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デザートの汁やホイップクリームでぐちゃぐちゃな貴族さま(仮)。
怒りのオーラが目に見えるほど怒ってて、ミリアは真っ青。
ああ、私はどうすればいい?
「お客様、大変申し訳ありませんでした。お召し物をお変えになりますか?」
そう言って、間に入った。ああなんで私こんなことしてるの?
面倒事は避けて通るたちじゃなかったのか私。
怒りの矛先は私に向けられた。
ひいいいいいい!美形が怒ると迫力あるううううう!
でも、目を見れば、悪い人じゃないってわかる。
少し安心。自分の目を信じて、喋ればいいと思う。……たぶん。
「此処の店員は品を客にぶちまけるものなのか?そうだとしたら、この店は最悪だな。こんな店に客が来ていること自体おかしいと俺は考えるわけだが。大体、こんな餓鬼を使っているなんて、ろくなことにならないと分からないものか。全く、下界に降りてみればとんだ災難にあったものだ。」
…………前言撤回。こいつ最低人間だ。
や、普通さ、此処までは言わないでしょ?ムカついててもさ。
下界とか言ってるあたり、お貴族さまとかそういう偉い人には間違いないらしい。
でも、私はそんな事は気にならなかった。
ただ、大好きな人の店の事貶をされたということが許せなかった。
いったん相手に踵を返して店の外に出る。
相手はキョトンとしているが知ったこっちゃない。
私は井戸から水を素早く汲んできた。
そして、また銀髪の彼の所までやってきて、
思いっきり頭から水をぶっかけた。
「お客様。これで綺麗になりましたし、ついでに頭も冷えたでしょうか?」
目の前には怒り狂って絶対零度の雰囲気を醸し出している相手。
さあ、この先どうなる?