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 俺が怒りに燃えていると、ハンが前に来た。



「またそんな顔してるとぶん殴られるぞ?」



 俺が双子から見えないように視線を遮り座ってきたのだ。

 相変わらず気配りができる漢である。



「だって、あのにきゅはみんながかあしゃんにって」



 俺は怒りもそうだが、悔しさのあまり悔し涙が出ていた。あの双子の行動がムカつくし何もできない自分が悔しい。


 ハンは俺の顔を舐めた。

 涙を拭うかのように。



「そうだよな。だが、これがプライドなんだ。もちろん全部がそうかは俺もわからねー。だけどな、オスは狩ができねーんだよ。こんなに立て髪もあるし身体も大きいからすぐにバレるしな。だから、狩はメスの仕事なんだ」



 言いたいことはわかる。

 だが、俺からすればそんなの言い訳にも聞こえる。


 だって、オスライオンでも隠れられるほど大きな草も生い茂ってる場所はある。

 やり方によってはできるはずなんだ。


「んじゃあハン達は何をするの?」


 メスライオンが育児と狩をするのはわかった。

 だが、オスライオンが何をするのかわからない。

 今のところ、ただ寝て、ご飯ができたら食べる。


 そんな情けない姿しか見ていないのだ。



「オスの仕事はこのプライドを守ることだ。

 別のオスライオンが来ればお前達を守るために戦う。

 それに他のチーターやハイエナ、カリオンが来ても同じ  

 だな。あとはマーキングをして他の奴らを近づけない。

 とにかく俺らオスの仕事はこのプライドを守ることだ」



 なるほど。納得したようなしてないような。


 だが、あの双子はちゃんと守るのだろうか?

 ハンならともかくあの双子がちゃんと守るとは思えない。



「あれ、ハンは肉食べ行かないの?」


 オスが先に食べるというのにハンは食べに行かない。

 まぁ、理由はなんとなくわかった。



「オス同士でも序列があってな。あの双子が食べ終わった後に俺が食べてその後メスが食べるんだよ。まぁ、俺はメス達と一緒でもいいんだが、双子がうるせーからな」



 なるほど。ハンも苦労しているんだな。

 そして、このプライドにはハンの存在がとても大きい事がわかった。

 もちろん俺にとっても。


 ハンから学ぶことはとても多い。

 今のうちにたくさん学ぶとしよう。



「ねぇ、ハン?ここにはなんのどうぶちゅがいりゅの?」



 相変わらず口が回らないが、最早諦めた。

 なんたって俺は赤ちゃんなのだから!!!


 むしろ赤ちゃんでこれだけ話せる方が凄いだろ!!!



「お前、本当に生まれたばかりか?」



 ハンは俺の学ぼうとする姿に驚きながらもしっかりと教えてくれる。



「そうだなぁ。このサバンナにいるのはまず肉食がライオン、チーター、ハイエナ、リカオンが主だな。草食はシマウマ、水牛、キリン、アフリカゾウ、猪、猿、ネズミやら色々いる。俺の知らない動物もたくさんいるが、よく目にするのはこの辺だな」



 なるほど。危険な奴らばかりじゃないか。

 ライオンに生まれてラッキーと思ったが、大人になるまで危険はたくさんということか。



 だが、生憎と俺には何故か人間の知識がある。

 他の生き物よりアドバンテージもある。


 これを力に俺は必ず成り上がって見せる。


 その後もハンが食事に行くまでたくさんの事を学んだのであった。

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