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さて、今私は皇族様の秘密を知った事になる。
レヴィル殿下がご婚約の式典を逃げていた、という秘密を。
そして、平民である私がその事を耳にしてしまいました。
さあ、私はどうなる?
1、何事も無く家に帰れる。
2、言わないように頼まれる。
3、口封じに殺される。
……………まあ、普通にこうやって馬車に乗って連行されてるからして1は無いだろう。
2も、皇族の方々が平民にお願い事なんてありえない。
…となると、3なんだけれども。
死にたくない。どうしたらいいだろう。
そんなこんなでやってきました、お城に。
いろんな離宮がたくさんある中の、奥の方の一つの屋敷に招かれた。
奥の方に行くほどやばいって、誰かに聞いたことあるぞ!
やっばい私、本当に帰れるのか?
マルサさんにうそついちゃったかも。ごめんなさい。
従者の人は部屋の外で待機している。
部屋の中にはメイドさんが五人と、レヴィル殿下とシュベルツ殿下と私だけ。
メイドさんは部屋の端の方にいる。
真ん中のテーブルに二人が腰かけた。
私はどうすればいいのかと迷っていたら、
「君も座ってくれたまえ。」
なんてシュベルツ殿下が言う。
…無茶言うなよ。
皇族の人たちと同じテーブルに着けるわけがないだろう。
でも、言われた事にそむくと命令無視で首をはねられかねないので、大人しく座っておいた。
緊張するうううううう!!誰か助けてええええええ!!
「レヴィル、午後にまた正式に式典をする。それに出席するように。」
シュベルツ殿下がそう口を開く。
「嫌でs
レヴィル殿下がそう即答すると同時に、シュベルツ殿下の拳が飛んだ。
文字通り、レヴィル殿下が吹っ飛んだ。
ひいいいいいいいいいい!!!どんだけ力あるんですシュベルツ殿下!
武術にひでてるってレベルじゃないぞこれ!
「いつまでも駄々をこねている気か、愚か者が。皇族としての務めを果たせ。」
冷たい子でシュベルツ殿下がそう言い放つ。
レヴィル殿下もそれには黙りこんで、むくりと起き上がればまた腰かけて「申し訳ありませんでした、」と小さな声で言う。
あの拳をくらって平気な顔をしてるって、どんだけ丈夫なんだ。
この二人、怪物だ。
「さて、と。本題に入るが…。」
キ、タ。
シュベルツ殿下が笑顔で私の方を向く。
無言でレヴィル殿下の目が向けられた。
怪物相手に、私はどうすればいいのだろう?