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つれづれ  作者: こおり
8/10

宇宙圏

世界は大きな箱で、その中を整理するために、小さな箱がぎっしり詰まっている。小さな箱の中身もいっぱいいっぱいだ。だから、うっかりその小さな箱から飛び出してしまうと、行き場どころか、存在するスペースすらなくなって押し潰されてしまう。



父はきっとそのうっかりをしてしまった。



ーー押し潰される前に、違う箱にまぎれこめばよかったのに。


背丈ほどの高さのある箱に、一生懸命紛れ込もうとしている父を想像した。どこかコミカルで可愛らしいアニメーションチックなその妄想も今は笑えなかった。


あたしの今いる箱は、黒と白の悪趣味な縦縞に包装されて、不気味に静まり返っている。

きっともうすぐ、また、この箱から出て行ってしまううっかりは現れるだろう。


それは、きっとあたしか母なんだ。

それは誇大妄想でも、必然の未来でもなく、ただの直感だったんけど。


上辺だけの笑顔で、父が祭壇にいる。泣いている家族を振り返ることなく、笑顔を貼り付けて額縁の中に囚われている。


さよなら、父さん。


あなたは明日には灰になって、あたしたちの箱に戻ってくるのよ。誰の世界でもない宇宙圏になんて行かせない。


戻ってくるのよ。

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