 ルイスは言っていた。近々、この城に龍河りゅうがと秋葉がやってくると。

 どういう意味なのか全く分からないし、ルイスもシャルにはこのことを話していないみたいなので、手放しで喜んでいいものか分からないが、それでも、あいなにとって、龍河や秋葉と会えるのはこの上なく楽しみなことだった。


(龍河は弟だけど私よりしっかりしてるから、きっと無事だよね。ルイスさんに私の荷物預けるくらいだし。)


 抱えた紙袋の重みに、あいなはジンと胸が熱くなる。龍河がルイスに渡したものだ。中には、あいな好みの恋愛系少女漫画やゲームが入っている。


(みんな、私の好きなものばかり。……大きくなって昔よりナマイキになったなーと思ってたけど、やっぱり龍河は優しい子だ……。)


 少し気になるのは、両親や学校のこと。そして、秋葉のことだ。みんな、自分がいなくなって心配しているに違いない。

 ルイスとの会話で、龍河の無事は分かった。しかし、秋葉のことは何一つ聞けていない。


(もしかして、秋葉や龍河も、私と同じように無理矢理この城に連れてこられるってこと!?ルイスさんは魔法使いだし、充分ありうる話だ。私にしたみたいに、秋葉や龍河にも眠りの魔法を使うつもりだったりして!!)


 あせる思いで、あいなは部屋の内線を使った。執事達に直につながる通信手段。見た目は、日本の家庭用電話機と似ていたので、さほど抵抗なく使うことができた。


『はい。あいな様。どうされましたか?』


 幸い、内線にはルイスが出た。


「あの!ちょっと確かめたいことがあるんですけどっ」

『ずいぶん慌てておられますね。私にお答えできることであればいいのですが……』

「ルイスさんにしかけないことです!

 さっき、ルイスさん言ってましたよね。秋葉と龍河がこの城に来るって。それって、ルイスさんがシャルに内緒であの二人を連れてくるってことですか?」

『いえ、私の力でお連れするのではございません。シャル様の指示以外で魔法を使えば、どのようなばつを受けるか分かりませんのでね』


 あいなの気持ちを察し、ルイスは穏やかに告げる。


『あいな様が悲しむようなことは極力避けたいと思っております。龍河様と秋葉様はご無事でいらっしゃいますよ。近い日に、あいな様はそれを知ることになりましょう』

「ルイスさん……」


 ルイスの優しさに安心感を覚える一方、あいなの疑問も同時に膨らむ。


「あなたはシャルの専属執事なんですよね?アイツの言うことは何でも聞くんですよね?なのにどうして、私にそこまでしてくれるんですか?

 秋葉達が来てくれるのは嬉しいけど、シャルに内緒ってことは、そのことをシャルが知ったらルイスさんは怒られるんじゃないですか?」


 ずっと、引っ掛かっていたこと。シャルの専属執事を名乗るわりに、ルイスはあいなの話をよく聞いて、親切に対応してくれる。あいなはそれを不思議に思っていた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ