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あー、やばいやばいやばいやばい。
なんで皇族の人なんかがこんな一般市民の店にいるんだ。
「とりあえず、戻るぞ。」
「……。」
レヴィル殿下は無言だったが、一応は頷きシュベルツ殿下の言葉に従うらしい。
あ、帰るんだ、!よかったー。
「君。」
あれ?
「はい、何でしょうか?」
「すまないが、ついてきてもらう。」
……………はああああああああああああああああああ!?
「いえ、あの、私は…、」
「悪いが、拒否権は無い。私たちが何者かはもう気づいているだろう?」
シュベルツ殿下が無情にそう言う。
皇族にそう言われては、しょせん庶民の私はどうとも言えなくて。
絶対命令には、従わなくちゃいけない。
だああああああああ、!畜生!皇子様も性格悪すぎるだろ!
でも、仕方がないから「わかりました。」と言ってついていく。
マルサさんに近づいていき、
「すみません。ちょっと用事が出来たので今日はお店にいられそうにないです。」
「は?ちょっと、忙しいのに何言って……。」
マルサさんは私の後ろにいるマントをかぶった二人を見て押し黙る。
こういう事には敏い人だから、何か厄介事に巻き込まれた事に気づいてくれたのだろう。
心配そうな視線を向けられる。
私は、にっこりと笑みを浮かべた。
「大丈夫です。必ず、帰ってきますから。」
マルサさんは、その言葉に安心したのだろうか「行っておいで。」と言ってくれた。
……………………………さあ、この先どうなる私?