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神霊の厩

 文化祭の開始時間となり、朔太郎と宝探しを開始した幸太郎はとりあえず校内をぶらぶら歩きながら次の暗号解読に取り掛かった。

「神霊の厩か・・・厩って馬小屋のことよね?」

 朔太郎がメモした暗号を見ながら呟く。しかし二葉亭学園には馬術部はない。よって馬小屋もなかった。

「そもそも神霊って馬に乗るのかしら。」

 神霊、神霊・・・霊、霊・・・幽霊?と幸太郎も考えを巡らして、はたと止まった。

 幽霊というと俺のことか?

「俺は乗らないぞ?」

 御曹司の嗜みとして色々と習わされたが、乗馬はやったことがなかった。

「いや、ユキちゃん先生じゃなくてね?というか、今日は口調も変わってるわね。」

「そうか?」

「いつも敬語じゃない。それに俺って・・・」

「あ、俺は間違いだ。私だ。それ以外は我慢してくれ。」

「我慢って・・・別にいいけどね。」

 何だか諦めたようにため息をつかれた。

 しかし今はとにかく暗号を解読しなければと、再びメモに集中する。

 馬小屋がないとすると、きっと馬に見立てた何かなのだろう。

(霊が乗る、馬に見立てたもの。)

 そこで、記憶の端に何かが引っかかった。そういえば祖母の家に一花と遊びに行った時に、そんなような話を聞いたことがあった気がしたのだ。そう、あれはたしか―――・・・

「ひらめいたー!」

 突然大声を上げた幸太郎に、朔太郎はびくりと肩を揺らす。

「え?何?何なの?」

「あれだよ!お盆にきゅうりとナスに割り箸刺して作るやつ!」

 幸太郎の言葉に、朔太郎も手をポンと打った。

「あぁ!故人の乗り物として馬と牛に見立てたアレ?」

 昔からの日本の風習で、迎え盆と送り盆に、故人の霊魂がこの世とあの世を行き来するための乗り物として「精霊馬」と呼ばれるものを作ることがある。きゅうりは馬に見立て早くあの世から戻ってこれるように、ナスは牛に見立ててあの世に帰るのが少しでも遅くなるように、あるいは供物をたくさん持って帰れるようにという願いが込められているのだ。

「お・・・私は乗らないけどな?」

「いや、もうそれはいいわよ。ということは、その野菜がいっぱいある所ってこと?食堂かしら。」

「いや、畑だ。」

「畑?」 

 三問目の問題で写真部の部室を訪れた時に、部室内に飾ってある写真を見たのだ。ほとんどが学園内の風景で、そのうちの一つに野菜を育てている畑の写真があった。おそらく園芸部が作っているのを撮ったのだろう。

「よく見てるわね~。どこにあるの?」

 幸太郎は写真を思い出す。畑の横に写っている建物はとても古そうだった。この学園であそこまで古い建物となると。


「部室棟だ。」



今日も二話更新します。

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