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 秋葉と二人で出かけたり、ましてや秋葉の恋人になるなんて、分不相応ぶんふそうおうだと思った。


 そんな龍河りゅうがにとって、心臓が破裂はれつするような出来事が起きたのは、それから一時間ほど経ってからだった。


 秋葉との電話の余韻よいんうすれ、ようやく平常心でソーシャルゲームに集中できるようになった頃、インターホンが鳴ったのである。


「はーい」


(父さんや母さんにしては早いな、誰だ?)


 真顔で玄関を開けると、そこには、不安げな面持ちで立つ秋葉の姿があった。


「あっ、秋葉さん!?」


 龍河の声は、本人の意思に反し裏返ってしまう。恥ずかしげにうつむく彼の心情に気付くことなく、秋葉は早口でこう言った。


「さっきはありがと、龍河君。ごめんね、家にまで押しかけて……」


「……姉ちゃんと、まだ会えてないんですか?」


「うん、そうなの。ちょっと心配になってさ……。こんなこと、今までなかったし……」


「そうですよね……」


 突然、好きな人が訪ねてきた。秋葉は自分に会いにきたわけじゃない。そう知っていても、龍河の心臓は忙しくなる。


(冷静になれ、俺!だいたい、秋葉さんは今困ってるんだから、こんな緊張してる場合じゃないって!)


 二人きり。今までにないシチュエーションでの興奮は、どうしても隠すことができず、顔の火照ほてりとなって表れてしまう。


「……?龍河君、どうしたの?顔赤いけど、熱でもある?」


 秋葉の手のひらが、龍河の頬に触れた。


「っ!いやっ、別にそんなんじゃっ!!」


 挙動不審になってしまう。想定外の出来事に直面し、龍河は、うまいこと言葉を選べなかった。姉のことはいくらでも言い負かすことができるのに、やはり、天下の秋葉には敵わない。と思った。


「大丈夫ですっ、さっきまでアイスとか食べてましたしっ!」


 龍河の声は裏返ってしまい、さらに恥ずかしい気持ちが増した。

 それを見てクスッと笑うと、秋葉は龍河の顔をのぞきこみ、


「こんな風に二人きりで話したの、初めてだね。いつも、あいなが一緒だもんね」


「そうですね。にしても、姉ちゃん遅いですよね。何やってんだろ、ホントすいません、なんか」


「龍河君が謝ることないよ。あいなにも何か急用ができたのかもしれないし。ちょっとだけ、ここで待たせてもらっていいかな?」



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