1話 始まり
●主人公視点
「...眠い」
俺は今、子供部屋でひたすらゲームをしています。
もう高校三年...周りは就職や進学の話で持ち切りだ。
俺には、何もない。ただの平凡な男。
「...はぁ、腹減ったな」
今は夏休みになったばかり、友達もいない俺にとってゲームこそがかけがえのない時間。
「...そういえば、通知来てたな...」
運営から通知が届いている。
「...?サービス終了のお知らせ...?...!?」
俺は一瞬理解に苦しんだ。いきなりサービス終了はそれほど大きい出来事だ。
これまで数年以上このゲームにのめり込んできた。
「...なんで...俺にはこれしか...」
通知をスクロールし読み進めていく。
すると、面白いことが書いてあった。
「...?新たにゲームを開発したため、ベータ版をプレイしませんか?」
新たなゲーム。アビス・フロンティア・オンライン。
フルダイブ型VR端末〈ネクサス〉を用いた、最新技術で作られたゲームだ。
もともとやっていたゲームの次のシリーズのようで、仮想世界で行うゲームらしい。
「...参加って、ネクサス持ってないんだが...」
ネクサス自体が30万から50万という庶民の感覚では高額なもの。
それをおいそれと手に入れること自体、困難なことだ。
「...学生にはきびし...って...?」
通知を下にスクロールしていくと、何と、無償貸出が可能と記載してあった。
「...まじかよ」
そこまでするってことは、このゲームによっぽど自信があるってことだ。
「よし。やってみるか」
俺は通知に記載してあった返信ボタンにカーソルを進めた。
~1週間語~
「すっげぇ...」
俺の手元にはフルダイブ型VR端末〈ネクサス〉がある。
ネクサスはこめかみから後頭部を包む、軽いリング状の機械でそこまで大きくない。
しかし、ベッドや布団に横になって装着することが推奨されていた。
それもそのはず、装着すれば意識はゲーム中だからだ。
「...んじゃ、いってみますか...」
俺は意識を手放した。
【アビス・フロンティア・オンライン】
『新たな人生をこのゲームで歩んでみませんか?』
(...ありきたりな文言だな...)
目の前に表示される文字冷めた感情で読んでいく。
『このゲームでは、広大な世界”アビスガルド”でプレイしていただきます』
(アビスガルド...か)
『始める前にいくつか設定していただく項目がございます』
文字は流れてゆく。
『物語を始める種族を選択してください』
(種族?)
目の前には選択できる種族が複数表示される。
(人間、エルフ、ドワーフ。ありきたりだな、これも...)
しばらく眺めていると、文字が表示される。
『お気に召しませんか?』
(なんだ...)
『さらなる可能性に賭けてみますか?』
(可能性?...つまらないのはいやだし...)
「賭ける!」
『畏まりました!では、種族ランダムで設定し、ゲームを始めさせていただきます!』
「は?ッランダム!!」
『では、良き旅を!』
そこで視界は暗転した。
(...なんだここ...)
目を覚ますと、森の中だった。
「...森?」
自分がどうなったのか、確認するため体を触る。
「背が、低い...」
どうやら子供のようだ。
『ステータスを確認しますか?』
体をまさぐっていると、目の前にいきなり文字が出てきた。
「...ステータスって、定番のやつか...」
俺は自分のステータスを確認してみた。
プレイヤー名:未設定
種族:小鬼〈こおに〉
種族Lv:1
進化先:未解放
HP60/60
MP15/15
スタミナ80/80
筋力14
耐久8
敏捷12
魔力5
器用10
※人間種の初期筋力は10前後。小鬼は体が小さくても力が強い。
【種族特性】
- 〈怪力の芽〉:体格より大きな武器を扱える。ただし重さに応じてスタミナを消費。
- 〈健啖〉:食事によるスタミナ回復量が多い。
【初期スキル】
スキル効果
打撃 Lv.1棍棒や拳による攻撃を補助する
踏ん張り Lv.1足を止めて構えると、押し倒されにくくなる
【旧世界の遺産】
開発もとである、アビス・フロンティアの装飾や家具などを使用可能。
使っていた武器や装備を一つだけ召喚可能。
【装備】
右手:粗末な木の棍棒
防具:ぼろ布の腰巻き
装飾:なし
「鬼?...」
どうやら、鬼になったらしい。




