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うわ―、怒ってる怒ってる。
綺麗なお顔が歪んでますよー、怒りで。
だが、私も怒っているからおあいこだ。
お店の事をあんな風に言うなんて、この男許せない。
銀髪さんの手が振り上げられる。
あ、やばい。
私はこの世界の人たちと比べると、力が弱い。
それなのに、成人男性の相手に殴られたら、骨の一本でも折れるだろう。
目をつむって、次の衝撃に備えた。
が、ここで予想外の事が起きた。
第三者の乱入だ。
銀髪さんの腕を掴んで私を助けてくれたのは、
見事な波打つ金髪が美しい、透き通った蒼い瞳をした人だった。
マントをかぶって顔を隠しているようだったけど、近くにいた私には見えた。
この人の目は、悪い人の目ではない。ただ、とても――――――
「兄上、!」
「お前は、こんなところで何をしている?」
「……兄上には関係ない!」
「関係あるだろう。今日は式典だというのに、すっぽかして何故こんな場所にいる。」
あるえ。なーんか、すっごくやばい会話を聞いているようなんですけど。
「…元々!私はこんなことに反対だったのだ!」
「それが務めなのだからない。私達皇ぞk…「あのー。」
思い切って声を掛けた。
この人たちは、私の勘違いじゃなければ―――
「それ以上言ったら、ばれてしまうと思いますよ?大変なことになるんじゃないですか?」
二人とも、ハッとした顔をした。
………………………ああ、こりゃ、ビンゴだ。
皇族の、レヴィル殿下とシュベルツ殿下がなんでこんなところにいる?